冬のゲレンデ編:3 たどたどしくて
人も徐々に増えてきて、ようやくゲレンデって感じになってきた。
しかし、近くの小屋に連行されてから帰って来ない涼を皆で待っている為、
誰一人滑りに行く事が出来ないでいる。
こういう時だけ仲間に優しいのは何故なのか。
いや、皆涼に同情しているのか?
俊一を除いて。
「あ~あ、他の人が沢山滑ってるってのに・・・。
俊一が涼に罪を擦り付けなければ、何とかなったかもしれないのになぁ」
「何を言う、その様な事をすれば俺が連れて行かれるではないか」
「だから、それを何とかしようって言ってんだよ」
「まぁそう怒るな、ミルクティーでも飲むか?」
平然とした顔で、ウーロン茶と練乳を組み合わせた異物を差し出さないでくれるか。
「いらねぇよっ!
てか、それが諸悪の根源だろうが」
「美味いと思うのだが」
そして普通に飲むな。
ったく、俊一という奴は。。。
「あっ出てきたよ」
ニーナが小屋を指差して言った。
確かに涼がこちらへ覇気の無い様子でトボトボと歩いてきた。
覇気の無い涼なんて、まるで中の玩具が無いチョコエッグくらい意味が無い。
そう、奴は活き活きしていないと意味が無い。
「・・・ひたすら同じ様な注意事項を聞かされたぜ。。。
俺はこんな事をする為にここに来た訳じゃないっ!!!」
「まぁ、落ち着け。
ミルクティーでも飲むか?」
「またそれかよ!?」
俊一、飲んでない俺に勧めるならまだしも、すでに被害のあったものにもう一度勧めるのはどうかと。
「・・・もう一度、飲んだら味が変わるかもしれんぞ?」
「なワケあるかっ!!」
「ふむ、美味しいのに加えて、さらに糖分とウーロン茶の栄養を同時に摂取できる
素晴らしい飲み物だと言うのに」
そしてまた普通に飲むな。
何杯目だよ、お前。
「俊一っ!!
呑気にミルクティーなんざ飲んでる場合じゃ無いぜっ!!
俺はもう頭にきたっ、正々堂々勝負だっ!!!」
涼はまたしても俊一に人差し指を俊一に突きつけ、勝負を挑みだす。
もう止めておけよ、涼も。
「・・・ふっ、お前も懲りない奴だ。
まぁいい、何度でも受けて立とう」
俊一も乗るなっ!
「今度は変な道具使うなよ。
ガチで勝負をするんだからな!」
「あぁ、任せておけ」
「それで、ルールの事だけどな・・・・」
またあの二人は勝手に行ってしまった。
「・・・はぁ、もう良いわ。
あの二人は放っておきましょ。
こっちがもたないわ・・・・」
零奈は白い溜息をつくと、二人が行った方向とは逆に歩き出した。
何せあの二人が向かったのは、先程と同じく上級コース。
ブランクが長い俺達にとって、難しすぎるコースな訳だ。
まずは簡単なコースで肩慣らしだな。
「だな、じゃ俺達だけで滑りに行くか。
一応あいつらにも伝えておかないと。。。
俊一、涼!!
俺達は別の所へ滑りに行くから、キリがついた所で、もう一回ここに集合な~~!!」
俺が声を張って、俊一と涼に声をかけると、二人とも片腕を挙げて合図をした。
まぁこれで逸れる事は無いだろう。
「うし、じゃ行くか」
俺と零奈、ニーナ、冬香の4人はとりあえず中級コースに向かう事にした。
さて、リフトの乗り方は覚えてたけど、滑り方までは覚えてるもんかね。
実は言うと結構久しぶりなんだよね、俺自身。
俺達はリフトに乗って、中級コースのスタート地点までやってきた。
まぁ見た感じ傾斜はそこそこあるけど、そこまで難しそうじゃない。
ちょっと滑れば体も思い出してくれるだろ。
それにしても最後に来たのは何年前だっけな。。。
その時も俊一と零奈が居たのは確かだけど。
「う・・・久しぶりに滑ると結構怖い・・・かも」
こんな感じに零奈はリフトに乗る前から、久しぶりのスキー板に四苦八苦している。
器用な零奈が料理以外で苦労している様子は珍しいな。
どうやら零奈もスキーはかなり久しいみたいだ。
「よぉ~し、じゃ早速滑ろうかなっ」
ニーナはリフトから降りるなり、そう言って緩やかにターンしながら下ってゆく。
わざわざ自分の道具をアメリカから送らせる位だから、相当慣れてるみたいだな。
見てて分かる。
「・・・・・」
冬香は零奈と同じく、感覚を確かめているようだ。
零奈みたく苦労している様子はないけど、相変わらず無言。
・・・コミュニケーションって大事だと思うけどなぁ。
「わわっ・・・!」
「うおっ!?」
っと・・・危ねぇ・・・。
俺が冬香に目を向けている時に、零奈がふらついて俺の方に倒れてきた。
ギリギリで俺が受け止めたから良かったけど。。。
正直俺も慣れてないから、危ない。
「ったく・・・大丈夫か?」
零奈の顔が赤くなった。
夜通しで移動した疲れで、熱でも出たのか?
「おいっ・・・零奈っ、大丈夫か?」
「え・・・あ、きゃぁ!!」
『ドンッ!!』
「何ですとぉ!?」
『ボスッ!!』
事もあろうか、零奈は体を受け止めた俺を手で思いっきり押し飛ばした。
勿論、零奈も俺もお互い反対方向へ盛大に倒れてしまう。
「痛ててて・・・・おいおい。
何だよ急にっ」
とりあえず立ち上がろう。
・・・雪まみれになっちまったぃ。
「痛たた・・・ご、ごめん。
ビックリしちゃって・・・」
零奈も顔を歪めて体に付いた雪を払いながら、立ち上がる。
「ビックリしたって、単に受け止めただけだろ?」
「むっ・・・・な、何よっ。
慣れない雪の上でバランス崩して、
目の前にアンタが居て驚かない訳ないでしょっ!」
さ、最近逆ギレ多いっすね。。。
別に怒る事でも無いような気がするんだけど~・・・。
俺もそんな強気で言ってないし・・・。
「まぁ、そう怒るなって。
ほら、だったら俺が教えるからさ、な?」
「もういいっ!
勝手に滑るからっ!」
あ、行っちゃった。
「・・・・大丈夫なのか?」
綺麗にターンしながら下ってゆくニーナに対し、
怒りに身を任せて下ってゆく零奈は直滑降。
真っ直ぐすごいスピードで降りていく。
コントロール出来るならいいけど。。。
皆がターンしているコースで直滑降って・・・危ないだろ。
・・・・!?
待てよ・・・そのまま行ったら・・・・あ。
「きゃ~~~!ニーナどいてぇ~!!」
「え・・・・零奈っ!?な、何でこっちに来るの~~!!??」
『ド~ン!!!』
案の定やってしまった。
ターンしながら滑るニーナと比べて、直滑降でスピードが速い零奈が追いついてそのまま。。。
何と身内同士で大クラッシュ。
「あちゃ・・・・やっちゃったか・・・」
『じっ~・・・・』
と言いつつ何やら視線を感じたので、その視線を送る主を見る。
そこには俺に何か言いたそうな表情の冬香が居た。
な、何だその目は。。。
「冬香?どうかしたか?」
その言葉を聞くと、ゆっくり俺のすぐ横まで滑ってきて、それまた俺の目を『じっ~・・・』と見つめて言うのであった。
「・・・・鈍感・・・・」
本当に静かにそれだけ俺に呟くと、目線を正面にスッと向けて、足首を上手く使いながら大クラッシュした二人の下へと滑り出した。
一体どういう意味だ???
「う~ん・・・あ、いけねっ!
俺も二人の所へ行かなきゃな」
冬香の言葉の謎を残したまま、俺は零奈よかマシな滑り方で二人の元へ滑り出した。
・・・そういや前にも鈍感って言われたような。。。
ま、いっか。
一週間ぶりに更新。
近況報告でも書きましたが、真剣に話を思い起こした所。
冬のゲレンデ編のストーリーが
大幅変更されまして私も四苦八苦しております。
正直大した変更じゃないんですけどね(爆
この話もその後に書いた話です。
まぁ前の話の内容が知りたい方は近況報告参照。
少しだけ分かるかも。
でも、もう一度言います。
大した変更じゃないんです(爆
ん?まぁ内容は無いなりに考えているので、遅い時は
「あぁ、考えてるんだなぁ」と思ってください。
気づいたら更新してるはずなので。
ではでは。