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魔法少女異譚  作者: 槻白倫
第7章 蜘蛛の巣
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女子会 15

この間旅行に行ったのですが、ホテル側のミスで三人なのに二人部屋になりました。

春花が体験したみたいな事が現実に起こったので、ハプニングでしたが少し嬉しかったです。


それはともかく、感想、ブクマ、評価、いいね等ありがとうございます。

SSは後2話くらいで締められればいいなとは思っています。

次の章の調整は同時に進めているので、SSが終わり次第直ぐに入れるかなと思います。

 少女達がお夕飯が出来るまでに語らっていると、段々とカフェテリア内に食欲をそそる良い香りが漂いはじめてきた。


 匂いに食欲をそそられ、皆の空腹度は増していく。


 そうして、皆が首を長くして待っているとようやくお夕飯の準備が整い、春花と餡子がせかせかと料理を運ぶ。


「もう聞いてるかもしれないですけど、今日はすき焼きです」


 そう言って、春花がすき焼きの入った鍋を置けば「お~」っと歓声が上がる。


 ローテーブルを繋げて、全員で鍋を囲めるようにする。それでも人数は多いので、すき焼きの鍋は二つ用意している。大きめのサラダボウルに入ったマッシュルームサラダを二つ置き、皆の前に白米と卵を置く。出来合いの漬物も置いて、これにて準備完了。


 春花と餡子が席に着けば、全員が春花を見やる。なんとなく何を望まれているのかが分かったので、春花は両手を合わせる。そうすれば、全員が春花に倣って手を合わせる。


「いただきます」


「「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」


 餡子だけは声が出せないので、口パクでいただきますと言っている。


 お玉ですき焼きをよそい、ぱくぱくと食べ始める面々。


「ん~、おいひ~」


 一口食べ、笑良はとても美味しそうに声を漏らしたのを皮切りに、全員が口々に感想を漏らす。


「うん、美味しい」


「……美味美味……」


「うめうめ」


「うまうま」


「お前等、肉ばっか食ってねぇで野菜も食えよな」


「美味し。やばい、箸めっちゃ進む」


「と、とっても美味しいよ、有栖川くん!」


「そう言って貰えると、作ったかいがあるよ」


 みのりの言葉に、嬉しそうに頬を緩める春花。おおむね、好評なようで何よりである。


「これがすき焼き……うん、とても美味しい」


「ばかうめーです。もぐもぐ行けるます」


「普通に食べても美味しいですけど、卵に絡めるだけでこうも味わいが変わるだなんて……」


「ご飯が進むネ。ご飯、おかわりあるカ?」


 余程美味しかったのか、さっそくお茶碗を空にした凛風。


「持ってきますよ」


「ありがとネ。山盛りが良いヨ!」


「分かりました」


 春花は凛風からお茶碗を受け取って、炊飯器までよそいに行く。凛風の注文通り、山盛りにご飯をよそう。


「はい、どうぞ」


「ありがとネ!」


 凛風は春花にお礼を言って、直ぐにがつがつとご飯を食べる。


 最近になって思う。こうやって、自分の作ったご飯を美味しそうに食べてくれる人がいるのは、とても嬉しい事なんだと。


「「ママおかわり!」」


「うん。分かった」


 双子は同時にご飯を食べ終わると、ばっと春花にお茶碗を突き出しておかわりを催促する。最早遠慮の無い双子だけれど、遠慮無く言ってくれた方が春花は嬉しい。


 春花は双子からお茶碗を受け取ってご飯をよそってから双子に渡す。


「「ママありがと!」」


「いいえ」


 ふふっと笑みを浮かべて返した後、春花は席に着かずにキッチンへと向かう。


 炊飯器に入ったご飯を大きめのお皿に移し、空になった炊飯器の内釜を取り出して洗う。そして、お米を入れて水を張る。無洗米なので研ぐ必要は無い。


 早炊きで炊飯器にセットし、濡れた手をタオルで拭う。


 全員、ご飯が進むのが早い。まだまだお米は残っているけれど、足りなくなる可能性もある。今残っているご飯で足りるのであれば、今炊いたお米は明日の朝御飯にでもすれば良い。


 そうなると、明日の朝御飯のおかずも考えておく必要がある。ただ、すき焼きだけではおかずが足りない可能性もある。存外、皆の食べる量が多いのだ。作った春花としては嬉しい限りではあるけれど、皆が満腹になれなかったら申し訳無い。


冷蔵庫に入っている食材を確認して、追加で作れそうな料理と明日の朝御飯に使えそうな材料を確認する。


 春花達が買い足した物と元々入っている食材があるので、お夕飯の分と朝食の分は足りるはずだ。


 ちらりと食卓を見やれば、すき焼きの消費スピードもかなり早い。サラダも漬物も猛スピードで減って行っている。


「おうどん食べます?」


 キッチンから春花がそう問いかければ、口々に食べると答えが返って来る。


「ふふっ、分かりました。用意しますね」


 食い気味に答えが返って来たので、思わず笑いをこぼしてしまう。


 春花はもう一つ用意しておいた鍋を持って食卓へ行き、煮汁を鍋に移す。


 煮汁を移した鍋にはある程度食材が入っているので、これ以上追加の食材を入れなくても平気だろう。


 冷凍庫に入れてあった冷凍うどんをレンジで解凍した後、煮汁に解凍したうどんを入れる。


 うどんに味が染み渡るのを待つ間、長ネギを切り、お皿に移したご飯はおにぎりにする。おにぎりにしておけば、皆も手に取りやすいだろう。最初からおにぎりにしておけば良かったと思うけれど、おにぎりにする分時間もかかるので、こうして空いた時間で作る方が効率は良いかもしれない。なんて考えながらもうどんの様子をしっかりチェックする。


 同時に、食後のデザートにと買って来た林檎を切る。可愛く兎さんの形に切り、その際に切り落とした皮も食べられるので、意地汚いかもしれないけれど勿体無いので食べてしまう。


 林檎を切り終わる頃には、うどんに良い具合に煮汁が染み渡っていたので煮込むのを止め、ローテーブルに持って行く。


「取り分けは自分達でお願いします。お好みで長ネギと七味唐辛子をかけてくださいね」


 小皿に入れたネギと小さい容器に入った七味唐辛子もテーブルに置く。春花がおにぎりを取りに離れた直後、即座に珠緒が菜箸を使ってうどんを皿によそい刻みネギをかけて食べる。


「んまっ」


 ちゅるるっとうどんをすすり、もぐもぐと咀嚼する。


 美味しそうに食べる珠緒を見たレクシーも菜箸でうどんをお皿に移し、刻みネギを乗せて食べる。


「んっ、これは……」


 夢中になってうどんを食べるレクシー。すするのは難しいのか、ぱくぱくとゆっくり食べている。


 おにぎりの乗ったお皿を持って戻って来て、皆が取りやすそうな位置におにぎりを乗せる。


「具は入れてない普通のおにぎりです」


「やはーっ! おにぎり! ジャパニーズおにぎりネ!」


 嬉しそうにおにぎりに手を伸ばす凛風。


「んふーっ、美味ネ~。漬物と合うヨ~」


「素朴な味わいですね。シンプルで、とても美味しいです」


 チェウォンもおにぎりを気に入ったのか、お漬物と一緒に美味しそうに食べている。


 皆が食べている姿を見た後、空いているお皿を持って下がる春花。


 今回は洗い物も多い。食洗器があるとはいえ、ためておくと面倒だろう。


 お皿を回収して、食洗器に入れる。


 テーブルに置いてあったペットボトルのお茶も空になってしまっているので、新しいものと交換しておく。


 そうして、忙しなく春花が動いている間にも食事は進む。


 この間、春花を含める全員が気付かなかった事ではあるけれど、春花が口にしたのは最初によそった分だけだった。その事に気付いたのは、全てを喰らい尽くし、春花が林檎を持って来た時だった。


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― 新着の感想 ―
煮汁を使ってるところとか空いた時間におにぎり作ったり林檎の皮食べたりしてるところがあまりにもママ
これはママや……(好き
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