「仕事するか死ぬかどちらかにしてください」
魔王のお仕事と猫のお話。
「………」
魔王です。ぼーっとしてます。
猫っていいよね。俺猫派です。
猫って勘違いされてるけど、飼い主にはそれはもうべったーってしてるよ。超甘えてくるよ。可愛いなぁぁぁ。
なにが言いたいかと言いますと、
猫飼いたい!
癒やし欲しいなぁぁぁ。
「ねぇベルゼブブ」
「何ですか」
「猫飼いたい」
「そうですか」
………話が続かない、だと…!?
ベルゼブブは猫嫌いなんだろうか…。
「知ってる?猫にチョコレートあげちゃダメなんだよ」
「…はあ」
「あと、玉ねぎもダメ」
「あの、王」
「なに?」
「仕事してください」
…………畜生。つれないなぁ。
てか仕事仕事って言うけどさ。何やってんの?え?知らないのかって?当たり前じゃん。
今まで仕事らしい仕事したことないもん。
グラフ作ったり、コピーしたり…。
ええそうですよ。俗にいう雑用係です。
「魔王が雑用ってなんなの…」
「おこですか」
「いいや、凹んでるんだよ…てか、何してるの?会社でも経営してるとか?」
「ウイルス作ってばらまいてるんですよ」
「はっ!!?」
いやまてまてまて。ジャストモーメント。
今、何つった?
ウイルスだと?
「ま、正確には僕たちが作ったウイルスを人間に売りつけて、その人間がウイルスをばらまいてるんですけどね」
「だめなやつじゃねーか!ガチでやっちゃいけないやつじゃねーか!!」
ダンダンと両腕で机を叩く。五月蝿いし痛いだけで特に意味はなかった。
そういえば前に「M-Oウイルス」ってのが俺のパソコンに侵入したんだが。あ、「M-O」ってのはこの俺のこと。なんとなく魔王って読めるだろ?
ウイルス逆輸入してるぞ!!!!
「こえぇぇそんなことやってたの!?悪いことしてるじゃん!勇者来て当然じゃん!」
「ちょっと五月蝿いですよ王。仕事するか死ぬかどちらかにしてください」
「なんだその選択肢!?ヤダヤダそんなことできない!」
何だかんだ言ってこいつら悪魔なんだなと思った。至って普通の魔王である俺はとてもそんなことできない。普通の魔王ってなんだ。
「とにかく、これコピー6部お願いします」
「あ、うん…」
こいつら俺をなめすぎだろ。
一発かましてやればいいんだろうけど後が怖すぎてそんなことできない。ガクブル。
しぶしぶとコピー機に向かう。
ピ、ピッと操作してると突然エラー音が鳴りだした。なんだなんだ。
「えっなにこれ…ちょっ」
そして大量に出てくる謎の白紙。
意味不明。
誰かの舌打ちが聞こえた。
「あー何やってるんですか。会議もうすぐなんですよ。ちゃっちゃとコピーなさい」
「冷たっ!?なんでみんな俺に対して辛辣すぎる!!悪魔!」
「…悪魔ですけど、」
そうだった。こいつら悪魔だった。
「うわああん皆冷たいし仕事怖いしもうやだあああ」
「五月蝿いですよ王静かにしろ」
「。゜(゜´Д`゜)゜。」
ちょっと酷すぎやしませんか。あぁ、みんな冷たいよ猫欲しい。にゃーんてゴロゴロってシャーっていう猫欲しい。
「猫飼っていいなら仕事する」
「猫?いきなりどうしたんです」
「さっきさんざん話ふってただろ!!!」
もう俺ツッコミなのボケなのどっちなの。
俺の発言にみんな集まってなにやら話合いしていた。
「……でも」「最悪…食う」「非常食として……」「………猫って」「…不味いだろうな。でも…」
なんか不吉な会話しか聞こえないぞ?
猫食わんといて。愛玩だよ。猫って癒やしの存在。
「…まあいいでしょう。腹に背は変えられません。」
「やったあああああっ…俺が仕事しないことでそんなに追いつめられてたんだ…」
「まあ、雑用がいないと結構きついんですよ」
「もう、挫けない。何も怖くない」
……え?そうですよ?
なんども言うけど魔王です、俺。
部下から許可を得ないとペットすら飼えなくても魔王なんです。
もう慣れたでしょ?
翌日、真っ黒なにゃんこが俺のもとにやってきました。
「名前、どうするんですか」
「俺決めていい?えっとねー…」
「…うん!よし子にしよう!」
「「!?」」
黒猫は「ノワール」と名付けられ(命名 アスタロト)俺たちの癒やしの存在として今も俺の膝で昼寝しています。可愛い。
…よし子っていいと思ったんだけどな。
今飼ってる飼い猫に「よし子」と付けようとしたセンスのない作者の本音がどこかにありま
す。