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冬のゲレンデ編:1 伸びてくる手の正体は





『ゴトン・・・ゴトン・・・ゴトン』


一定のリズムで体に振動が伝わってるって事は、まだ着いていないのか。

・・・あぁ、眠い眠い。


俺達は今、俊一の企画を実施する為に夜行バスに乗って、隣県の山に向かっている途中。

夜中に出発したから、今の今まで眠ってたんだけどな。


何故か起きちまった。

さっきから聞こえてる道路の繋ぎ目でバスが揺れる、あの音のせいじゃない。

何か、、、つねられてるんだよな。。。

頬あたりを。。。


「・・・・って・・・痛いっての!!」


一応、他の客もいるのでセービングしつつ叫ぶ。


目を開けると、窓の外はトンネルの中。

それに構わず、俺は隣の席に座る人物を方へ首を曲げ、忌々しい指を頬から離させる。

それも痛かった訳だけども、つねられ続けるよかマシだ。


「わっ、起きちゃった」


そこにはニーナがいた。


「起きちゃったじゃねぇよ・・・ったく。

 あれ?ニーナが何で隣に居るんだ?」


確か載った直後は窓際の俺の隣に俊一。

俺の一つ後ろに零奈その隣にニーナ。

そしてその後ろに、冬香の隣を強く希望した涼の隣に冬香。

そういう編成だったはずだ。


「変わってもらったの~」


「俊一にか?」


「うんっ」


余計な事しやがって・・・。


「おい、しゅんい・・・・」


・・・ちょっと制裁を加えようかと思ったけど、止めておこう。

寝てるし。

まぁいいや、怒るのはコイツが起きた後にしてやるとしよう。

その隣で寝ている零奈も起こしちゃ可哀そうだしな。


「さっすが、トモ。

 いっつも怒ってばかりいるけど、こういう時は優しいんだもんな~。

 惚れ直しちゃうっ」


「うっさいわっ・・・まずはニーナからっ。

 俺の頬をつねる必要はあったのか?」


「え・・・・いや・・・思い出しちゃった?」


「思い出すも何もついさっきの事だろっ」


どさくさに紛れて自分の罪を消そうなんてそうは行かんぞ!


「あははは・・・久しぶりに寝顔なんか見ちゃったらさ。

 ほっぺた触りたくなってきっちゃって・・・。

 柔らかいなぁ~、とか思ってたらいつも間にか、つねってたって言うか・・・」


えへへ、と愛想笑いをするニーナ。


「そんなの理由になるかっ!」


「ごめんなさ~い・・・」


「反省したらさっさと寝ろよ・・・?

 バスが到着したら体動かすんだから、しっかり休まないとキツイぞ~」


「あっ・・・そっか。

 それじゃお休みなさ~い」


「あいよ、おやすみ。

 あ~そうそう・・・もう一度やったらタダじゃ・・・って」


タダじゃ置かないぞ、と言おうと思ったけど。


「すぅ・・・・すぅ・・・・」


俺の横にはニーナの寝顔。

家で寝てる時の何時もの顔。


何かニーナの寝顔見てたら、許しちゃうんだよな・・・いつも。



しっかし、相変わらず寝るの早いな。

でも、俺も人事じゃないからな、もう一眠りしよう。

起きたら着いてる頃だろ、きっと。


おやすみなさーいっと。


























『ギュッ・・・・・』


また目が覚めた。

いやまだ目を開けちゃいないけど。


・・・・・・・・・心なしか、また頬をつねられてるような気がしたんだよな。

いやまさかな、俺も寝てたしニーナも寝てたし。


『ギュ・・・・』


いや、本当につねられてるっ!?

ニーナ、寝たんじゃ無かったのか?


「おい、ニー・・・・ナ?」


隣を見てみるものの、そこには寝る前と同じ寝顔がそこに。

まさか、寝たフリか?


「おい・・・」


肩を軽く叩いてみるけど、寝息を聞く限り本当に寝ているみたいだ。

じゃ、一体誰が。。。。

もしかしてまだ夢の中なのか?





『ガタッ・・・』





・・・・後ろから物音が聞こえたぞ。




俺は体を起こして、後ろの席を俺の座席の上から覗き見る。


「「・・・・あ・・・」」


二人の声が重なった。

何故なら目が合ったからだ。


零奈は掛け布団に隠れようとしていたらしいが、どうも間に合わなかったらしい。

布団から目から上の部分だけ出してこっちを見ていた。


「・・・何やってんだ、零奈」


「う・・・・・・ちょっと気分転換に姿勢を変えただけよっ。

 そう、本当にそれだけ・・・」


明らかに目が泳いでいる零奈。


諦めろ、アンタはポーカーには向いてないんだよ。


「ほう、それじゃ俺の頬をつねっていたのは?」


「さ・・・さぁ?」


飽くまでもしらばっくれるつもりか。。。

ならばこちらにも策があるっ。


「じゃあ、俺の席に落ちていた指輪は何だったのかな?」


「・・・あ・・・やば・・・あ、あれ・・?

 指輪ちゃんとある・・・・」


零奈は自分の右手の指にはめてある指輪を確認してから、ハッとなった。


ふふ、気が付いたようだな!


「今、やばい、と言いかけたなっ!?

 白状しろぃ!」



いつも零奈が利き腕の右手、それも中指に指輪をはめているのは知っている!


幼馴染故!



それがおばあちゃんからのプレゼントだと言う事も!


幼馴染故!!




カマをかけるにしろ、全ては情報量なのだよっ!


幼馴染ゆ・・・いやこれは違うけど、ひとまず作戦成功さっ!




「・・・・騙された・・・」


布団を被りつつガックシと、うな垂れる零奈。


「騙したのはどっちだっての。

 さて、何で俺の安眠を邪魔したのか、聞かせてもらおうか?」


「だ・・・だって」


目だけでこっちを覗いている零奈の少しだけ見える耳が赤くなっていく。


「だって?」




「ニーナがほっぺた柔らかいって言うから・・・触ってみたいなぁ・・・って・・・」


この人毒されてるっ!?

俺の隣の人にっ!!


てか、会話を聞いてたのかよ。

俊一を見た時、明らかに寝てると思ったんだけど。




「で、どうでしたか?」





「柔らかかった・・・わよ・・・・」






おぉ、この恥ずかしさに悶える零奈の姿。

何とも新鮮かな!




「って、何言わせてんのよっ!」






うぉ、横から平手が飛ん――――






『パシィィ~ン!!!』




避けるには、時間もスペースも足りなかった。




目の覚める一撃。

こうなるのね・・・。


何時ものように俺はきっと悪くない・・・はずだ・・・きっと・・・多分。

























夜明け。

とあるホテルの到着したバス。

まずはここで着替えやらなんやらを済ませゲレンデへ向かう訳だ。


乗客も一斉に目覚め、出かける準備をし始める。


んん!快晴、快晴!

絶好のスポーツ日和か!


銀色のゲレンデがここからでも確認できる。

朝日に照らされギラギラ輝いている。

白銀の世界ってのは言い過ぎだけれども、十分に雪は積もっている。

うん、良い感じだ。



でもそんな事を気にしてはいられない。

俺は零奈に打たれてから、全く眠れなかった訳でして。。。

それ所か、頬のヒリヒリが今でも残っていて、早朝の冷たい風に当たるとそれが更に痛かったり。


朝からじゃなくて、夜中から災難が続いているのは結構厳しい。


「ん?・・・知樹、朝から頬に手形があるとはどういう事だ」

「お、ほっぺに手形があるぞ~知樹、誰かに打たれたのか~?」


俊一も涼もそこはノーコメントで頼む。


「あれ、本当だ。

 もしかして、私が寝てる時に当てちゃったとか」


いや、いくらニーナでもそれはない。


「・・・・・」


冬香、無言で顔を見ないでくれ。



「あ~、よく寝た~。

 それじゃ、出発!」



零奈・・・何事も無かったかの様に荷物を整理してるけどな。。。

お前がつけたんだぞ、この手形っ!!!





あぁ・・・先が思いやられる・・・。











前回に続き結構短めなので早めに投稿です。

冬のゲレンデ編が開始。

まだ夜行バスの中ですが、知樹は早速苦労してます。


でも、幸せっちゃ幸せな環境ですよ。

ただ寝られないのは辛い。。。(´Д`。)


さて、これから結構大きなイベントもあったりすると思います。

活動報告にて更新予定や裏話なんかも書いてく予定なので、

お気に召された方は是非見てみてくださいね。

では。


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