入学式編:4 波乱の入学式終了
ふう、、、良かった。
なんとか無事に戻ってこれた・・・。
俺が今いるのは1年B組の教室の前。
俺の苦し紛れの誤魔化しにより、ここまで生還する事ができたのだ。
え??三年生から拝借したシューズはどうしたかって??
それはまあ、人がいない隙を見計らって元の場所に戻しておいたさ。
流石にこのままゴミ箱へポイじゃ酷すぎるからな。
今、ここの学校で困っている三年生が、最低二人はいる事は分かるけど。
いや、俺は決して悪く無いぞ、そこんとこ勘違いの無いように。
悪いのは、あの俺を裏切ったアホだ。
てな訳で。
今から、俺が鉄拳成敗を下してやる。
もちろん俺の恨みの分が90%以上だけど。
と、俺は変な意気込みをして、教室内へと入る。
そこで、一人の生徒がこちらを向く。
無論、俊一だ。
俺から奴の所へ行こうとした時、あいつは立ち上がってこちらへと近づいてきた。
そして一言。
「おお、無事だったのか」
「取り合えず、廊下へ出ろ」
「ん?何かあるのか??」
「気にするな」
恐らく、教室内で成敗を下したら俺の身が危なくなる。
あくまでも推測だが、俊一に一目惚れをした女子達の手によって、後から俺が逆に鉄拳成敗を受ける可能性があるからな。
ここら辺が、あいつの容姿の恐ろしい所なんだよな。
「で、どうやって逃れt「お前はアホかぁぁぁ!!」(ドゴッッッ)
廊下に出た瞬間尋ねてきた俊一に対し、俺は奴の話が終わる前に成敗を下した。
ふう、ちょっとはスッキリしたな。
殴られた本人は「い・・・いいパンチだ・・・もう・・お前に・・・教える事・・は何も・・・ない・・バタッ」とか、言ってやがる。
しかも、バタッって自分の口で言ってるし。
「で、どうやって逃れた?」
「回復早っ!ちったぁ反省しろよ」
「すまない、今は反省している、それで??」
・・・どこかの犯罪者風なのはスルーでいこう。
「ああ、今話す」
俺は先程の事を全て伝えた。
もちろん奴が目をつけたのは・・・。
「ふむ、それは面白い担任だな」
やはり気になる所はあの天然先生か。
「まあ、面白いかどうかは分からないけど、っと、入学式が始まるみたいだな」
これからクラス単位で体育館へ向かうらしく、皆並び始めている。
「じゃ、後でな」
「うむ」
取り合えず入学式の会場、体育館へ入場。
一応、入学式に親は来場しても良い、ということになっているみたいだが、殆ど来ていない。
俺の親も来ていない保護者の一人だ。
というか、俺の両親は
「俺は母さんと長期のハネムーンへ行って来る。
お前も義務教育が終了したから、一人でやっていけるだろう。
それじゃあ、元気でな」
とか、親父が言い出したおかげで今は二人とも家にはいない。
あんた等結婚何年目だよ!?とか、義務教育終了したら大丈夫なんかい!?とか言って
ツッコんでみたが結局とめられず、現在一人暮らしをしている。
畜生、あの万年新婚夫婦め・・・。
まあ、何処からか知らないが、仕送りは生活に困らない程度に毎月来ているから
恨めないけど。
おっと、入学式が始まるみたいだ。
え〜と、最初から校長の話か。
一応話が長くない事を期待してみるけど・・・・。
「え〜、皆さ・・・ん??」
あ、校長の声がおかしい。
いや、校長の声を聞いた事あるわけじゃないけど、それでも人間の声じゃないな。
なんていうか・・・ロボット風???
周りもザワザワしてるな。
今起きた事について後ろの席の生徒と話している生徒。
一人で爆笑している生徒。
式が進行しない事にイライラしているように見える生徒。
俺は、後ろを向き俊一を見る、奴は俺に気づいて親指を立てた。
しばらくして式が再開し、そのまま何も無いまま式は終わった。
ふむ、俺が仕掛けた物しかない???
でも、それなら俺がマイクを仕掛けている間、俊一は何をやっていたんだ?
まあ、いいか、教室に戻ったらゆっくり聞く事にしよう。
そしてしばらくして、クラス単位で教室に戻った。
俺は俊一からあの時何をやっていたかを聞こうとしたが、すぐに先生が入ってきた。
これから一年間お世話になる・・・確か小坂先生だったよな。
「皆さん、おはようございます。え〜、これから一年、この1年B組の担任をやらさせていただきます。
小坂 沙耶です。よろしくお願いします」
いきなり何の前触れもなしに自己紹介かい!!
他の生徒も、え?誰この人、みたいな顔して「ウオォォォォイ!!!」・・・ないみたいだぞ??
聞こえてきたのは、この組の男子生徒による雄たけび。
・・・いや、幾ら小坂先生が可愛くても、雄たけびはやりすぎだろこのクラスの男子生徒諸君。
「あ、、、、どうも・・・」
予想外の反響が返ってきた小坂先生も、一瞬驚きながらも何故かお礼を言っている。
・・・・男子生徒も去る事ながら、担任教師も負けてないな、1年B組。
「え〜っとそうそう。それではHRを・・・・」
ふぅ・・・ようやく俺の波乱の入学式は終わるのか。
たった、2、3時間の間の事だが、すごく長く感じたな。
「それでは、皆さん明日からよろしくお願いします。さようなら〜」
小坂先生が明日の持ち物やら何やらを話して帰りの挨拶が終わった、それは同時に俺の学校生活一日目も終わった事を示している。
そして、その日の帰り道。
俺と俊一と零奈の三人は、登校時に歩いてきた道をそれぞれの家に向かって一緒に歩いている。
「ねえ、そういえば、あんた達って入学式始まる前の間何処行ってたの??」
もちろんこれは零奈から、俺と俊一に向けての質問。
「・・・破壊工作」
・・・俊一よ、何物騒な言ってるんだお前は。
もしかして、校長先生の今後の事を予言してそのような事を!?
「訳わからん事言うなっての、零奈も分かってるんだろ??」
「ええ、まあね、流石にこれだけ付き合い長いと、あんた等のやる馬鹿な事も見飽きたわよ」
「因みに、アホなのは俊一であって俺じゃないぞ」
ここはとりあえず、否定しておかんとな。
「・・・どっからどう見ても二人共馬鹿じゃない」
俺の心に痛恨の一撃。
377のダメージ。
俺は倒れた。
「ほら、やっぱり馬鹿じゃない」
と、零奈、もちろん精神的ショック状態の俺の耳には聞こえてない。
「おお!知樹よ、死んでしまうとは情けない」
「お前は某RPGに出てくる王様か!?」
知樹はとっさにツッコミを入れた。
知樹は生き返った。
「お、俺のおかげで治ったか、それではお前の感謝の印として今日お前の家に泊まりに行くぞ」
「いや、訳分からんぞ!!むしろ俺に慰謝料払って欲しいくらいだ!!」
何をどう解釈したら俺がお前に感謝しているように取れるんだ??
「フフッ、やっぱりあんた達、馬鹿で面白いわね」
・・・クッ悔しいが。。。
「・・・認めざるをえない・・か」
「知樹が犯行を認めたぞ!!今すぐ署へr「黙れっ!!」
俊一よ、いい加減ボケるのをやめてくれ。
「・・・・途中ツッコミ不許可法違反で逮捕する」
「訳の分からん物を勝手に立法するんじゃねぇ!大体なんだその、途中ツッキョミふきょきゃ法、って」
・・・巧く言えなかった、結構ショックだ・・・。
「フッ、まだまだだな」
俊一はやれやれのポーズ、零奈はクスクス笑っている。
その後もこんな事をやりながらしばらく歩いていった。
「あっ、じゃあ私ここで左だから、また明日」
ああ、そうか零奈は家の位置的に、俊一と俺の家に向かう途中で別れるんだっけ。
まあ、別れると言っても俺と俊一の家ももうすぐそこだけどな。
「おう、じゃあな」
「ああ」
俺と俊一は軽く手を上げて零奈と別れた。
あっ、そうだ、俊一にあの事聞かなきゃな。
「なあ、俊一」
「ん、何だ?」
「今日のさ、仕掛けって一つだけだっただろ??お前は俺がマイク仕掛けている時何やってたんだ?」
「・・・企業秘密だ」
「ん??またよからぬ事を考えてるな」
「ふっ、さあな、それより着いたぞ」
おっと、俺の家に着いたな。
因みに、俊一の家は俺の家から100m程離れた所にある。
「ああ、それじゃあな」
「ああ」
俺は軽く挨拶をして俊一と別れ、鍵を出し家のドアを開けた。
続く
大分、前回の投稿から時間がたってしまいましたが、何とか続けています。
え〜今回ようやく入学式が終了して
ここから高校生、朝倉 知樹の大変な高校生活を描こうと思います。
もちろん学校内の事だけではなく、休日等の様子も描いていこうと思います。
それでは、次話も期待をせずにお待ち下さい。(笑)
(感想なども頂けたら幸いです)