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姉ちゃん全集  作者: 神村 律子
高校二年編
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その十六(姉)

 私は磐神いわがみ美鈴みすず


 現在、同じ大学の同期生の力丸憲太郎君と結婚を前提のお付き合いをしている。


 実は彼は高校の同級生でもあり、友人としての時間の方が長い。


 大学合格が決まった日に、


「付き合って下さい。前から好きでした」


と告白された。勿論私は二つ返事でOKした。


 ずっとその言葉を待っていたから。


 男女の友情関係は成立しないとある学者が言っているのを聞いたことがある。


 私もそう思う。


「お友達から」


 そんなセリフは奇麗事だ。男も女も、下心があるから近づきたいのだ。


 あ、これ、あくまで私の考え。


 私がそうだから。リッキーには、最初から「男女の関係」になりたいと思って近づいたし。


 


 そして遂に彼からプロポーズされた。


 嬉しかった。涙が出た。


 エンゲージリングも渡された。リッキーたら、気が早いんだから。


 そんなに急がなくても、美鈴は逃げないわよん。ウフ。


 まあ、のんびりしてると、あのヘタレな弟に先を越されそうだしね。


 子供だと思っていたのに、我が愚弟武彦も、幼馴染の都坂みやこざか亜希あきちゃんと付き合い始めた。


 私があっさりリッキーのプロポーズを受けたのは、そのせいもあった。


 弟に抜かれてなるものかと。


 そればかりではない。


 リッキーにも言われたけど、そろそろ私も「弟症候群」を卒業しないといけない。


 お互いに良くない。何もいい事はない。


 そう自分に言い聞かせ、あいつが亜希ちゃんとどこに行ったのかとかを詮索するのをやめた。


 「弟症候群」を卒業するには、「結婚」が一番。そうも思った。


「おめでとう」


 武彦にそう言われた。嬉しい反面、寂しくもあった。


 そんなのダメ、と思いながらも、武彦をいつまでも自分のものにしておきたい私がいる。


 もう少しあいつがしっかりしていれば、そんな感情はきっぱり捨てられるのに。


 何であんなにダメな弟なのだろう。


「いきなり突き放さなくても、徐々に距離を置くようにすれば?」


 優しいリッキーが言ってくれた。


 彼にもお姉さんがいるので、武彦の気持ちが良くわかるのだと言う。


「きっと武彦君も寂しいと思ってるよ」


「そうかな? あいつ、今は亜希ちゃんに夢中だよ」


 私は少し拗ねてみた。するとリッキーは笑って、


「当たり前じゃないか。それが普通なんだよ。でも、彼は今でも美鈴の事が大好きだよ。僕にはわかる」


「どうしてそんな事がわかるの?」


 私は不思議に思って尋ねた。リッキーは照れ笑いをして、


「僕も美鈴が大好きだからさ」


 私は顔が急激に火照るのを感じた。

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