入学式編:3 裏切り!?そして・・・
いきなりだが、世の中の馬鹿と呼ばれる人々には3つのタイプがあると俺は思う。
勉学的に出来ないのと、人間的に馬鹿なのと、両方とも駄目、と言う3種類だ。
ほとんどの馬鹿と呼ばれる人は恐らく三つ目が多いと考えられる。
そして俺の目の前にいる馬鹿は、間違いなく二つ目だろう。
頭が良すぎて人間的に理解できない行動が多い、それ故一番性質が悪いとも言える。
そんでもって、俺は今ちょうどソイツが行う馬鹿な行為に巻き込まれている所。
「よし、それではこの[自作ボイスチェンジャー内蔵マイク]を俺の合図と同時にあそこのマイクと取り替えて来い」
「いきなり、可笑しな事やろうとしてますね貴方は」
「当たり前だ、可笑しな事をやりに来たのだからな」
「そりゃそうだけどさ・・・」
やはり、コイツには何言っても無駄だな。
「お、どうやら舞台上の三年生が舞台から降りるようだ、、、、良し行ってこい」
「お、おう」
ふう、最初だと言うのにもう疲れてきたな。
まあ、この作業は三年生用のシューズを履いているから楽勝だろう。
万が一誰かが来てもそっぽ向いてれば大丈夫だろうし。
問題はマイクを付け替える数秒間だけ。
そういえばこのマイクはここでは使えるのだろうか??
体育館で使えなかったら意味が無いような・・・。
まあ、いいか、、、俺は俺の仕事をするだけだ。
え〜と、今、誰も見て無いよな・・・。
んじゃやるか。
え〜と、まずマイクの電源を切って、ここをこう外してーーー---よし。
あとはコイツを付けて、と。
完了。
俺は俊一がいた方向をチラッと見る。
が、俊一はそこにはいない。
何処へ行ったんだ・・・と思った矢先、隅のほうから俊一が出てきて、俺に手招きをしている。
ふむ、そうかあいつはあいつでやる事やってたのか。
俺は歩いて俊一の方向へ戻る。
「よし、取り合えずやる事は終わった」
案外少ないな、もっと多いと思ってたけど。
「???お前にしては、仕掛けが少ないな」
「まだ最初だからな、今日は挨拶代わりだ」
と、言いつつもコイツの口はにやけている。
一体、コイツはどんな事を後々やろうとしているのか・・・恐ろしや恐ろしや。
まあ、今日の仕掛けが少ない事は本当だろうが。
「あ、そうだ、あれはここでも使えるのか??」
俺は、先程俺が付けたマイクを指差しながら言った。
「ん?ああ、大丈夫だ。そこの所も調べ上げている」
「どれだけ暇人なんだか」
「フッ、まあな」
「褒めてねぇよ」
と、馬鹿にツッコミを入れながら歩いて入ってきた非常口へと向かう。
そして、俊一がドアノブに手を掛けた、その時。
「おい、君。ここで何やってるんだ?」
後ろから先生の声らしき物が聞こえてくる。
後ろを振り向き、人影が見えて、マズイッと思ったと同時に(バタンッ)と前からドアの閉じる音。
「おい俊いーーー----」
い、いない・・・・。
ドアの向こう側から
「メディック!!一人殺られたぞっ!!」
と、言う叫び声が聞こえる。
ここは戦場かよ!?と、取り合えず心の中でツッコんでおく。
・・・訳分からんが、奴が俺を裏切った事は認めたくない事実だな。
「おい、君」
先生の声も近づいてきたし・・・。
これはもう終わったな。
逃げれば良いと思うかもしれないが、もう先生の足音はもう数メートルも無い所から聞こえてくる。
いや、待て落ち着け。
やり様によってはこの場をどうにか乗り切れるかもしれない。
思考中・・・・思考中・・・、、、ん!!
確か少し前に、[言葉に迷った時のとっさの一言]と言う本を見た事があるぞ。
これを利用しない手は無い!!
「君!!」
「アド街見ました!!」
「は???」
(注※アド街・・・テレビ東京「出没!アド街ック○国」の略)
・・・・・しまった!!
振り向き様に言う言葉の選択を思いっきり間違えた!!
目の前に立っている、30代前半くらいの男性の先生も頭の上に?マークがある。
たしかに、これは『買い物する時レジでお金が足らない時』の一言だ。
成功確立がかなり低いけどな。
コアなネタごめんなさい。
これを番組で紹介された店で言うと、値段が割引きされたりするのさ。
そういう番組があったのさ。
いや、今はそれより何かリカバリーを・・・。
「あ、、、いえ、ちょっとコンタクトレンズをお、落としてしまいまして・・・」
苦し紛れに放った一言。
なかなか良いのではないか??
「あ、ああ、そういう事か、そういう事なら手伝ってあげたい所なんだけど・・・
今ちょっと忙しくてね・・・お、小坂先せ〜い!!」
な、なんと援軍を要請しやがった。
これはかなりまずい状況です!大佐!!
あ、でもこの先生はいなくなるからいいか。
「はい、何でしょう??」
小坂先生と呼ばれていた女性の先生が小走りでこちらに来た。
パッと見、年齢は20代中盤位だろうか。
「この生徒がコンタクトレンズをここら辺で落としてしまったみたいなので
一緒に探してくれます??私は今から職員室へ行かなければならないので」
「あっ、はい分かりました」
と、小坂先生が返事をすると、男性教師Aはこの場を立ち去った。
「え〜と、あなたは・・・」
「あ、どうも、朝倉 知樹です。すみませんお忙しい所を・・・」
「あ〜、いいですよ気にしないで下さい」
ん〜、なんだかこの先生すごいおっとりしてるな。
しかも近くで見ると、顔も整っていて、結構美人だ。
美人って言っても零奈と違ってどちらかと言えばかわいらしい感じ。
身長も160cmあるかないか位だ。
これは独身の男性教師が黙って見過ごさないな。
おっと、そんな事よりどうするかなこれから。
実は俺の視力は決して良い方ではないので、コンタクトを付けている。
それは本当。
眼鏡も持っているしな。
それでもコンタクトを落としたというのは嘘だからな。
まあ、ここはタイミングを計って見つけたフリをしてさっさと退散するか。
こんな先生に嘘の出来事を手伝ってもらうなんて事もあまりやって欲しく無いしな。
「ちょっと〜、知樹君の物なんだから、知樹君ももっと探して下さいよ〜」
「え?ああ、すみません」
口調もものすごいおっとりしているな。
しかも名前で呼ばれている。
うん、悪くないな。
「そういえば、知樹君は何処のクラスなんですか??」
うっ、一番聞かれたくない所を聞かれた・・・。
仕方が無い、どうせ何時かばれるんだろうし、正直に言おう。
「1年B組です」
「一年生ですか?!いや〜見えませんね〜」
いや、突っ込む所そこじゃないだろ!!と心の中で逆に突っ込む。
まあ、確かに背はでかいし、一年には見えないだろうけど・・・。
普通の一年生なら今は教室の中で待機していると思うのだが。
これは、[おっとり+天然]のダブルコンボか。
生徒からも告白が来そうなタイプだな〜。
いや、本当に。
まあいいや。これはこれで逆に都合がいいな。
「あっ!そういえば私が今年担任をやらさして頂くのも1年B組でしたね〜。
一年間よろしくお願いします」
は??今なんとおっしゃいました??
「え?え?」
「だから、今年の1年B組の担任は私なんですよ」
マジディスカ??
「は、はははは」
なんかリアクションに困る。
う〜ん、喜んで良いのやらどうすれば良いのやら。
「笑わないで下さいよ〜」
う〜む、分かって無いですねこの先生は。
良し!!困った時は・・・
「アドm・・・」
じゃないだろ俺!!
「アド???」
あ〜え〜〜〜っと。
「あ、あ!!ドアの近くに俺のコンタクトレンズが!」
凄い無理やりだな俺。
「本当ですか?良かったですね〜」
・・・ここまで来ると本当にかわいらしいなこの先生。
「どうもお忙しい所ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして。
それではまた後で〜」
「はい、一年間よろしくお願いします」
「こちらこそ〜」
最後に一言でまた、小坂先生は体育館の舞台の下の方へ曲がっていった。
最後までおっとりしてたな、あの先生は。
一体どうなる事やら・・・。
・・・あ、そうだ。
取り合えず教室戻ろう。
そして、あのアホを一発ブン殴ってやる事にしよう。
うん、そうしよう。
続く
どうも。
いや〜ようやく書くスピードが早くなってきました。
構成と言うかなんと言うか、色々な所が徐所に滅茶苦茶になっていくので大変です。
・・・特に登場人物が。(汗
・・・・・・そろそろまともな登場人物を出さないといけないかなぁ。