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山へ 〜出発の朝〜

ぼふっ、と何かが俺の上に乗った。

俺の腹部に重みが伝わる。


・・・眠い・・・けど、何が乗っているかを確認せねば・・・・。

大概予想はついてるが。


俺は夏の眩しい朝日相手に辛うじて右目を開けた。


「おっはよう!!」


太陽に負けない程の元気さで、目の前で挨拶したのはニーナだ。


「・・・顔を近づけるな、目の前で叫ぶな、朝っぱらからマウントポジションとるな!」


「ふふ〜ん。。。

 挨拶もなしで、そんな偉そうな事が言える立場かな???」


何だその明らかに「今から何かしますよ」的なセリフは。。。

まぁ、確かに自由が利くのは手だけなのに下手な事は言えん。


・・・いや、言っちまったので、もう遅いか。


「いつもの、朝のキスしよっ」


「いつもしてねぇだろうが!!」


「ちっ、バレたか

 なら、無理やり・・・」


「どうやってもバレるだろって、、どぅわぁぁ!!

 ちょ・・・ま、待て!!

 おはようございます!!おはようございます!!」


「もうダーメ♪」


俺はニーナの顔の進行を止めようと必死に手で防御する。

すると、横でコーヒーカップを手に持ち、眠そうにベッドに座ってこっちを見ている俊一の姿が視界に入った。


「しゅ、、、俊一!た、助けてくれ!!

 ヘルプミィィィィ!!!」


俊一は、コップに入ってるものを全て飲み干し、冷めた表情で


「・・・・・ごゆっくり・・・」


と言って洗面台の方へと行ってしまった。


「俊一ぃぃ!!」」


絶対絶命。。。


「・・・止めてくれ、頼むから!!」


「そんなに嫌?」

 

「嫌だね、俺にとってのキスはそう軽々しくする物じゃなくて。。。

 もっと、こう雰囲気のある場所で・・・って何言ってんだ俺は!!」


「ははっ、何それ。

 まっいいか、ロマンチックなトモに免じて、今日は止めといてあげる」


ふぅ、、、退いてくれた、感謝感謝。

 

「で、今日は何するんだろ?」


んな、事は俺には分からんが、、、ってそうだ俊一。。。


「・・・よし、俺がついでに俊一に聞いてきてやろう」


俊一は洗面台だったよな。


「うん、ありがとっ・・・・て、何のついで??」


(ゴンッ!!)


「・・・何の音??」










数十分後ホテルロビーに俺達は集まっていた。


「俊一、痛そうにしてるけど大丈夫??

 何処かで頭でも打った??」


「何でもない。

 ・・・・・俺は何も悪くないはずなんだが・・・・」


「???」


気に掛ける零奈に機嫌が悪そうに答える俊一。


俺を見捨てた罪を思い知れ。


「では、今日の予定を言おう」


俺は奴の頭に一発かますついでに部屋で聞いたから、読者さんには俺が簡単に説明しよう。


今日はどうやら皆でハイキングをするらしい。

暑い夏に歩くのは少々気が引けるが、山中は涼しいらしいので問題ない・・・らしい。

歩くのはここから数分間歩いた所にある極々フツーのハイキングコース。

勿論歩いて行ける位だから海からでも見ることは出来た。


・・・と、まぁここまでは良いとしよう。

非常に健康的で素晴らしい。


が、予想がつくと思うが、、、勿論普通に歩いて終わりと言う事は無い。



「質問!!」



話を聞き終わったニーナが声を上げた。


「何だ?」


「荷物も何も準備してないんだけど」


「心配は要らない、こちらで準備をしておいた」


・・・「こちらで」って言うのが妙に引っかかる。

準備したのが聖奈さんならともかく俊一だ。

絶対何かやってるに違いない。


「少し、待っててくれ」


と言うと、俊一はホテルのフロントへ行き、声を掛ける。


と、奥から同じ種類の大き目のナップサックが人数分ホテルマンにより運ばれてきた。


「普通に皆でワイワイ山を歩いて楽しいとは思えない。

 そこで、この中には水分一リットル、昼食用の食料、救急用物資が必ず入っている。

 中身はランダム、選んでみてのお楽しみだ」


・・・何故こういう発想が出来る??


「ただし、良し悪しはナップサック単位、つまり良い食べ物には良い水分が同梱している。

 救急用具は皆で助け合えば良い為、悪い所には重い物、いい所には軽い物となっている。

 だから、選ぶ時は一度触った物を自分の物としてくれ、重さで選ばれては意味が無い」





「・・・・本当にやるのか??

 こんな事」


すんごい疲れるような気が・・・・。


「・・・・面白そう!!」


へ?


「こういうのって好きなんだよ俺!」


ニーナ、涼は興味津々のようだ。。。




「はぁ・・・ホント、馬鹿な弟・・・」


聖奈さんはがっくりと肩を落としている。


チャンス!!


「そうですよね!?

 やっぱり普通に――――」



「あ、でも、木陰なら日焼けしないからこっちの方がいいかも」


「私も焼けたくないから、ビーチでボーっとしてるよりはこっちの方がいいわね」


はいっ、聖奈さんと同時に零奈もハイキング組〜〜〜〜〜。


そこで、俺だけ行かないとなると、俺は完全に空気読めない・・・つまり完全KY野朗、更に略すとKKY野朗だ。


「知樹は行かないのか?」


「くっ・・・・ご同行させて頂きます・・・・・」


結構これかよ・・・・。





「さて、それでは選んでくれ」


俺達は適当に選んだナップサックを手に取った。


さて、俺のナップサックの中身は・・・・


結構大き目の包帯、これは救急用か。


水分・・・天然水、これはよしとしよう。


昼食は・・・・・・。。。。






は?





「おい、俊一」


「どうした」


「これは水分とも取れるだろ」


どうやら今日の俺の昼食は、何時でも何処でもスピードチャージが可能、あの有名なゼリー状の物となりそうだ。


「運が悪かったな。

 2番目のハズレをひくとは」


・・・・2番目って事は俺より運の悪い奴がいるってことか??

この場合大概ハズレを引くのは涼だが、、、涼しい顔で中身を漁っている様子からみるとそれは無い。

んで、今日集まった人達で落ち込んでいる人はいないようだ。


となると。


「そういや、俊一お前のは?」


「不正だと言われないように、残りの一つを貰うつもりだが」


確かに、先程ナップサックが積んであった所には、最後の一つがちょこんと置かれている。


「それでは、俺の物の中身を確認するとしよう」


といって俊一は自身の荷物の中身を確認した。






俊一の体が5秒間ぐらい静止した。






「・・・・・どうやら今日は俺の命日の次に最悪の日のようだな」





ああ、ご愁傷様。

ってか、自業自得か。




さぁて、ここで俺が俊一の荷物の中身を説明しよう。


まずは、救急用具だが・・・・。


救急セット一式。

これは結構重い。







飲料水・・・




○ルピスの原液。





もちろんこれも一リットルだ。


つ〜か、単品で飲めるもんじゃないだろこれは。




次に食料・・・カップラーメン。


これは別に・・・って山道にはお湯が無い!水すら無い!!


バリバリ食うのか、喉が渇いたら、あの原液をそのまま口に・・・・地獄だ。




「・・・さて出発するか。。。」


俊一のテンションがより一層低くなったのは気のせいではないだろうな。














ミ―――ーーミ――ーーー・・・・・


セミの声が耳に障る。


「あ〜、五月蝿い黙れ。

 セミ黙れっ!!!」


どうしてセミの音ってのはこうも暑さを煽るのだろうか。


「知樹、お前はとうとうセミと会話できるようになったのか」


「なってねぇよ・・・気分的に黙って欲しいだけだって・・・」


だめだ、俊一の一言でも冷静さが保てる程、セミの方が断然暑苦しい。。。


「そんなに、暑がってるの知樹だけみたいだけど?」


零奈の声を聞いて辺りを見渡すと、確かに皆涼しい顔をして普通に歩いている。


「なっ・・・」


「トモってば暑がりなんだよね〜。

 6月の中旬頃にはもうクーラー使ってたもん」


「それは地球温暖化に貢献する人間そのものだな。

 よし、お前にその水を飲む資格はない、俺に渡せ」


ニーナの言葉に反応して俊一の野朗がまた訳の分からんこと言い出しやがった。


「誰が渡すか!!

 お前はカルピスの原液があるだろ、合わせて飲もうとしてもそうはいくか!!」


「・・・・・・」


図星、ざまぁ見ろ俊一。


「まぁまぁ、落ち着けよ二人とも」


むっ、涼・・・・・。

普段一番騒がしいのはお前だろが。


「「コイツに言われちゃお終いだな」」


「何でそういう時だけ仲良くなるんだよお前らは!!」


「「「ははははは・・・・」」」






そして、そんな様なやり取りをしながら、暫く歩き続け、丁度お昼時。

本日予定とする2つの山の内、一つ目を歩き終えた俺達は。

俺達はだだっ広い公園・・・というか、ただ芝生が広がっただけのスペースに着いた。


俊一が言うには、ここで昼飯を食べるという予定らしい。

なんか俊一のポジションが引率の先生みたくなっているが、俊一の計画だ、仕方ない。


しかし・・・・昼飯って言っても俺は某ゼリー飲料しかないのが悲しい・・・・お湯なしカップラーメンよかマシか?

いや、食感がある方がいいかも――――いや、冷静に考えればどちらもアウトだろ。

普通の昼食を用意してくれ。。。


そう、思いつつも、俺は緑色が広がる景色を眺めながら『昼食』を飲むのであった。






2日目は一転して、山でございます。

でも、ですね。

フツーに終わっちゃ面白くないんですよ?


・・・次回をお楽しみに!!



ここからは、私の小説全体に関してです。


更新が遅れまして、真にに申し訳ありませんでした。

楽しみにされていた方々へ、お詫び申し上げます。


これからも、私事的な理由で更新できない事があるかも知れません。

しかし不定期更新ながら続けていこうと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。




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