第十四話 事件②
「その人校長だから手を出すなああああぁ!」
ホモに進化した人志は、この学校唯一の男(校長)に目を向ける。
「どうしてこうなった…」
「あんたがやったんでしょうが」
田中は親が研究者の癖に、結構バカな方だ。頭というより考え方が。
「まあとりあえず、効果が切れるまで待つしかないね」
明子も半ば呆れているが仕方が無い。
「でもこのまま授業に入ったら…想像するだけで頭が痛いわ」
きっと奇行をやってしまうに違いない。
「じゃあどうすれば…あ、スプレーの説明になんか書いてあるよ」
田中がラベルに書いてある字を読む。
「なになに…『効果が続いている間にスプレーをもう一度かけると、状態が変化します』だって」
「それしかない!マシな変化にさせましょう!」
花乃子がスプレーを取り人志にかける。
「どう人志君?」
「うーん…○○○○したい」
突然の爆弾発言でその場にいた女子全員が沈黙した。
「ホモの次は変態…とても良い流れね」
「海川…最悪のタイミングで来たわね」
何故か今まで何も言わなかった海川が突然喋りだした。
「私BLは好きだけどそこまで好きじゃないの。やっぱり男には女、世の中そういう方程式じゃない?ポテチにはコンソメのように」
「のり塩だろ常識的に考えて」
明子が無表情で反論する。
「…まあどうするの田中、さっきよりまずいわよ」
「これはこれで面白いからいいんじゃない?ははは」
「ついに投げ出した…」
花乃子はなんとか人志を治そうと努力することにした。
「人志君?私のことわかる?」
「とりあえず脱いでみようか」
「あ、これダメなやつだ…明子さん、あなたもやってみて」
「うん…ねえ、人志君のおすすめの曲とか」
「とりあえず脱ごう」
「蹴飛ばすよ?」
「ごめんみんなの前だからSMは勘弁」
「へぇ…まだそういうこと言うの」
「○○○○!」
「死ねええええええええ!!」
明子が顔を真っ赤にさせながら人志を蹴ろうとしたが、人志はそれを避けた。
「鈍い、鈍い鈍い鈍い。誠に鈍いわぁぁぁ!!」
「何この喋り方…」
「俺は動きは結構早いほうだ…鍛えたからな!ガッハッハッハ!」
「これ絶対誰かスプレーかけたよね」
「っち…バレたか」
海川が人志の後ろから顔を出す。
「しかし面白いスプレーだねこれ、貸してくれない?」
「残念だけどそれは試作品だから…それ以外にも色々スプレー持ってきたけど」
田中がバックの中から結構な数のスプレーを取り出した。
そして花乃子が『解除するスプレー』というのを見つけ、
「これ人志に使えるんじゃない!?」
「それだ!あったの忘れてた!」
「なんで忘れたのよ…元に戻れ、人志ぃぃ!!」
解除するスプレーを人志にかけた。
「○○○○」
「最悪な状態に戻っちゃったよ!」
「大丈夫、一回一回順番に戻していくスプレーだから」
何故田中はこのスプレーの詳細を知っているのに存在を忘れていたのか。
2回目にスプレーをかけた。
「ウホッ」
「元に戻れええええ!!」
3回目のスプレーをかけて、やっと
「う…ん、何をやってたんだ俺は」
人志が元に戻った。




