先刻承知の部屋分け
「真夏の太陽、ほんのりとした潮風の香り。
うむ、これぞ海!!」
今回の旅行。
俺を含めたいつもの5名だけかと思ってたら
俺達の学校の生徒会長である俊一の姉の聖奈さんも同行している。
受験生なのに良いのか??
とまぁ、心配抱えながらも、男女それぞれ3名3名。
よって計6名だ。
俺達6人は電車で数時間に渡った移動の末、海へ到着した。
時刻は昼。
太陽が真上に在り、さっきも言ったとおりそのまんま真夏の海!って感じだ。
「太陽?潮風?俺はそんなものには興味はござらん!!」
俺の言葉に江戸時代風に真っ向から反発したのは涼だ。
反発されるような事は一言も言ったつもりはないんだけどな。
「なんだと・・・?
ならばお主何が目的でここへ・・・」
と、言いつつ俺も同じノリで返してしまう所が、自分でも理解できない。
「私の目的は只一つ!!
水着美女をナンパし、海を背景にモデルとなってもらい、美しい写真をわが手中に・・・・」
・・・そういや、こいつ写真撮るような趣味があったな。
でも、普通はナンパしたら遊ぶとかするもんじゃないのか??
「何!?貴様っ!!そのような理由で美女を誘うと申すか!」
「ふはははっ!!何を今更・・・・」
「・・・零奈ちゃん、あの二人って何時もあれなの?」
「馬鹿ですから。
聖奈さんもあの二人が馬鹿な事言ってきたら無視していいですよ」
「うふふ・・・・分かったわ」
「それじゃ、アホらしいから無視してさっさとホテルに荷物置きに行きましょ?」
「そうだな。
むしろ無視しないと同じ目で見られる恐れがある」
「じゃ、先行ってるから」
俊一と零奈、そして聖奈さんまでもが俺達から離れていく。
「トモ達早く行かないと置いてかれちゃうよ?」
ニーナだけは俺達をここから救済しようと頑張っている。
よし、俺もこれ以上変な目で見られるのはゴメンだ。
「待て!知樹!あやつはペリーの刺客!
鎖国を守り抜く為、いう事を聞いてはならぬ・・・・って行っちまった!!!」
いくらニーナがアメリカ人でもペリーとか関係ないし。
「ねぇ、トモ。
ペリーって何?」
・・・そういや、ペリーって確かアメリカじゃマイナーな人物らしいね。
知る人ぞ知るって感じらしい。
何処で聞いたかは知らんが、どこかでそんな事を聞いた覚えがある。
「・・・日本に来たブルドッグみたいな顔したアメリカ人の事」
「ふぅ〜〜ん」
あ〜あ、到着早々俺達は何やってんだか・・・。
とりあえず、明後日まで宿泊する事になるホテルに到着。
数秒で海へ行けるくらい臨海してるから、駅から歩いてもそう時間は掛からなかった。
電話で予約は取ってたものの、チェックイン時は未成年だけで宿泊出来るかどうか心配だった。
俊一の言う事によれば一応保護者の許可があれば良いらしいから杞憂に終わったけどな。
そうでなくても一応ああ見えて立派な成人であるニーナがいたから
何の不都合なくチェックインを済ますことが出来たろうけど。
しかし、聖奈さんが全部手続きを済ませるところでちょっとした問題が発生した。
「部屋はどうする?」
二部屋に分けて泊まる予定だったけど分け方までは決めて無かった。
まぁ、当然この分け方で決まりだと思うけど一応聞いてみる。
「あ〜〜どっちでも良いわよ、私は」
「私も」
「・・・零奈も聖奈さんも、女性としてその発言はどうかと思うぞ」
「だって、ニーナだって物凄く知樹の部屋に行きたそうだし・・・」
ホントだ。
何かこっちの方をずっと見てるんですけど。
「・・・・最低一晩はトモと同じ部屋がいい・・・・」
目をうるうるさせて。
「ニーナ先生と知樹君ってそんな関係があったの?」
はっ!聖奈さんに有らぬ誤解がッ!!
「決してそういう関係では―――」
「私たちは婚約者でしょ?」
「黙れぃ!!そこ!!
誤解を一々招くな!」
「・・・・事実だけど、トモが不機嫌だからここはそういう事にしておく」
不機嫌になるな、事実じゃねぇだろ。
「・・・まぁ、一々考えるのも面倒だし。
ここはニーナ先生のご要望にお答えして知樹と先生と誰か、後は残りでいいんじゃね?」
「待てコラ、涼。
それじゃ普段の生活と然程変わんないだろ」
そこで涼が俺の右肩に手を掛け引き寄せて、俺達だけに聞こえるように小さい声で言う。
「照れるな、確かにニーナ先生は超美人だし気が引けるのは分かる。。。
だがお前も学年トップ4の容姿を持つ身として胸を張れ!!
そう!この俺のように・・・!!!」
別にそういう意味で言った訳じゃないんだけどな。。。
「二人が何言ってるのか知らないけど、別に一晩くらい良いんじゃない?」
零奈まで言うかよ・・・。
このままじゃラチが空かん。
皆何を期待してるのかは知らないけど、、、まぁ、一晩くらいいいか。
もう一人いるわけだし、変な事はされないだろ。
・・・・断言はできないけど。
「分かったよ」
結局こうなるわけよ。
大体分かっちゃいたが、一晩で抑えられた事は成功だろ。
・・・本当にニーナが嫌いとかそんなんじゃないんだけど。
どうも危機感がある訳よ。
分かる?
ま、とりあえず、決まった。
俺の部屋に来る後の一人はどうやら俊一になりそうだ。
よってもう一方の部屋は零奈、涼、聖奈さんってことになる。
結構心配だなこのメンバー。
涼が変な事やって零奈に殺されなきゃいいけど。
んで簡単に二日目は男女に分かれることにした。
「そんじゃ、荷物置いて、メシ食って海行こ〜〜ぜ!!!」
ま、色んな事忘れてこの3日間遊び通すとしますか。
海到着です。
今からどんな事が待ってるのか。
友情、恋の方は?
俊一の新発明品は出るのか?(笑)
乞うご期待です!