「富士山の上でみんなとおにぎり食べた?」
魔王、学校へ行く?
そんなお話。
魔王です。
「学生」というものに憧れてます。
学校行きたいと部下たちに言ってみたところ、寿命がつきかけているセミが車にはねられた瞬間を見た子供のような顔されました。
今日も変わらず、なめられまくりです。
「ねーねーアスタロトは学校行ったー?」
「行きましたよ。」
「どんなところー?」
「……薄っぺらい友情と憎悪の渦巻く、地獄のような場所ですかね」
「なにそれ怖い」
アスタロト、お前に何があったんだ。
そういえばノワールが来てからしっかり仕事(雑用)してるからみんな俺を怒らないよ。やったね。
「いいないいなー友達100人できた?富士山の上でみんなとおにぎり食べた?」
「…あのですね。私の通っていた学校は」
「いいなーいいなー羨ましーいーなーひでぶっ!!!」
しつこかったのか鋭いチョップをくらう。死にそうなくらい痛ぇ。
「大体、私は私立に通っていたんで友達100人とかおにぎりとか無縁の世界だったんですよ。私ではなく、こいつに聞いたらどうです」
「……どうせチビの頃からバカ校通いでしたよーだっ」
うお。不意に登場ベルゼブブ。どっから沸いてきた。この二人、幼なじみらしいけど仲めっちゃ悪いんだよな。
「ベルゼブブはどうだった?」
「ん…と、その歌歌いましたよ。でも…考えてみてくださいよ。「富士山の上でオニギリを」ってチビが富士山の山頂になんかカンタンに登れるわけないですよね。」
「ネタにマジレスか蠅」
「死ね朴念仁」
「ま、まあまあ…でもいいなぁ。そうやって言い合う友達ができるって」
「「友達じゃない」」
ハモった…。こういう反発しあった2人って何だかんだいって仲良いんだけどな。
「王にもいるじゃないですか。ほら、あの勇者様ー」
「少なくとも俺は友達と思ってない。」
言い合える仲になんてなれるわけない。あれから勇者、俺にチェーンメールばっかり送ってくんだよ。LI○Eでスタンプ押されまくって困ったし。
なにあの子。本当に勇者なの?ってくらいのDQNっぷり。
そもそも勇者と魔王が友達なのがおかしいんだよ。
「…はあ。少し待っていてください。」
「?うん。」
父親から呼び出しくらいました。何故。
そんな俺は今、無駄に長い廊下を歩いています。
ガチャリ。
しまった。ノックすんの忘れた。開けちまった。窓のそばに立っている父がこちらを睨んでいます。窓のそばに立ってるとか、どこの社長さんですか。
「……来たな。」
「はい。お話、とは?」
「…ふむ。アスタロトから聞いた。お前、学校に行きたいと言っていたようだな」
あのやろおおチクリやがったあああ。ズンズンと父が近づいてくる。そして………
っぎゅううううう!!!
「何それ可愛いいいいいいっ!!!行かせてやる!お前は好きなようにしなさいっ!!」
…えー。
お分かりいただけただろうか。この父、とんでもない親バカでして。拍子抜けしたんじゃないですか?そうでもない?あ、そう。
「手続きとかは、」
「そんなもの悪魔に任せなさいっ!待ってろよぉ可愛い制服のところ調べてやるうううっ」
そんなワケで……
魔王、学校に行って参ります。
学校というものを知らなかった頃は作者も純粋だった…。