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妄想が一人歩き




半分零奈の願望で、今日俺は此処に至る。


前日、零奈が急遽決めた待ち合わせ場所に俺は一番乗りしていた。


ニーナは起こしても起こしても寝たまんまだったから、家に置いてった。

つまり一人でこんな賑やかな場所にいる訳だ。


ああ、何処かと言うと、家からそこそこの距離にある県内の中心街的な所だな。

電車やバスの路線も揃ってるし、ここからなら何処へでも行けるけど、あえて今日は此処で遊ぶらしい。

勿論零奈の希望だ。


待ち合わせ場所は、駅前にある時計台の下だけど、此処はよく待ち合わせ場所になるから、人通りが多い。

時計を見ると待ち合わせの時間5分前。




しっかし、まぁなんだ。

昨日、俊一に送ったメールの返信にはこんなことが書いてあった。


『すまないが、遊びには行けない。

 今日の戦利品でやらなければいけない事が多いからな。

 また今度、何か奢る』


何を企んでやがる、お前は。

金で解決できない事もあるんだぞ、チクショー!!






さらに先程零奈から届いたメールにはこんな事が書いてあった。


『急に用事が出来ちゃったから、他のメンバーで楽しんでね。

 冬香はちゃんと行くってさ、じゃあね~』





あやつ、計りおったな。。。








さてと。

これで、俺と冬香と涼だけになったか。





あははははは・・・・。






いよいよ、人生の修羅場だぜ。






「・・・おはよ」


「っい!?」


人生の修羅場とかなんとか考えてる間に、後ろから声を掛けられた。

思わず変な声を出しちまったが、すぐさま振り向くと、そこにはバッグを体の前で両手を揃えて持つ冬香の姿があった。


「あぁ、おはよう」


格好は夏用の紺のフリルのブラウスとスカート。

爽やかで可愛らしい感じ、こういう服を着るわけね、ふむふむ。

いや、別に特に何も無いけど。


それよりも、もう一回ちゃんと謝るのが先決。

昨日はちゃんと謝る前にいなくなっちゃったし。


「あの、昨日はゴメンな、ボール当てちゃって」


そう言うと、冬香は首を横に小さく振った。


「・・・私も・・・酷いこと言った・・・・ごめんなさい」


そう言うと、冬香はほんの少し顔を赤くして頭を下げた。


零奈の言うように、根は本当に良い子みたいだな。

性格が変わるのは勝負事の時だけなのか。


「あはははは・・・俺が悪かったんだし、俺は全然気にしてないけど。。。

 とりあえず許してもらえたって事で良いのか?」


「(こくり)・・・・私も気にしてない」


少し笑って頷いた後、そう言ってくれた。


「でさ、どうも俺と涼以外みんな来れなくなっちゃったみたいなんだけど・・・3人で大丈夫か?

 男二人と行動する事になっちまうけど。。。

 そうだな、歓迎に色々奢るぞ、謝罪の意味も込めて」


「・・・・・(こくり)・・・・」


少し何か考えた後、黙って頷いた冬香。


「じゃ、後は涼だけど・・・・お、来たな」


俺は周囲を見回すと、人混みを華麗に避けながら涼が走ってきているのが見えた。

いつも以上に元気が良いな。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・おはよう、二人共。

 他のメンバーはどした?」


どうも、冬香を恐れているのか、時間ギリギリになって走ってきたみたいだ。


「いや、どうも来れなくなったみたいでさ。

 今日は三人でな」


「何ですとっ!?

 ・・・冬香ちゃん!

 ちょっと耳塞いでて!」


「何すんだよ?」


冬香も素直に一生懸命に耳塞ぐなっ。


「・・・あのなぁ、俺達は昨日冬香ちゃんによる攻撃で大打撃を受けたんだ。

 その傷いえぬまま、二人で戦いを挑もうなど、、、瀕死の鼠2匹でライオンに立ち向かうようなもんだっ」


「大袈裟に言うなって。

 冬香は勝負事になると厳しいけど、普段は普通の大人しい子だからさ。

 さっきだって、俺が悪いのに謝ってくれて、俺が困ったくらいだ」


「へ?そうなの?」


キョトンとした顔をする涼。


「ほら、冬香も耳塞いでないでさ」


冬香は手を耳から離すと、涼の目の前に立った。


「・・・・・・・昨日は酷い事言って・・・ごめんなさい」


またまた、顔を赤くして謝る冬香。


「い、いや、冬香ちゃんは全然悪くないっていうか。。。

 俺こそなんかゴメン・・・」


うむうむ。

変な空気になったけど、良しとしよう!


「・・・・うしっ、まぁいいや!!

 暗い話は止めにしてっまずはメシだメシ!」


とりあえず、待ち合わせの時間が11時だったから、ちょっと早いけど昼食をとる事にしよう。

冬香が何やりたいのか、全然わからないし、話でも聞けば分かってくるだろ、きっと。

 












んでまぁ、俺達が寄ったのは普通のファミレス。

理由は近くにあったし人もあんまりいないから、ただそれだけ。


「とりあえず、何注文するよ?」


因みに席は窓際の4人用の席だ。

俺と風香が窓際で、俺の隣が空席で冬香の隣に涼、といった位置取り。


とりあえず、メニュー表を全員で見られるように机に開いてみる。


昼だし軽めのモンでいいか。


「じゃ俺和風ハンバーグ定食!!

 ご飯は大盛りで!」


涼、真昼間からそんな重いモンを昼から食うのか!?




・・・ま、いっか、俺は適当にざるそばでも食っておこう。


「うし、俺も決まったし、あとは冬香だな。

 冬香の好きな物って何?」


「・・・・・」


無言でメニューのページをペラペラめくると、スッとこれまた静かに指を指した。


「っお子様ランチ!?」


ま、まさかっ。

いや、人の事をとやかく言える立場じゃないけども、これ注文しにくいでしょ!


ウェイトレスが来てさ、昼間からの和風ハンバーグ定食と、このメンバーからのお子様ランチの注文が入ったら仰天だろ!?





「・・・・冗談・・・言ってみただけ。

 これでいい」


冬香は静かにページを捲ると、静かに冷やし中華を指した。


「あ、何だ、冗談か・・・・あはははは」






正直分かり難いっす、冬香さん。








「注文を承ります」


暫くして、ウェイトレスが来た。


「え~と、ざるそばと、和風ハンバーグ定食のライス大盛りと。。。

 あと、冷やし中華」


俺がそう言うと、ウェイトレスがもう一度品を読み上げ始める。



「―――――以上でよろしかったでしょうか」




「―――――あ、・・・・・あと」




注文の読み上げが終わると同時に、冬香が小さく口を開いた。

そしてまたページを捲って開かれたページは・・・・デザート?


「これを・・・食後に・・・・」


冬香が頬を赤らめながら指したのは。




デラックスフルーツパフェ?




「デラックスフルーツパフェを食後ですね、了解しました」


ウェイトレスがそう言って、この場を去る。




「冬香って甘いもの好きなんだ?」


「・・・(コクリ)・・・」


まだ、顔を赤くしている冬香が下を向きつつ小さく頷く。


そんな恥ずかしがる事か??


「いや、恥ずかしい事じゃないって、全然。

 やっぱ女子なんだなぁって思っただけだから、変な意味じゃなくてさ」


女子が皆甘いもの好きかって言ったらそうでもないけども。


「・・・(こくり)・・・・ちょっと・・・お手洗いにいってくる」


そう言うと冬香は席を立つと、顔を赤くしたまま早歩きで店の奥のお手洗いへ向かった。








「おいおいっ!!!」


涼は冬香が席を離れるために一瞬立った訳だが、

興奮した様子で、すぐさま俺の隣に体を寄せてきて片腕で俺の首をロックした。


「なんだよっ、気持ち悪い、顔を寄せるなっ、首から腕を放せっ!」


「冬香ちゃんさぁ・・・・滅茶苦茶可愛いくないか!?

 純粋すぎて泣けてくるっ!!

 今時あんな子いるかよ!?くぅぅ~~~服も可愛いし、あの訳の分からない冗談にしろ・・・とりあえず惚れた!!」


「なんか自分の気に入った子全員に言ってないか、それ?」


確かに今日の冬香にはグッとくるモンはあったけどな。。。


「あんなに可愛いなんて、昨日気が付か無かったのか不思議なくらいだ!!

 さっきも上目遣いで恥ずかしがりながら謝る姿なんて、、、思わず俺、抱きつきそうになったし」


「おいおい・・・」



犯罪です、思っただけで止めときましょう。



「あの、細い体をさギュ~っと抱きしめたらどんなに幸せな事か。

 そうだ、シチュエーションはこうだ。

 冬香だけに季節は冬で、まだ付き合っていない所でのデートとしよう、心して聞けよ――――――







・・・また握り拳を作りながら熱く語り始めやがった。


はい、では、ここから涼君の妄想劇場、開演で~す。












――――――冬のある日の寒い夜のこと。



昼間こそ賑やかな町の中心部を歩いて回った二人であったが、夜になるとここらは恋人たちで更に賑わってくる。

まだ恋人という関係でもないし、冬香は賑やか過ぎる所が苦手。

だから賑やかな所を抜けて、人通りの少ない小さな公園で、二人のデートのラストを締めくくるべく、俺と冬香は楽しそうにベンチの上で今日の出来事を話している。


もちろん俺が一方的に話している訳だが、冬香は俺の話を聞きながら時々クスッと静かに笑いながら俺の話を聞いてくれている。

小さいけど何か神秘的な力を感じるその笑顔が少し目に入るだけで、どんどん俺の口から言葉が出てくる。

もっと笑顔が見たかったのだろうか、理由は分からない。



でも、その楽しいひと時も何時までも続く訳じゃない。

むしろ楽しい時間ほど早く進むもの。



公園の時計がたまたま目に入る。

針は高校生の俺達にとって、外で過ごすには遅すぎる時間を指していた。



「・・・・・」



時計を見てから、俺はふと夢から現実に戻る。


もう別れなきゃいけない。



また学校に行けば会える、そんな事は分かってる。

でも俺の口からドミノ倒しの様に次々出てきていた言葉が急に途切れた。


見えない障害物がドミノとドミノの間に置かれた様だった。





「・・・・どうしたの?」





冬香もそれに気が付いたのか、首を傾げながらこっちを見る。


『別れたくない』俺は目の前の透き通った大きな瞳と目が合って、即座にそう思った。



「・・・・手・・・・握っても良いか?」


兎に角、別れたくない気持ちを行動に出したかったのか。

そんな言葉がでた。


「・・・・うん」


冬香は寒さで赤くなった頬を更に赤くしながら小さく頷き、ゆっくりと俺に近い方の手を俺と冬香の間10cm程のスペースに置いた。



小さい手。



ただ、そう思っただけで、俺はその手の上にゆっくりと手を重ねた。

比較的大きい俺の手に、スッポリと隠れてしまう程に本当に小さい。


冷たい手の感触とは打って変わって、俺は自らの体温が急激に上がっている事に気が付いた。



そして、俺は冬香の小さい手を離さない様に、それでいて優しく握った。



「・・・・このまま、帰ろうか」



意外だった。

別れたくない気持ちから出た行動の後に、この言葉が俺の口からでるなんて。



「・・・(こくり)」



冬香はゆっくりと頷いた。





俺はベンチから腰を上げた。

全然重くなかった、別れが惜しくなくなったのか・・・・。





「・・・・雪」





冬香は座ったままそう呟いた。

俺は声に反応して、座ったままの冬香を見た。


すると、小さい雪の結晶が繋がっている手の上に落ちた。


本当だ、雪だ。





「・・・・っ!?」






俺は座っている冬香の手を引っ張って抱き寄せる。



冬の厚着の上からでも冬香の小さくて華奢な体を感じる事が出来る。

顔は見えなくても驚いている事も分かる。

でも自分のこの行動には理解が追いつかなかった。

別れたくないという気持ちが爆発したのか?



冬香も理解が及んでいない状態のようで、暫く反応が無かったけど、暫くして弱弱しい力で抱きしめてきてくれた。

髪の良い香りが俺の鼻を擽る、とても居心地が良い。


1分・・・いやそれ以上かもしれないが、その状態が続いた。


俺は冬香の肩に回した両手を離し、冬香の肩を優しく掴んで顔が見える所まで、ほんの少し体を引き離す、同時に冬香の手も静かに解けた。

冬香の顔がこれまでに無いほど近い、息さえ普通に届いてしまう程に、多分二人の顔は真っ赤だろう。




「冬香。

 俺上手く言えないけど、とにかくさ・・・別れたくない。

 好きだ」


俺は冬香の目を見ながらそういった。


「・・・・・・・」


少しして、冬香は目を反らした。


「ん?」


「・・・・本当に私で・・・大丈夫?」


もう一度俺の目を見ながらそう言ってきた。


「大丈夫って?」


「・・・・私・・・人と話すの苦手で・・・・・・・性格も・・・・・・きっと前みたいに、ひどい事言う・・・」


「いいんだよ。

 そういう所も含めて大好きだから、冬香の事」


冬香の顔が今までの中で一番輝いた。

そうだ、この笑顔が見たかったんだ。


「じゃぁ・・・これから・・・よろしく・・・お願いします。

 ・・・ちょっとひどい事言っちゃうかもしれないけど・・・・ありがと、涼」


「あはは、いいって。

 俺そういうのに慣れてるし。 

 何より俺は――――――――




















―――――――ドMだしなッッ!!!!!」














「バカッ!!!

 ファミレスの中で大声でドM宣言するんじゃねぇよ!!!!!」



あ、どうも、妄想の世界からおかえりなさい。



涼の奴、今まで肩を寄せてヒソヒソ話してたのに、急にドMの部分だけ叫びだしやがった。。。

お陰で、周りから失笑が絶えない。

恥ずかしい、死にたい・・・・。






あ、そうだ。


※さっきの話の冬香は飽くまでも涼のイメージです。

 現実とは異なる事が多々あります。






「おっと、つい力が入ってしまった。

 しかし我ながら力作のストーリーだぜ。

 だろ、知樹」


「この短時間でコレだけ作ったのはある意味才能だな」



まぁオチが最低だし、妄想力がキモいレベルに達してるけど。



「だろだろ、これは出版できるぞ。

 その名も『短編小説:俺ドMだから』」






「止めとけ、末代までの恥どころじゃなくなる」






「ったく・・・・分かってねぇなぁ。

 冬香ちゃんは分かるよn―――っていつからそこに!?」



あ、本当だ。

気が付けば冬香はお手洗いから戻って自らの席についていた。







「・・・・・・・・ドM・・・・・・・??」






首を傾げる冬香。

うん、確かに可愛い。





















「お待たせいたしました。

 デラックスフルーツパフェです」


さて、俺達が昼食を済ませると、注文どおりに冬香のパフェが届いた。

冬香は運んできたウェイトレスに一礼すると、右手にスプーン、左手にフォークを取った。

独特のスタイルだけど、普段から結構食べてる感じかな。


「・・・・(ぱくり)・・・・・」




あ、食べた。





「ん・・・・・・・87点・・・・・・・」


「ん~と・・・・ハイスコア・・・なのかそれ?」





いや、聞いちゃ悪い事かもしれないけど、あえての質問ね。





「・・・歴代代3位・・・」


そう言うと、冬香は小さく拍手をした。


わ~い、パチパチ・・・・・大丈夫か俺。。。













「ふぅ~~さて、昼飯も食ったし、何処行く?」


そういや、食いながら話すつもりが、案外突っ込み所が多くてまともに話せてないな。


「俺は別に何処でもいいぜ。

 冬香ちゃんが決めたら・・・って・・・・おい、知樹、冬香ちゃんは?」


「ん?

 あれ、会計済ませてからさっきまで、ずっと隣にいたはずなんだけど」


ん~と・・・あ、いたいた。

あそこは確かゲーセンだったな・・・何時の間にあんな所に、、、結構フリーダムな子なのな。


「お~い、冬香、どした?」


冬香はゲーセンの入り口にあるUFOキャッチャーをじーっと見つめていた。

正確にはその中に入ってる人形か。


「・・・・これ欲しい・・・かも・・・」


冬香が指差した人形は小型の子犬の人形だ。

・・・可愛い趣味してるな。。。


まぁ冬香の好きなようにすればいいさ。


「そうか、だったらやってみたら――――「ちょっとまったぁぁ!!!」―――――っおい・・・・!」




突然、涼が話に割り込んできて冬香に聞こえないように、また片腕で俺の肩を持ち体を固定しながらヒソヒソと語りだした。

 

「こういう勝負事をすると、また冬香の性格が変わっちゃうだろ・・・・!

 それに冬香はゲーム自体に興味があるわけじゃないんだぜ?

 だからさ、こういう時は男の俺達が頑張って取ってあげるってのが普通だろ。

 ここは俺に任せろ、株を上げるチャンスだぜ・・・!!」





ま、まぁそうかもな。


でも、嫌な予感がする。

いや、嫌な予感しかしない。




そして、10分後。


「っく・・・2000円使っても取れないとはっ!

 この子犬タダモノではないなっ!!」


いやただの人形だし。

それに、モタモタしてると・・・。




「ちょっとどいて」




冬香がそう言った。

これはもしや、覚醒モードか!?




(カチッ・・・カチッ・・・ウィーーーーーン・・・ガタンッ・・・)




あっ、もう取っちゃった。

一回目で。。。


冬香は景品取り出し口から子犬の人形と取り出すと、プラーンと人形を涼の目の前にぶら下げた。




「あんなに使っても取れないのは、時間のムダ。

 あと2000円で済んだこと、勘違いしちゃだめ、あなたと私の差は1900円じゃない」



「はうっ・・・・・・!!!

 ・・・知樹、おれちょっとトイレ行って来る・・・」



おう、泣いて来い。






そして、5分後。





「本当に・・・ごめんなさい・・・・。

 頑張ってくれてたのに・・・・酷い事言った。。。」


冬香が顔を赤くしながら、謝っていた。


「いやいや、俺が勝手にやった事だしさ。

 それに止められなかったら桁が一つ増えてたかも・・・な~んて、はははは」




この二人は息が合ってるのか、合ってないのか。

うむ、分からん。




















「さてと。

 そろそろ、帰るか?

 俺も家で夕飯の支度しなきゃいけねぇし」



あれから、買い物なんかしたりして楽しんでいたら、気が付けば日が傾いていた。

町の中も暗くなってきて、徐々にカップルなんかも増えてきて・・・・。


あ?何か何処かで聞いた話だな。


「ふ~ん、そうか。

 じゃ冬香ちゃんさ、人が多くなってきたし、何処か静かな公園で二人で話でも―――――」


「オォォォォイ!!!」


俺は思わず、涼の首をロックした。


「悪い、冬香、ちょっと待ってて。


 ・・・お前な、さっきの妄想を現実へ持ってくるな」


冬香に聞こえないように小さく言う。


「いやいや、そこまで考えて無いって。

 ただもう少し話したいなぁ~って」


「第一、冬の設定はどうしたんだよ!?

 今まだ、秋の入り口だぞ?

 それこそ冬まで仲良くして、それからだろ!」


それに、冬香だって人とのコミュニケーションに慣れてないだろうし。

いきなり異性との一対一は・・・。


「ふっ、オクテの君には分からんよっ!!」


そう言って、涼は俺の束縛から抜け出す。






「で、何処かの公園で話でもどうかな?」


「あ・・・・ちょっと今から用事が・・・・」

 

「あ・・・そうなの?」


「ごめん・・・なさい」


何だったんだよ、さっきの俺と涼のやり取りの意味は!!!

それに本当に冬香に用事があるのか分からないし。。。

もしかしたら本能的に涼に身のキケンを感じてるのか??


兎にも角にも、冬まで待てって事か。

一応応援してるぜ、涼。


今日はなんとなく、冬香の気持ちを察して止めただけだから、うん。



 











「ふぅ~~~ただいま~~~~」


・・・・・返事なし。

ッたく、何だニーナの奴。

もしかして、まだ寝てるのか??


「ニーナァ~~!・・・・って、おいっ!!!」


二階のニーナの部屋に向かおうと、階段に足をかけた所でリビングのソファーで横になっているニーナを発見。


「ど、どうした?」


どうも、ぐったりとしていて元気が無い。

まさか、また病気にでもかかって・・・??




「朝起きたら、誰もいなくて・・・・お腹空いたぁ・・・・」




あ、昼飯作って置いておくの忘れてたわ。




「あ、悪い悪い」


「・・・トモのばかぁ!」




ん?そういや、俺って悪くないよね、ね?



締まらないオチ、申し訳ない。













なんか、過去で一番どうでも良い終わり方をする話かと。

いや、いきなり作者からの後書きがネガティブですみません。


実は、本音を言うとこの話の目的は。。。。


涼の妄想話をカキタカッタダケー。


あ、でも涼と冬香の関係はですね。

妄想どうりにいったり、いかなかったりラジバンd――――ゲフッゲフッ。


ま、いいや、新学期突入でキャラが増えるかもですね。

俊一の姉も出したいなぁ、とか思ってみたり、では。



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