入学式編:2 恒例のコラテラル?
「・・・・・・はっ!!」
お、俺は一体何をしてたんだ。
・・・・そっ、そうだ!!
ここまで苦労してやって来たまではいいが何か良からぬ物が見えて・・・。
ちょ、チョット待てもちつけ俺!い、いやもちつく前に落ち着け俺!!ここは深呼吸だ!
スゥーハァースゥーハァー---よしっ!
俺は先程見た物は嘘だと信じて、もう一度目の前に貼ってある紙を見た、が・・・先程と変わらない
1年B組の出席番号と名前。
今度こそ本当に泣いちゃうぞ俺。
、、、でも、良く考えてみたら、何も分からない場所で知り合いが一人もいないという状況にならないだけでも良いではないか。
例え、あの二人でも・・・か??
「う〜む、でもなぁ」
「ちょっと、知樹!!」
「ん??ああ、零奈か」
「『ああ、零奈か』じゃないでしょ!アンタなんで私のいる所から離れていくのよ!?
近寄ってみたら、なんか目が上の空でブツブツ言ってるし・・・何かあったの??」
おっと、あまりの衝撃に進行方向を間違えてしまったようだ。
しかも、口に出てしまってたみたいだな。
重要なところは聞いてないみたいだけど。
「それがな、聞いて驚け!!」
「うん?」
「・・・・俺たち三人同じクラスだったよ。1年B組で。ハッハッハッ、こりゃ参ったぜ」
ちょっとタメて、己の目で見た事をそのまま口にした。
若干壊れているのは気にしないでくれたまえ、ウン。
まあ、目の前に立っている女性が固まっているのは、気にしない訳にはいかないだろうが。
「それって、ホント??」
「おう、俺の目を見ろ」
「嘘・・・じゃない見たいね」
そりゃそうだろう、多分俺の瞳は今キラキラ輝いていることだろう。
何かが溢れそうだからな。
「一応聞くけど、3人て言うのは、私と」
「俺と」
「「俊一だ(よね)・・・」」
うむ、我ながら見事なコンビネーションだ。
零奈も流石長い付き合いだけはあるな。
「これはまた今年も疲れそうね」
「ああ、そうだな」
「「アイツのせいで」」
おお、とうとう俺と零奈の気持ちがシンクロしたか。
ならば・・・。
「よし、零奈!同盟を結ぶぞ!!!」
「な、何!?いきなり!」
おっと・・・また、自分でも訳の分からない事を言ってしまった。
この癖、直らないもんですかねぇ??
「失敬、気にするな。それより教室行くぞ。教室」
と、俺はスタスタと歩き出す。
「・・・アンタがいるだけでも疲れるんだけどね」
と、零奈が後ろでぼやいている事は気にしない気にしない。
1分ほど歩いたら校舎に到着。
校舎内は改装工事が行われたばかりとあって、かなり綺麗だ。
ちなみに4階建てで校舎数は2つ。
二つと言ってもかなり広いので学校自体はかなり大きい。
とりあえず案内に、3〜4階が1年生の教室でA〜D組までが3階、残りが4階とあったので、3階へ向かう。
階段を上ってすぐの所にA組の教室があり、その隣にB組がある。
「よし、到着〜〜〜」
「改装工事の後だけあって教室も綺麗ね」
零奈の言うとおり、教室も綺麗だ。
机なども新品のようだ。
「そうだな」
「席は番号順みたいね。荷物置いてくる」
「おう」
俺は2番だから、教室入ってすぐに机があったから、もう荷物は置いて椅子に座っている。
後は、入学式が始まるのを待つだけか。
とりあえず荷物出すか。
(カチャ)ん??机の右下の角に小さい紙が貼ってあるぞ?
廊下側の俺の席だと俺にしか見えないだろうな。
紙を手に取って見てみると、それには「机の中」とだけ書かれていた。
・・・・・机の中??何だこれ?何かあるのか?
と、机の中に手を突っ込む、と今度は比較的大きな紙がある。
それにはこう書かれていた。
[諸君、君なら必ず気づいてくれると思っていた。
それでは、唐突だが本題に入る。
今回のミッションは入学式でのミッションだ。
本学校の校長は強靭な肉体を持ち、
とても親しみやすい性格をしている、との情報を手に入れた。
それ故、生徒からの信頼も厚いらしい。
その校長がいるからここに入学したと言う者もいる位にな。
そこで、だ。
その校長が入学式で話をしている時に恥をかくような事をしたらどうなるか
面白そうなのでやってみたくなった。
理想的な結果としては、その校長の入学式での武勇伝は語り継がれ
その校長はこの学校にいる限り恥ずかしい思いをしなければならない、位が理想的だ。
私は、2階の男子トイレの中で待っているので、そこでミッション実行の為の説明をする。
言い忘れていたが、このメッセージは終了後5秒後勝手に消滅するような
便利な機能はついていない。
というか、5秒以内に諸君がこのメッセージを始末しないと、「俺が」お前を始末する。
以上。 by Mr.S ]
(ぐしゃ)
1秒以内に始末した俺の判断は正しいですよね?神様?
て言うかこれはなんなんだ!?
人の良い校長に恥かかしたら面白そう?
しかも、誰だよMr.Sって。
・・・・ふむ、例えばSが名前の頭文字だとする、名前の頭文字がSの人間でこんなことする奴・・・。
もう犯人、誰か分かったんですけど。
例えMr.Sだと記入されてなくてもこんな事する奴はあいつしか知らない。
俊一、あいつしか。
「ハァ・・・・」
しゃあない、何言っても巻き込まれるし、やりますか。
と、俺は二階のトイレへと歩き始める。
零奈はもう前の席の女子と親しくなったのか、一緒に談笑しているので、邪魔しないでおこう。
今この時間に、降りてくるような生徒は珍しいからか
他の生徒や先生からジロジロ見られるが、気にしない気にしない。
え〜と、右に曲がって、ここか。
取り合えず到着したので。中を覗いてみるとまたまたキレイな手洗い場がある。
しかし、奴の姿は見当たらない。
何処だ??
取り合えすトイレ用の履き物に履き替えて、中に入る。
ふむ、やはり誰もいないな。
と、なるといる所は一つ。
個室か・・・・・。
上から除き見るのも何だし、名前を呼ぶか。
「俊一〜〜?俺だけど〜
いないのか?一応言われたとおり、来たけど」
返事が返ってこない。
「俊一〜〜〜」
もう一度呼ぶが先程と同じ。
本当にいないのか??
・・・仕方が無いあいつの事だからどうせ・・・・・。
「Mr.Sさ〜ん、来ましたよ」
「合言葉は」
「知らねぇよ!!」
返事は返ってきた、ただ内容が訳分からないだけで。
いや、でも、本当に合言葉なんて一言も紙に書いてなかったっての。
「去れっ」
「うるせぇ!!」
「ガチャ」と声が聞こえてくる奥から3番目のドアを開ける。
と、そこには案の定、奴がいる。
「チッ」
いきなり舌打ちですか??
俺がしたいくらいなのに?
「ハァ・・・まあいいか・・・で、言われたとおりに来たけど??」
「うむ、ご苦労であった、それでは今から俺とお前で体育館へ侵入するぞ。
俺の後ろについて来い」
いきなり、突入か。
「オーケー分かった」
と、俺は体育館まで俊一の後ろを付いていく。
まあ、付いていくって言っても、体育館は二階にあるみたいで、あっと言う間に到着したけど。
だから、待ち合わせ場所は二階のトイレだったのか。
納得。
「よし、ではここからが本番だ」
と、俊一が言う。
「学年によってシューズの色が違う事は知ってるだろう?
なので、まず、あそこの角を曲がった所にある体育館前のトイレで3年生の体育慣用のシューズを拝借する」
「いきなり、犯罪行為かよ!?」
「任務遂行の為多少の犠牲は付き物という事だ、勉強になったろう」
「はぁ、そうなんすか」
なんとなく納得するフリをしておこう。
こいつの言う事は俺みたいな一般ピーポーには理解できない事が多い。
「で、何でトイレの位置やシューズがある事を知ってるんだ?」
「フッ、勝つ為にはまず知る事!これ勝負の鉄則なり」
「はあ、そうなんすか」
「それでは、二人で行動すると目立つので、俺だけで行って来る」
「・・・行ってらっしゃい」
「うむ」
と、俊一は走っていった。
2、3分後・・・・。
お、帰ってきたな。
もちろん、二組のシューズを持ってだ。
「中肉中背の二人組みの男子生徒から拝借してきた。
多分サイズは大丈夫だろう」
「あ、ああ・・・」
「よし、それでは時間的に余裕が無い。
さっさとそれを履いて左に曲がった場所にある舞台の非常口から侵入するぞ」
「お、おう」
ヤ、ヤバイ、すっかりコイツのペースかもしれない・・・。
え??最初からコイツのペースだった??
気にしない気にしない。
これでも、もう十回以上は付き合っているんだぜ?
まあ、いつも自分の心は不安で満ち溢れているけどな。
プロローグはまだ続く。
波乱の入学式が終わるまで続く。
いやいや、最近忙しく、全く更新できずじまいでしたが、やっと更新できました。
う〜む、また次の更新にも時間がかかりそうですが
見捨てないよう、お願いを致します。(汗