文化祭編:3 一日目ッ!!
うむ、今日から生きるか死ぬか、正にDead Or Aliveな三日間が始まるのだ。
と、言うか、もう始まってるんだけどね。
覚悟してたけど、死ねるよ?うん、軽く死ねる。
どれぐらい軽いかと言うと、多分7g位、某RPGだと薬草買えるよ。
「なあ、涼」
「何だ??」
「俊一&零奈との、この格差は何だろうな」
「さぁな」
俺と涼は現在調理室のキッチンで大量の料理を作っている所だ。
一日目と二日目とも一般者の来校OKとは如何ほどなんだろう。
もう、注文の数がヤバイ。
本当に普通だったら千本手があっても足りないと思う。
俺と涼をプラスしたら千手観音も凌駕できるね。
・・・・実際の所、料理は好きなんだけど、これだけやると正直飽きるし、疲れる。
それと比べて俊一と零奈は、店の前でただボーと突っ立ているだけ。
・・・実際は知らないけど、多分そんなもんだろ。
というか、ずっと調理室にいるから、店自体まだ見た事ないし。
喫茶店みたいな物とは聞いているが、この繁盛ぶりでは何か裏があるに違い無い。
「なあ涼」
「何だ?」
「お前さ、俺達のクラスで何やってるか知ってるか?」
「いいや、全く知らねぇ」
俺達は本当にこのクラスの一員なんだろうか。
「・・・じゃあさ、何やってるか気になるよな?」
「ん?まぁ、一応・・・」
「それじゃあ、[アレ]で決めるか」
コクリと頷く涼。
流石、話が分かる野郎だ。
「いくぞぉぉ!!!」
「おうっ!!!」
「「ジャンケンポン!!」」
・・・・俺パー、涼グー。
フッ・・・ハハハッ・・・・やはり神は俺に味方した!!!
「それじゃ、俺の分頼むっ」
「ま、待ってくれ!!流石に一人で特製パフェを10個同時には―――」
負け犬の遠吠えなど俺には聞こえん!!
「さらばだっ!!」
よし、離脱成功。
・・・・・ふむふむ、やはり高校の文化祭は活気が違うな。
何々??お化け屋敷、ゲーム、、、おっ!メイド喫茶まで・・・・・・。
って、メイド喫茶は俺のクラスかっ!?
これは、スゴイ。
完全に孤立している。
クラスじゃなくメイド喫茶だ。
さすが、個性の1-B。
零奈を筆頭に美人が多い事も巧く利用できている・・・のかな。
で、俊一は・・・っと、流石に受付には立ってないだろうし。
入り口にも、俗に言うメイドさんがいる訳なんだが。。。
・・・そうだ、んじゃ入り口の子に聞けばいいじゃん。
ちょいと、近寄り難いけど。
「え〜と、ちょっといい??」
「・・・?」
ん???こんな子クラスにいたっけか??
入学して数ヶ月だから顔と名前が一致していない生徒もいる。
でも、顔だけなら何となく覚えているはずなんだけど。
見た所かなりスタイルが良くて美人だが・・・・。
まあ、いっか。
「俊一って何処にいるか知ってる??」
「・・・滝野 俊一?」
「うん、ソイツ、ソイツ」
目の前の女性は自分自身を指差した。
・・・・・・は??
「え〜と、意味がよく分からないんだけど・・・」
この人が俊一な訳無いだろ。
「ふふふ、、、やはり知樹でも解らなかったか。
それでは、他の馬鹿な男子共と同じだぞ?」
――――え?マジでこの超美人さんが俊一なの?
「って、マジで俊一??」
「ああ」
確かに、背の高さは俊一とピッタリかもしれない。
だが、声はどうだろう。
明らかの俊一のものじゃ無い。
「で、でも、声だって完全に女性の声・・・」
俊一(?)は喉に手を当てて何かを剥がす。
「これでどうだ」
「うわ・・・・俊一だ」
一体全体どんなトリックなんだ。
「どうだ、凄いだろう?
俺が開発した、喉に直接張るだけで声が変わる[ボイスカワール2号]だ」
その微妙なネーミングはさておき、その技術をFBIか何かに提供したらどうだ。
「で、お前はそんな格好して何やってんだ?」
「まあ、客を誘いこむアルバイトだな。
稼ぎの50%が俺の手元に来る契約でやる事にした」
ご、50%!?俺の方が確実に苦労してるのにか!?
「しかし、女装して馬鹿な男子を騙すのは案外面白いな」
しかも、何故かその格好で新境地開拓してますよ、この人。
「知樹もやってみるか??」
「いや、遠慮しておく。
俺はお前と違って女装なんか絶対似合わない事確実だからな」
「フッ、そうか、それもそうだな」
・・・何かムカツク。
「おお、またあそこに馬鹿そうな男子を発見!」
俊一は喉[ボイスカワール2号]を貼り、駆け足で行ってしまった。
やばい、俊一のテンションが高い。
こうなってはアイツのやることは止められない。
「すみませ〜ん」
うわ、俊一演技巧すぎ。。。
表面上は天使の笑みだが、俺には見える、悪魔の笑みが。
「1-B組メイド喫茶に是非ご来店下さ〜い」
「え?あ、ゴメン。
俺ちょっと用事あるから」
お!!良いぞ男子生徒A!負けるな!!
「え〜、そんな。。。」
俊一は男子生徒Aの首の後ろで手を組んだ。
もちろん半分抱きつくような形になってるわけだが。
そこで最後に――――――
「ね?お願い・・・・」
―――――耳元でトドメの一撃を囁く。
ま、まて、それは卑怯すぎる!!
そんなの大部分の男子が騙されるに決まってるって!
しかし俺の心の叫びは通じずに男子生徒Aは吸い込まれるように教室へ入っていった。
「ふふっ、どうだった?」
「いや、アレは最早、強制と呼ばれる行為かと」
「強制ではない、あの男子生徒の自主的な行動ではないか」
「・・・もういい。
それじゃ、早く戻らないと過労死する学生が一人出ちまうから戻るわ」
何とも友達想いな俺!
・・・本当に、涼、死んでなきゃ良いが。
あいつ一人に任せた俺が言うのもなんだけど。
でも、注文品と思われるもの(例えば、パフェとかパフェとかパフェとか)が順調に教室へ運ばれていってるから安心できるかな。
「ん?よく分からんが・・・・それなら少し待ってくれ。
もう仕事が終わる時間だからな」
あ?そうなのか。
・・・・でも。
「・・・その格好で一緒に歩くのは止めてくれよ?」
「そうか?」
「普通の人はそう思うだろ!?」
「ああそうか仕方が無い。
それでは更衣室へ行くぞ」
「お、おう」
・・・更衣室への道のりが案外長い事に気が付いた時には、周りに変な目で見られている俺がいました。
・・・更衣室到着。
ふぅ、ようやく到着。
ふむふむ、仕事を終えた人たちが利用するからか結構利用者がいるみたいだな。
うちの学校の更衣室は大きく男子用女子用と分かれている。
まあ、大きいプールにある更衣室を思い浮かべてくれれば分かるかな?
「それでは、着替えてくる事にしよう」
・・・・メイド服の美女が男子更衣室に入っていく姿は、セーラー服と機関銃以上に不自然です。
実際、男子生徒だから当たり前なんだけど、別に女子更衣室に入っても全然ばれないと思うぞ。
しっかし、暇だ。。。。
・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
「ふはははっ!?何だ何だ???20品如きでは少なすぎるぞ!!
もっと、注文とってこ〜い」
うっわ・・・・あの調理室からの声は絶対に涼だ。
とうとう、注文数の多さに狂っちまったか。
20品が少ないって。。。
これは早く戻って救済の手を差し伸べるべきかもな。
「待たせたな」
後ろから俊一の声が聞こえた、俊一が戻ってきたらしい。
まだ、(ボイスカワール2号)はつけたままだけど、さっき聞いたから判断は出来る。
「お、しゅんい・・・・って何だその格好!?」
思いっきり女子生徒の制服!?
「女子の制服」
「見りゃ分かるわ!!
何でその格好なのかを聞いてんだよ!」
「それはアレだ。
更衣室ではメイクを落とすのは不可能だからな。
こちらの方が似合うだろ?」
「むむむ・・・・」
た、確かに。
しかも、しっかり(ボイスカワール2号)も装着している為、リアリティが向上している。
「しかも、見ろ。
スカートだって見えるか見えないかのギリギリの際どさだ」
むぅ・・・・夏用の白い制服、スカートから伸びた白い足はとても男のものとは思えん。
スタイル抜群、ムダ毛と呼ばれる物も一切無い、ホントに超美人さんにしか見えない。
コイツは一体どこまで何が可能なんだろうか?
「ってか、スカートを手でひらひらさせるな!
逆にリアルすぎて笑えないから」
「ふふっ」
「何故?!何故笑った?!」
――――「うわぁーーーー!!!!」
「今度は何だ!?」
更衣室から叫び声が!!
ん?あそこはさっき俊一が利用した場所だ。
「おい、俊一まさかまた何かやったのか?」
「ふふっ、見てくれば分かるわよ♪」
「何故にノリノリで女口調!?
いや、突っ込んでる場合じゃないか」
とりあえず、更衣室に駆け込む。
―――――な、何があったんだ・・・。
「・・・こりゃまるで、地獄絵図だな・・・」
更衣室の中には血を流して倒れている生徒が十数名。
だけど不思議な事に外傷があるものはほんの数名だ。
・・・・とりあえず外に出よう。
「どうだった?」
「まるで地獄絵図だった。
で、今度は何やった?」
「何もしていない。
ただ―――――」
「ただ?」
いつの間にか口調が戻っているが気にしないで聞き返す事にしよう。
「普通に着替えてたら、鼻から血を出して周りの奴が倒れてな。
んで、騒ぎを聞いてきた奴も同じ様だ。
まるで、漫画みたいだったぞ?」
――――――ああ。
つまり・・・・・。
超美人メイド姉さん現る。
↓
周りの男子生徒が注目する。
↓
いきなり超美人さんが服を脱ぎだす。
↓
男子生徒興奮=鼻からファイヤーぶっ倒れる。
そういう、ノリか。(どういうノリだよ)
「まあ、そこまでは分かる・・・って言っても分かっちゃいけないような気もするけど・・・・。
んじゃあさ、外傷があった人たちは何だったんだ?」
「ああ、それは、俺が脱ぎだした所では倒れずに踏ん張ってた野郎共が、少なからずいた訳だ。
んで、俺が邪魔だった胸パットを外そうとブラジャーに手を掛けた瞬間、奴ら発情しやがった。
そこでだ。
黙ったまんまで、男子生徒の思い通りじゃ流石に俺も困る。
だから不自然無い様に全員血だらけ、万事解決と言う訳だ」
・・・ふ〜んつまり。
メイド美女が衣服を脱ぎだす。
↓
一部倒れる、一部耐える。
↓
胸パット外そうとブラに手を掛ける。
↓
男子共の理性が限界に。
↓
発情&襲い掛かる。
↓
驚異的な強さで全員KO。
そういうノリか。(だから何?)
・・・そんじゃま、正当防衛という事で。
「・・・じゃ、調理室へ戻るか」
「うむ」
丸く(?)収まったから、さっさと涼を助けるか。
んで、調理室に着いた訳なんだけど。
「「おお、スゲェ・・・・」」
今、俺と俊一の目の前には神がいる。
「ふはははっ!!50品?少なすぎるぞ!!
今の俺ならそれ位、赤ん坊の手を捻るぐらい簡単な事だ」
涼はすでに調理室を一人で支配し、注文が来た品全てを完璧に仕上げるという荒業をやってのけていた。
つーか、皆引いてるから、お前の周りにはもう誰もいないぞ。
「おっ!知樹か!!もう手伝いは要らんぞ。
俺は人間を超えたのだ!!俺は神!!そう神だ。
俺はGreatでgoodなGodなんだよ」
手を見えぬ速さで動かしながら良くそんなセリフをいえるな。
マジで神かもしれない。
「・・・・との事だが、俊一、これからどうするか?」
「ん???俊一??俊一が何処にいるっ??」
ああ、そうか、コイツ俊一が女装してること知らないんだった。
つーか俺しか知らん。
「これ」
と、俺は後ろに立っている美女を親指で指差した。
涼は手を高速で手を動かしながらも美女を凝視する。
そして、何かに気が付いたようだ。
「・・・・・!!!!!!
分からん」
「分からないんかいっ!!!」
っても仕方ないか。。。
「じゃあ俊一、証拠・・・・って言っても何も無いよな」
上から下まで、何処までも俊一じゃないからな。
と、思っていると、唐突に俊一が口を開いた。
「・・・・白沢 涼。
誕生日 7月7日 七夕の夜11時45分出生。
趣味は写真撮影で、持っているカメラの総数は24台と大のカメラ好き。
秘密は、親にカメラの雑誌しか入ってないと思わせてある自分の部屋の本棚の
一番下の段の6冊目、3段目の11冊目、6段目の5冊目7段目の17冊目にイケナイ本が――――」
「まっ、まて!!!た、確かにお前は俊一だ。
こ、声は違うけど、そ、そんなに人の個人情報知ってる奴は、おっ、お前しかいないからな。
だからそれ以上俺の事に、つっ、ついては・・・・あ――――」
動揺した涼は俊一の下に走り出す。
しかし、その足元にはバナナの皮があった。
たぶん、極限状態の涼はゴミの処理がまともに出来なかったんだろうな。
あ〜〜あ、これはやったな。
思ったとおりに、絵に描いたようにツルッとすべった涼は、0コンマ何秒か宙に浮きそのままドンッと大の字に倒れた。
その直後。
「本日の文化祭一日目の終了をお知らせします。
ご来校された皆様、ありがとうございました」
という、放送が入った。
涼はそのままピクリとも動かない。
「・・・・・・・・ご愁傷様でした」
涼に向って手を合わせ俺はそう言った。
そして、俺の文化祭一日目の幕が閉じた。
さぁ〜〜て、犠牲者は出たけど何とか耐えたぞ。
明日は仕事も無いし、思いっきり文化祭を楽しむかっ!!
いや〜〜〜。
いよいよ本格的に文化祭がスタートです。
・・・え?何で知樹達は準備を手伝っていないのかですって?
それは、当日までの執行猶予です。(ぉ
うん、そうです、そうしときましょう。
それではっ!(謎