第一話 入学
1つ、ハーレムとは、誰からも好かれること。
1つ、ハーレムとは、平等に愛してあげること。
1つ、ハーレムとは、男子の憧れのこと。
これはこの高校の校訓である。
ここはハーレム育成高校。
この高校では、今日もハーレムを作っている。
というのは全くの嘘だ。
ここは至って普通の高校である。
唯一、普通じゃない点を挙げるとすれば「数年前まで女子高だった」ことぐらいである。
そして今もその名残が残り、女子生徒が非常に多い。
だがそんな中、もちろん男もいるわけで...
「入らなきゃ良かった...」
こいつは苦手名人志。女が苦手である。
こいつがこの高校に入った理由は至って簡単、「家に近かったから」
もともとこの地域は男子が少ないこともあったし、みんな町の学校に行きたがっていたのでそこまで不思議がることではないのだが。
「俺ぐらいしか男子いないんじゃないの...?」
周りを見渡すと、女子、女子、女子。
俺はここでハーレムをしろってことなのか?と人志が思い始めたほどである。
「全く、完全に馬鹿にしてるだろ...」
もちろん、そもそも女子ばかりの高校に入った彼が悪いのだが。
「ここは俺をハーレムにさせる高校かあああああああああああ!!」
思わず叫んでしまった。
周りのみんなが、人志を見つめる。
「あ...すまん」
「大丈夫だよ君」
人志に話しかけたのは、小田切花乃子。なかなかの美少女(自称)である。
「そ、そうですよね、大丈夫ですよね」
「うん、誰も君の事なんか好きじゃないから」
ちなみに彼女はなかなかの毒舌でもある。
笑顔で放たれるその暴言の数々は、中学では伝説とされているほどであった。
「で、ですよね!ふはははははは」
だからといって人志も、がっかりしたりはしないのだ。
女が苦手だし、別に興味がないわけでもないが...
とりあえず女にそういう目で見られてないことを確認し、逆に安心したらしい。
「...珍しいね君は」
花乃子が人志を軽く睨む。
「もしかしてゲイなの?」
「違いますよ、普通です。アイアムノーマル」
「...あっそ、つまんない」
花乃子は去っていった。
それとほぼ同時に、アナウンスがかかる。
「入学式を始めます」
そうして人志は、この高校に入りハーレム育成をされることになった。