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新たな波紋・2

ライリー・ルーベル公爵子息は、気にする様子もなく、アンジェリカに視線を向けた。


「スピンタリス嬢、君も招待したいのだけど、いいかな?」

養父(ちち)の許可があれば、よろこんで」

「この頃の令嬢は、『恥じらいながら(うなず)く』事はないんだな。なぁ、ジョシュア」

「ライリー。ご令嬢達とは、初対面だろ? 特にスピンタリス嬢とは。ホイホイついてくる方がおかしいんだよ。それに、今、彼女達は()()()


ジョシュア・グラタナス公爵子息が、視線で諭す。 その先には、フェリクス王子の手を取り『完全中和』を(ほどこ)すヴィオラと、それを見守るアンジェリカがいた。


「ライリー卿。珍しいのではないか?」

一瞬キョトンとしたライリーは、フェリクス王子の質問の意図に気付いた。

「あぁ。ちょっと話題になったんですよ。ユニコーンの乙女達が()()()()()()()()()()()()って。 特にアメシスタス嬢は、麗しき年頃なもので、年寄り共がうるさくて」


なんだか話の方向がおかしな事になってきた。 麗しき年頃って……面倒に巻き込まれてくない。

顔を上げると、アンジェリカの肩が、小刻みに震えていた。


※※※


―――フェリクスの執務室から退室したとたん、広い廊下にアンジェリカの笑い声が響いた。

「ごめんなさい、ルーベル卿、グラタナス卿。()()()()()が可笑しくて、可笑しくて」

頬を指先で拭いながら、彼女は無礼を詫びていた。


「おかしいな、僕の魅力は君達には届かないのか?」

ルーベル公爵子息は、冗談めかしてウインクをする。


「申し訳ない、ユニコーンの乙女達。 実のところ、本当に、紅の一族の中で不満を漏らす者が増えてきていて……、そもそも、アメシスタス嬢は蒼の一族なのだから、当たり前だというのに()()()()だと言い出しているんだ」

グラタナス公爵子息が、事の発端を説明する。

それで、ルーベル公爵領の収穫祭に招待すれば、年寄り共は黙るだろう、と考えたそうだ。


「私達は、不要な争いは起こしたくない。ただでさえ、フェリクス王子に対して不服を……」

「ジョシュア……」

ライリーが言葉を制する。


「それでだ、乙女達。お願いなのだが、私達を名前で呼んでもらえないだろうか。 年寄り達を黙らせる為に、協力してもらえないかい?」

紅髪で一見、怖い雰囲気のあるライリーが、可愛らしくお願いする姿に、アンジェリカがクスクス笑いだす。

ギャップがありすぎて、余計に可愛らしい。

「わかりましたわ。ライリー様、ジョシュア様」

アンジェリカは彼等を気に入ったようだ。


私は少し気が引ける。紅の一族とは関わったことがないからだ。かといって、この問題を「兄に相談する」っていうのも、おかしい。


返答に迷っている私に、ジョシュアが語り掛ける。

「王宮に無駄な対立を起こさないためにも、お願いしたい」

(この人達は、私に()()()を準備してくれている)

「わかりました。ジョシュア様」

彼等は信用できるかも。そう感じた私は、ニッコリと微笑んだ。


※※※


ヴィオラ達が退室した後のフェリクス王子の執務室は、水を打ったように静まり返っていた。

耐えきれなくなったフェリクス王子が、口火を切った。


「グリシヌ、いいのか?」


アジュール、ラウルの視線もグリシヌに集まり、彼の言葉を待っている。


「いいも何も、公爵家からの誘いを断る権限はないよ。侯爵家には。それに、ヴィオラも()()()()()だからね。候補者達と交遊を深めるのも良いだろ」

グリシヌは、特段、気にしていないようだ。 呑気に紅茶を嗜んでいる。


「それに別に婚約の打診や申し込みじゃないからね。領地に訪問する位、構わないだろ? そもそも、いままで()()()()()()()()誘われていないんだから、せっかくの機会だ。勿体無い」

ラウルに視線を寄越すグリシヌの言葉には、()()がある。


「もっ……もし、ルーベル公爵家が、婚約の打診をしてきたらどうするんだよ」

落ち着きなくラウルが尋ねた。

「そうだ。相手は公爵家だぞ? 断れないんじゃないか?」

アジュールも心配そうに尋ねる。


チラリと二人を見比べたグリシヌは、ニヤリと笑い答えた。

「まぁ……ヴィオラが良ければいいんじゃないか? いつまでも壁の華でいる訳にもいかないだろう?」

「壁の華って……お前が睨みを効かせているのがいけないんじゃないのか?」


フェリクス王子が、グリシヌを非難するが、まったく動じない。それどころか「それぐらいで、怖じ気づくような男に可愛い妹は渡せない」と凄んでみせる。


アジュールとラウルは深いため息をついた。




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