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ダイパンマン(仮)

またやってしまった…。

ちなみに、似たような作品がないか少し探しまして

無かったので今回、発表に至りました。

(まだ他の作品が完結してないのにどんどん増やすだけ増やして…全く…)

もし、知り合いや作品をご覧頂いた方の中で

「この作品、パクリやん。似たようなの知ってる」

という方がいたら教えてください。

すぐさま消します。

ちょい被りくらいなら…続けます。

そんな感じで書き始めました…。

よろしくお願いします。

「お…おい、後ろ!見てみろよ。ダイパンマンだぞ!」


「え、マジ!?あれが噂のダイパンマンか!?…うわあ、マジですげぇ筋肉だな…」


 クエスト受注の前に立ち寄ったカフェでの事。

 後ろの席から、そんな話し声が聞こえてきた。


 いかにも、この俺がダイパンマンこと『ダイモン=ストレイト』だ。



 「ダイパンマン」と言われているが、別にカジノの台をパンチしたことはない。

 『ダイ(モン)パンチ』という本名を冠する名の必殺パンチがあるわけでもない。

 それなのに…。


「パンチを喰らったら死…。あれが『Die punch man』の異名を持つ男か…」



 …はぁ。

 


 全くもって嬉しくないし、何より響きが嫌だ。

 なんでそんなことになってしまったのか。



「ダイパンマンの逸話、知りたくないか?」


「なんだそれ、俺あんま詳しくないんだ。聞きたいぞ」


「よし、教えてやろう。あれは3年前のことだ」



 俺の代わりに話してくれそうだ。

 わざわざご苦労なことだな。



「不死山の麓の村に危険度S級の怪物が現れたんだ」


「き、危険度S級…!?するってーと、キモイラか?ブリフォンか?」


「…獣神サンダータイガーだよ」


「ヒッ…!?…でっ、で、そいつがどうしたわけよ」


「呪界の祠の泉まで飛んでいった獣神を追っかけてってボコボコにしたらしいぜ」


「え、ま?」


「ああ。しかも拳一つ、一発のパンチで決まったらしい」


「どんだけ強いんだよ!!」


 …確かに一発のパンチで決まったさ。


「それ以来、武闘家ランキング1位は奴さ。憧れの職業ランキングもその年から武闘家が1位だ」


 …やめてくれ…。


「俺も一度は武闘家の頂点を目指した時期があった。だが、憧れと同時に絶望も抱いたのさ」


「なるほどな。絶対的な差を感じたってことか」



 …確かに俺は屈強な男だ。

 しかもいい感じにハゲていて貫禄があり、身長は2mジャストの大男。

 ボディビルの大会にでもでれば周りを圧倒して1位になること間違いない。


 親父は大工、母親は魔物使い。

 この見た目(からだ)は完全に遺伝だ。


 …だが、遺伝したのは本当に見た目だけだった。



 実のところ…俺はメチャクチャ弱い。

 見かけだけの筋肉じゃあなかろうか。

 多分、一般の人と同等くらいの力だろう。


 なのに何故…そんな異名がついたのか。



 やはりもう一度、俺目線から回想しなおそう。



 あれは3年前のこと…。


 不死山の麓の村に危険度S級の獣神サンダータイガーが現れた。

 人々は逃げ惑い、近くにたまたまいた冒険者に助けを求めた。


 その冒険者こそ、この俺だ。

 屈強な見た目からか、村人は俺に縋りつき懇願した。


「な、なぁ!あんた冒険者だろ?助けてくれよ!」

「村の近くにあんなバケモノがいるってだけで安心して暮らせないよ!」

「お願いしますじゃ」

「おじちゃん…お願い…」



 俺は断ることができなかった。

 そうしてサンダータイガーの後を追って呪界の祠までやってきた。


 そこには、傷ついたサンダータイガーがいた。

 泉には微量だが回復作用のある成分が含まれているようだ。


 だが俺は躊躇いもなく、その弱ったサンダータイガーに拳を振り下ろした。


「ガオオオン!!」


 …。


 たちまちサンダータイガーの傷は癒えて力を取り戻したようだった。


 傷が癒えたのは俺の回復の力。

 拳で対象を突けばHPの55%が回復する。


 獣神サンダータイガーはこちらを一瞥し、空を駆けて去っていった。



 危険度S級の獣と認定されてはいるが、闇雲に人的被害を出す感じではなかったようだ。

 一応これで村人を救ったことにはなるが、村へ戻ってドヤるつもりはない。

 俺は自分の意思で助けたつもりだ。

 宿屋に置いてきた荷物を取りに行き、そのまま出ていくつもりだった。


 だが宿屋に着いた瞬間、大歓声が上がる。

 誰かがあの瞬間を見ていたのだろうか。

 村人たちは、俺が拳でサンダーライガーを退けたと思い込んでしまった。



「此度は本当にありがとうございますじゃ」

「これ、村の皆から集めたお金だ…少ないけど持っていってくれ!」

「おじちゃん、ありがとう!」



 そうしていつしか、有名になっていってしまったのだ。



 そう、俺は…。

 見た目はガチムチ、能力は回復。

 しかもバフが使えて、更にヤバイのが蘇生も出来る。


 (たとえていいのか知らないが、ハッサンの見た目で中身チャモロ?)


 だがもし、人々がそのことを知ったらどうだろうか!


「筋肉があるのになんで殴らないの?なんで回復?」

「回復役がそんなにイカツイなんてちょっとイメージと違う」

「支援系なら可愛い女の子にやってもらいたい!」


 そう思うのだろう。

 みなの期待を背負ってしまった以上、答えてあげるが世の情け。

 この俺の見せかけだけの筋肉をどうにか隠し通して生涯を終えるのが筋というものだろう。

 有名になってしまった以上、何がなんでも隠すという覚悟はできている。



 俺はカフェを後にし、ギルドへ向かった。

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