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ハピネスブレイク  作者: 鵲三笠
プロローグ(全4話)

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第2話 王子様と夢のような恋をする

夜になると、パン屋の前に馬車が止まった。

レオナールが馬車から出てくると、店の中に入った。


「こんばんは。ジュリエッタ」

「こんばんはレオナールさん。もうすぐで閉店準備が終わるので待って頂けますか?」

「もちろん。いくらでも待ちますよ」


閉店準備が終わると、ジュリエッタが戻ってきた。


「お待たせしました」

「では行きましょうか」


二人を乗せた馬車が満月が照らす夜道を走り始めた。



しばらく走り続けていた馬車は、豪華な建物の前に止まった。


「着いたようですね。降りましょうか」

「はい」


二人が降りると、ジュリエッタは豪華な建物を見上げる。


「ここって……」

「貴族しか入ることが許されない高級レストランです」

「えぇ⁉そんな豪華なところ私入れないんじゃ……」

「大丈夫です。庶民は貴族以上の者が同行している場合に限り、入店できますので」

「そうですか……」


ジュリエッタは不安そうに自分のワンピースを見つめる。


「こんな安い服じゃ場違いですよね?」

「そんなことありませんよ。ジュリエッタによく似合っています」


レオナールが跪くと、ジュリエッタの手の甲にキスをする。


「……!」

「服に安い高いは関係ありません。大事なのはその人が似合っているかどうか」


そう言って赤面しているジュリエッタの顔を見つめる。


「今のジュリエッタはお姫様のように似合っていますよ」

「あ、ありがとうございます……」

「では行きましょう。僕が案内(エスコート)しますよ」


レオナールがジュリエッタの手を引っ張ると、レストランに入って行った。



「あの……どうして私を誘ってくれたのですか?」


豪華な料理が並べられている席で、気になっていたことを聞くとレオナールは持っていたフォークとナイフを皿に置いた。


「初めて会った時から可愛らしい女性だと思って……パン屋に通う度に明るい笑顔と優しさに励まされたんです。

だからパンが美味しかったのはもちろんですけど、ジュリエッタに会うのも楽しみだったんです」


レオナールは真剣な表情でジュリエッタを見つめる。


「ジュリエッタ……僕と結婚を前提に付き合ってくれませんか?」

「え、えぇ⁉」


突然の告白に驚いたジュリエッタは思わず声をあげてしまう。

その声に反応した貴族たちが何ごとかとこちらを見る。


「す、すみません……」


ジュリエッタが謝ると、貴族たちは再び食事に戻った。


「フフッ」

「わ、笑わないでくださいよ……」

「失礼。でもジュリエッタのそういうところも好きですよ」


レオナールの微笑みを見て、ジュリエッタはドキドキする。


「私も……レオナールさんのこと好きです……」

「ほ、本当?」

「はい……だから私でよければ……」


レオナールがジュリエッタの両手を握る。


「あなたじゃないとダメなんです。僕の恋人になってください」

「……!は、はい!」


それから数ヶ月交際して、レオナールからプロポーズされ結婚。今日に至る。



―――「ジュリエッタ。今日のドレス可愛かったよ」

「それ今日何回も聞いてますよ」


そう言いながらもジュリエッタは嬉しそうだ。


「今日からレオナールさんとの結婚生活が始まると思うと夢みたいです……」

「ジュリエッタ。僕らは夫婦なんだから普通に話そうよ」

「ごめんなさい。まだ慣れなくて……」

「いいよ。これからは名前で呼んでほしいなぁ」


ジュリエッタは恥ずかしそうに名前を言う。


「レ、レオナール……」

「何?」

「よろしく……ね……」

「こちらこそ……よろしくね」


ジュリエッタを抱き寄せると、唇にキスをした。

唇が離れると、ジュリエッタはドキドキしながらレオナールを見つめる。


「ジュリエッタ……夜になったら僕の部屋に来てくれる?親密なお話をしよう」

「親密な……」


それを聞いて顔が赤くなっていく。


「じゃあ僕はやらないといけないことがあるから。また夜会おうね」

「は、はい!」



夜。ジュリエッタはクローゼットから下着を取り出して何を着るか悩んでいた。


(ど、どうしよう……何着ればいいんだろう?)


親密な話ということはそういうことをするってことだろう。


(初めてだけど……上手く出来るのかな?)


数十分悩んだ末に、下着を決めるとレオナールの部屋に向かった。

部屋の前に着くと、ドキドキしながらドアをノックする。


「レ、レオナール……き、来たよ……」


緊張しているからか、たどたどしい話し方になってしまう。

しかし、レオナールの返事がない。


「レオナール?」


もう一度名前を呼ぶが、返事はない。


(何かあったのかな?)


ジュリエッタがドアを開けると、目の前の光景を見て表情が一変する。

部屋にはメイドの首筋に噛みついて、血を吸うレオナールの姿があった。


「レ、レオナール……?」


ジュリエッタの声に気づいたレオナールが振り返ると、口元が血で汚れていた。


「あっ!来てくれたんだ!ごめんごめん気づかなくて」

「な、何してるの?」

「あぁ……突然のことでビックリしたよね?驚かせてごめんね」


レオナールはハンカチで口を拭くと話し始めた。


「実は僕、吸血鬼ヴァンパイアなんだ。人の血……特に女性の血を飲むのが大好きでね」

「えっ……?」


突然の告白に、ジュリエッタは戸惑ってしまう。


「ジュリエッタと出会った時は運命だと思ったよ。こんなに可愛い女の子の血……どんな味がするんだろうって……」


そう言いながら、ジュリエッタに近づいていく。


「い、いや……来ないで……」

「そんなに怖がらないで。殺すわけじゃないんだから。ちょっと血を飲ませてもらうだけだから。でも吸いすぎて失血死させちゃったらごめんね」


ジュリエッタは怯えて足が思うように動かない。


「なるべく自制するけど……ずっと我慢してたから無理かもしれないなぁ……」

「だ、誰か助けて!」


ジュリエッタは泣き叫びながら、レオナールから離れる。


「逃げちゃった……」


レオナールは離れるジュリエッタの背中を見つめる。


「まぁ……気が動転してるだけだよね。とりあえず足を切断すれば逃げないかな?」


レオナールは廊下にあった騎士の甲冑から刀を取る。


「待ってよジュリエッタ!逃がさないよ」


レオナールは猛スピードでジュリエッタを追いかけた。


―――覚えているだろうか?

これはパン屋の娘と王子様が夢のような恋をする物語だと。

そう……"悪夢"のような恋を……

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