広報部廃部作戦〜前半〜
広報部廃部作戦、決行一日目。
「今回は、広報部とやらを内部から廃部へ追い込もうと思う。
その為に広報部にスパイとして潜入する新しい仲間が一人必要なんだ」
作戦決行と入っても、作戦を立てる時間も含めてだから
今は我が家にて、すでに俊一の脳内で出来上がっているプランについて話している所。
・・・俺は何時になったらフツーの高校生活出来るんだろうな。
求めちゃいけないもんなのか?
「ふむ、俺に仲間を増やしてこいと?」
そう簡単にいくもんじゃ無いぜ??
特に俺の場合はスーパーでチ○ルチョコを一個のみ買う勇気を出すくらい難しい。
・・・訳分からん、俺。
「いや、もうすでに仲間の候補は決まっているんだ。
知樹の友達作りに協力している暇は残念ながら無い」
「さすが、準備がいいな。
で、誰なんだ?」
俊一にとっては手馴れたもんだろうからなぁ。
・・・んな事手馴れている高校生ってどうかとは思うけどな。
「俺達のクラスの、白沢 涼という男子生徒だ。
聞くところによると、趣味は写真撮影、カメラマンを目指しているらしい」
「ふむ、その夢と希望溢れる生徒とこの作戦に何の関係があるんだ?」
「つまりだ、彼に任せてスクープ写真を持っていかせる事により、
怪しまれずに広報部へスパイを潜らせられる、という訳だ」
なるほど。
つまりそいつにリアルジェーム○ ○ンドやらせる訳か。
イー○ン ○ントか??、まあどっちでも良い。
「で、そいつがこの作戦に協力してくれる見込みはあるのか??」
「ああ、あるな、十分に」
「そこの自信は何処から沸いて出てくるのやら・・・」
「明日学校へ行けば分かる事だ」
「??・・・・そいつに貸しなんかあったっけ??。
まぁ、いいや、で、スパイを送り込んで、そのあと何やるんだよ?」
「広報部の秘密をこちらへ流してもらう。
あれだけの情報が手に入ってるんだ。
バレちゃマズイ事が一つや二つあってもおかしくない」
「そう簡単に情報が手に入るのか?」
「その為に最初にスクープを持って行かすんだ。
そうすれば自然と信頼は厚くなるはずだ」
「じゃあ秘密が無かった場合はどうするつもりなんだよ」
「良く考えてみろ。
送り込むのは広報部を潰す為のスパイだ。
無けりゃ、そいつに内側から不正を作り出させるさ。
そこで、その罪が広報部全体の罪となれば一件落着、廃部決定だ。
もし、秘密が手に入らなかった場合も同じ事をすれば良い」
・・・俊一も面白いとか言ってたけど、自分の事についても書かれていた事が
相当気に食わなかったようだな。
あ、そうだ因みにこの小説は学園物だからね??
シリアスなスパイアクション物じゃないよ?
上の会話聞いてもそれだけは胸に刻んでおいてくれ。
「・・・よくもまあそこまで頭が回るな」
「だが、作戦どおりに行くとは限らないからな。
他の作戦も考えておく」
「ああ」
「それでは、今日は一旦帰るとするか。
明日また学校でな」
「あいよ。
じゃあな」
作戦二日目・・・。
登校中の周りの奴らからの視線が痛い。。。
同居なんて・・・・やってるから文句言えない俺が恥ずかしい。
俺だって好きで同居してる訳じゃないんだ。
・・・くっそう、必ず潰してやるからな!広報部!!
俺は心に強くそう誓い教室内に入った。
机に鞄置いてっと。
「知樹!!アンタ何やってんの!?」
(バシンッ!!)
「っっ〜〜〜〜!!!何なんだよ一体!?」
俺が着席するなり、俺の後頭部を強打したのは零奈だった。
「何なんだよじゃない!
廊下に貼ってあったあれ、何よ?」
あ〜やっぱり見られてたか。
コレはまた説明が面倒くさいな。
「あ〜〜あれは―――」
・・・・・・
「ふ〜ん。
そういう事だったの??」
とりあえずニーナの事に関しては零奈に説明し終えたぞ。
「ああ、そういう事。
で、たぶん広報部一週間以内に潰れるから」
「なによ・・・いきなり物騒な」
「あれだよ。
あの記事俊一についても書かれてたろ」
「・・・あ〜・・・・そういう事ね」
流石、話が良く分かるな。
「あ、そんでさ。
このクラスの白沢って奴、何処に座ってるか知ってるか?
「白沢??確か・・・窓際の後ろから二番目の席だったような・・・」
え〜〜と、窓際の後ろの・・・おっ、あいつか。
・・・・!!!
・・・いきなり目が合った。
向こうも何か意識してるのか??
・・・・すまんが俺にはそういう同性愛みたいな趣味はないぞ・・・・って誰に謝ってるんだ、俺。
白沢が席を立ちこちらに向って歩いてくる。
そして、俺の目の前に立つ。
ふむ、結構ルックス的にはいいんでないの?
俊一には負けるけど。
「よう、朝倉っ!!
残念ながら俺にはそんな趣味無いからな?」
直後、満面の笑みで話しかけられた。
って言うか同じ事考えてたんかい!
「・・・・俺もそんな趣味ねぇよ」
「あ〜〜っそう?
ならいいんだけどさ。
おっ、零奈ちゃんもおっはよ〜」
「れ、零奈ちゃんって・・・。
まあいいわ、おはよう」
誰でも話しかけるのに愛と勇気だけが友達の寂しいアンパンヒーロ並みの勇気が必要な零奈にここまで軽く話しかけるとは・・・。
なんて気さくな奴なんだ!
今、微妙にカルチャーショックを受けたぞ、俺。
「で、え〜〜と白沢だっけ??
俺を呼ぶ時は知樹で呼んでくれ。
苗字で呼ばれるの慣れてないからさ」
名前で呼んでくれないと結構違和感があるんだよな。
「あ〜、オッケー分かった。
俺は白沢でも涼でも、どっちで呼んでくれてもいいから。
これからよろしく!」
「ああ、よろしく。
んで?俺に何か用??」
俺を見てたという事は何か用があるに違いない。
・・・・そういう趣味があるなら別だが。
「ああ、そうそう。
廊下で見たんだけどさ、広報部の新聞に書かれている事って本当か?」
いきなり聞かれるかよ。
広報部の力って大きいな。
「ああ、一応は本当だな」
「え〜!!マジかよ!!
じゃあ、あの写真に写ってた綺麗な白人さんも家にいるのか〜。
羨ましい・・・」
・・・結構苦労してます、なんて事は俺の前に立っている夢で満ち溢れている人には言えないな。
「ハ、ハハハ」
苦笑いしか出てこない俺。
「なんだ?その嫌らしい笑いは〜。
さては家に帰るといつも―――――――」
「ただいま」
「知樹〜〜!!・・・お帰りなさい!」(ガシッ)
「おいおい、いきなり抱きつくなよ」
「だって・・・ずっと待ってたんですもの・・・」
「ははは、ゴメンゴメン。
泣くなって」
「もうっ・・・・・・。
あ・・・ご飯とお風呂の準備できてるけど・・・どっちにする??」
「ん?いや、、、今日はお前にしようかな」
「えっ・・・もう知樹ったら・・・大胆ね」(ポッ)
「―――――――とかやっちゃってr「って、んな訳あるか!!!!」
(バゴッ!!)
「グボアヘラッ!!!!」
ふう、殴ったよ、会って5分も経ってない野郎を。
つ〜か、なんて叫んだんだコイツ。
○斗の拳じゃああるまいし。
「そんでさ、噂が本当になった所で一つお願いがあるんだけど、いいか??」
「回復早ッ!!」
「ナイスリアクションをセンキュー、Mr.アンダーソン。
アンド、質問してもよろしいかな?」
何故に和洋折衷!?
やばい最近ボケが少ない俺に対し新たな刺客だ。
「・・・なんだ??
もしかして家に住まわしてくれなんて言うんじゃないんだろうな。
言っておくがお前の妄想とは程遠い環境だぞ」
「ほ、程遠い!?
って事は更に素晴らしい関係なのかっ!
もっ、もっと、こっ、高校生らしい事は出来ないのかね!?」
「そんなんじゃ無いって言ってるだろ!
お前も高校生らしい会話出来ないのかよ!?」
「ビバ!高校生!!」
「・・・・・・」
もう付いていけないから軽く流そう。
「で、用件は?」
「・・・たまにはツッコみも入れてくれよ。
まあ、それはおいとくとして。
今度さ、その白人さんに俺の写真撮影の被写体になってもらえるように頼んでくれない??
この間さ、いい場所を見つけたんだけど、そこだけをとっても何かパッとしないというか。
誰か絵になるようないいモデルはいないか探してるんだよ」
あ〜〜〜趣味は写真撮影とか言ってたな。
「あ〜〜〜・・・・」
あいつ、良いって言うかな?
どうせ、「トモも一緒に写ってくれるならいいよ」とか言うんだろうけど。
「だめか??」
涼が俺に尋ねてくる。
「なら、条件が一つある」
そういったのは俺ではなく、俺の後ろに立っている俊一だった。
何時からそこにいたんだ??
「おっ、滝野。
条件って??」
どうやら涼は俊一の事を知っている様だった。
俊一は色々な面で有名人だから、知らない奴探すほうが難しいかもしれないけど。
「俺たちのちょっとした[遊び]に付き合って欲しい。
それだけだ」
「遊び、か・・・どんな内容なんだ?」
「それは――――――――」
俊一は昨日立てた作戦について説明した。
「ハハッ・・・それは面白そうだな!
俺にとっては願っても無い好条件だぜ」
おいおい、結構ノリの良い奴だな。
俊一のやることを面白しろそうだなんてな。
「じゃ、決まりだな。
よろしく」
「ああ、こちらこそ」
「あっそれともう一つ頼むわ」
思い出したかのように白沢が俊一に言った。
「ん??何だ?」
「滝野と零奈ちゃんも来てくれないか??」
俊一と零奈か。。。
確かに良いモデルにはなるだろうな。
「俺は作戦に協力してくれるならやる。
だが、紫城は・・・」
「あ〜いいわよ?
別に?
結構面白そうだし」
案外乗り気だ。
「じゃあ、早速明日時間空いてる??」
「ああ」
「ええ」
「おう」
上から俊一、零奈、俺の返事。
ってな訳で三日目・・・・。
「それじゃあ、ニーナさ〜ん。
あちらをを向いて、横顔が見えるように髪をかきあげながら微笑んで〜〜〜〜」
涼が希望した写真撮影に来てから早2時間が経つ。
「え〜〜っとこんな感じ??」
一本の桜の木の下で、着物姿のニーナが、袖から細い腕を出して髪をかきあげながら言う。
しっかし、着物姿の外国人を写真撮影していると目立ってしょうがないな。
幸い人が余りいないからいいけど。
「良い感じですっ。
それじゃあ撮りますよ〜〜」
カシャ!
「もう一枚〜〜〜」
カシャ!
「オッケーで〜す」
「どう??」
ニーナが涼に写真の出来を聞く。
「いや〜、ホント絵になりますよ〜ニーナさんは!」
「リョウってば煽てても何も出ないよ〜〜〜」
もうすでに白沢とニーナは意気投合したようだ。
まあこの二人、性格的には似たようなタイプだし。
ニーナは行動的には俊一ぽいような気もするけど。
「いやっ!でもコレ見てみてくださいよ」
サッと白沢が出来たての写真をニーナに見せる。
「あっ!ホントだ〜、私って絵になるね〜〜。
ホラッ!トモも見てよ!」
ニーナが写真を俺の目の前にもってきて言う。
涼は斜め下からのアングルで取っていたので、着物姿のニーナと桜の花が巧くマッチしている。
俺から見ても綺麗だと思った。
「おっ!いい感じじゃないか?」
自分で絵になるとか言うなっ!と言いたい所だが
悔しい事にコイツは絵になりやがる。
着物はあくまでも日本の文化だ、チキショウ!!
「何?惚れ直した?」
「いやそれは無いけど、写真はいいんじゃない?」
「ちぇ〜〜」
何かニーナが不満げだが、それはキッパリと否定しておこう。
「それじゃ、次っ!!滝野と零奈ちゃん頼むわっ!」
涼が俊一と零奈の方を向いて言った。
「・・・俺も撮られるのか??」
「何の為に二人呼んだと思ってるんだよ?
しかもこんな美男子と美女を前にして撮るなって言う方が可笑しいって」
ホラホラ、と涼は俊一と零奈を招くように手を動かした。
「・・・コレも作戦の為か」
「そうそう」
ニヤニヤと笑いながら涼はカメラの前に立つ俊一をレンズ越しに見た。
「ははは・・・私は協力してるつもり無いけどね?」
「フッ・・・これも立派な協力だよ」
カシャ!!
二人が微笑んだ瞬間シャッターが押された。
「おお〜〜〜お二人ともまるで恋人同士にみえr」(バゴッ)
涼が話を終える瞬間、涼の顔に二つの拳が飛んだ。
「黙って(くれ)」
うむ、俊一と零奈は息ぴったりだ。
「くっ・・・流石の俺ももはやこ・・・れ・・ま(ドゴッ)」
最後に俊一の蹴りが腹に入った。
「はははっ!うっわ〜涼アホだ〜〜」
笑える。
この二人の不意を付くからこうなるんだ。
もっと笑ってやろ。
「ははは、マジで涼アホd「黙ってくれ」・・・・ハイ」
俊一に注意された。
レッドカードで一発退場じゃなくて良かった。
「あっ!でも、レイナとってもキュートだよ〜〜」
ニーナが写真を見て零奈に言った。
「え?ああ、ありがと、ニーナ」
ニーナがいった言葉に対し零奈は言った。
「さて、それじゃ最後に全員で記念に撮るか!」
いつの間にか復活した涼が言った。
「復活早っ!!」
あの二人のダブルアッパーカットから追い討ちの二連撃を食らってからわずか約20秒。
人間か、こいつは!
「気にするなっ!
それじゃ、皆並んで〜」
化け物、もとい涼が皆に桜の木の前に
並ぶように言った。
「それじゃあ、撮るぞ〜〜」
涼がタイマーをセットし、こちらへが走ってくる。
カメラから向って左側から零奈、俊一、俺、ニーナ。
で中心に走ってきた涼がしゃがんでピースする。
カシャ!
「・・・よし!撤収だ!」
その後、帰り道で写真を見せてもらった。
皆笑顔で、今日撮った数々の写真の中でも一番良い写真だと思った。
三日目終了。
どもども、新登場人物登場です。
定番(?)のお気楽キャラですが、このようなキャラがいた方が知樹のツッコミにもキレが出ると思ったので。。。
それでは、次へ続きます。
乞うご期待!!!