第四話 実行
その次の日、人志はいつも通り学校に向かっていた。
また女ばかりの日がやってくる...
そう思いながらの登校は、少し苦痛だった。
人志は教室に向かう途中に、異変に気づいた。
「人志くぅ~ん」
なんか妙に色気っぽい人が近づいてきたからである
「あ、あの...なんでしょうか」
「言わなくてもわかるでしょ~」
...わかんないんだけど、と人志は頭を真っ白にさせる。
なにこれどういうことだ!?
「俺に何の用ですか」
「惚れちゃったの だから付き合って?」
妙に色気っぽい人から惚れちゃったとは、人志は考えなかったのでそれが更に混乱させた。
「いや...つまり?」
「だから付き合えって言ってんだろうがあああ!」
突然雰囲気を変えて、激しく叫ぶその彼女の姿は色気がないどころの騒ぎでは無かった。
「なんで突然っ!?」
「いいから!付き合いなさいよ...私は金川里美っていうの」
「知らねーんですけど!何突然キレて名前名乗ってんの!?」
「うるせぇえな!!」
「怖いな...」
この得体の知れない人間の形をしたどこかの生物は、そのあと呆れて帰っていった。
もう、なんだよ全く...と、人志は朝から疲れている様子だった。
それがまだ、始まったばかりだとは知らずに。
教室に入ると、その異変にすぐ気づくことができた。
何故なら、そこにいる全員が皆人志を目の色を変えて見てきたからだ。
「あの...おはようございます」
「人志君!!」
「ねえねえ人志君、カラオケ行かない?」
「今日は私とデートの約束なの!!ねっ人志君?」
...なんなのこれ、と言おうと思ったが、等は今話す相手は居なかったので仕方なく堪えることにする。
「ダメよ...人志君は私のなんだから」
そこへ花乃子が腕を組んでくる。
人志がふざけんなお前と思っているうちに物事は発展していく。
「ここ、男子いないじゃない?だから、男子と言えば...人志君かなって思って」
というのは全くの嘘で、彼氏を作りたい人は実際に別の学校で作っている。
この学校に残っている人で、彼氏を作っていないのは男に興味がないのか振られたのかそれとも...
「俺のことが好きなんてありえないからな」
「実際みんな人志君のこと好きなんだよ?」
言葉使いが違う花乃子が妙に人志にくっついて話す。
人志は正直、気持ち悪いからやめて欲しいだけだった。
「人志君...女に興味ないの?」
「全くないです...」
嘘の付きようがないので、一応答えておいた。
「じゃあ夜の方はどうしてるの?」
「ちょ、海川!!」
「女と恋愛はしたくないってだけで、体には興味ありますけど」
人志のその発言に...さっきの海川を始めその場にいる全員の女子が、彼を引いた。




