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魔法少女異譚【書籍化決定】  作者: 槻白倫
第7章 蜘蛛の巣

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女子会 5

総合評価15000ポイント突破しました。応援と評価ありがとうございます。

とても励みになります。ありがたいです。


SSが思った以上に長くなりそうです。まぁ、平和な時間が長いって良い事ですよね。きっと。

 春花とお揃いの部屋着を着ている白奈を見て、みのりは更に微妙そうな顔をする。


 白奈はと言えば、春花、みのり、詩、笑良とお揃いという事もあって、嬉しそうに笑みを浮かべている。


 だが、みのりの心境は微妙である。何せ、想い人とのみお揃いでありたかったのに、こうもお揃いが増えてしまっては特別感など欠片も無い。


 因みに、春花はお揃いである事に特に思う所は無い。


 白奈と笑良の世話焼き二人組は、荷物を端に置くとお茶の準備のためにお湯を沸かしたり、人数分の紙コップやお菓子を別けるための紙皿等の用意を始める。


 春花も手伝おうかなと思っていると、カフェテリアの入り口から静かに入って来る餡子に気付く。


 春花と目の合った餡子はにこにこと笑顔を浮かべてぺこぺこと頭を下げる。


 静かに入って来たのは、自分に気を遣って欲しく無いからだろう。今の餡子は満足に喋る事が出来ない。皆優しいから、喋れない自分に気を遣ってしまう。そう思ったから、餡子は静かに入って来て端の方で待機していようと思ったのだ。


 春花は人の感情の機微には疎い。餡子が気を遣って静かに入って来た理由は良く分からなかったけれど、春花に向ける笑みは少し寂しそうに見えた。


 それは、自然と口から出た言葉だった。


「お帰りなさい、猫屋敷さん」


 春花が餡子にそう言えば、みのり達も餡子が入って来た事に気付き、餡子に声を掛ける。


「お、お帰り……って、餡子ちゃんもお揃いだ!?」


「……流石、だぜ、餡子……」


 餡子を笑顔で迎えつつ、自分達と同じ部屋着を着ている事に驚くみのり。


 詩はお揃いの服を着て来た餡子を称え、ぐっと親指を立ててにっと笑う。


「お帰りなさい、餡子ちゃん。座って待ってて。皆が来たら始めるから」


「やっぱり~お揃いで合わせたいわよね~。ふふふっ、皆考える事同じだ~」


 白奈も笑顔で餡子を迎え、笑良はお揃いの部屋着である事に微笑む。


 皆に笑顔で迎えられた餡子はえへへと笑みを浮かべながら荷物を部屋の隅に置く。気を遣って欲しい訳では無いし、喋れない自分は面倒であるはずなのに笑顔で迎えてくれる事が嬉しいのだ。


「……こっち、かもーん……」


 自身の隣、では無く、春花の隣をぽんぽんっと叩いて座るように促す詩。


 餡子はこくりと頷くと、春花の隣に座る。これで詩と餡子の女子二人に挟まれた事になるけれど、春花は特に気にした様子はない。


 だが、詩とわちゃわちゃしている間に座る場所を取られてしまったみのりは、あっと小さく声を上げた後、何処に座ろうかと悩んだ結果、春花の目の前にクッションを置いてそこに座る事にする。


「……この、ゲーム、やると良い……」


 言って、詩は春花にゲーム機を渡す。


「やり方分からないです」


「……教える。手取り、足取り、じゅるり……」


 教えると言いながら、何故か舌なめずりをする詩。


「な、何をするつもりかな!?」


「……ゲームを、教えるだけ……」


「じゃ、じゃあ、有栖川くんの太腿の上に手を置く必要はないよね!?」


「……必要、絶対……」


 言いながら、春花の方に頭を預けながらゲーム画面を見る詩。みのりには見えていないけれど、実は背中も撫でている。


 餡子は素直にゲームが気になるようで、春花の隣でじっと興味深そうにゲーム画面を覗き込んでいる。


「どうすれば……」


「……まずは、横に進む……」


 春花は太腿や背中を撫でられても特に気にした様子は無く、どうやってゲームを進めれば良いのかを詩に訊ねる。


そうやって春花達がゲームをしていると、カフェテリアの扉が開く。


「どーん」


「ぼーん」


 扉を開けたのは荷物を持った唯と一だった。


「お」


「あ」


 春花達を見た双子は驚いたように声を上げる。それもそのはず。全員が同じデザイン、同じブランドの部屋着に身を包んでいるのだ。驚かない方が無理というものだ。そして、その驚きをより大きくする理由が双子にもある。


「……おっ、おそろ……」


 双子を見て、詩がいえーいとピースサインを双子に向け、みのりが微妙そうな笑みを浮かべる。


 そう、双子もまた同じ部屋着を着ていたのだ。そもそも双子は春花が大好きである。料理を作ってくれるし、お菓子を作ってくれるし、お世話を焼いてくれるし、ゲームをしているところを見守ってくれるしで、前よりも家で寛ぐ時間が楽しくなった。


 大好きな春花が着ている服を自分達も持っていて、お泊り女子会をするとなれば着てこない訳が無い。加えて、大好きな仲間達も同じ部屋着を着ているのであれば、その喜びも増すというものだ。


「お揃い」


「女子会」


「「いぇーい」」


 荷物を部屋の隅に投げ、春花達の元へだだっと寄っていく双子。


 唯が餡子の隣に座り、一が詩の隣に座る。


「ふわふわ女子会」


「もこもこ女子会」


「……うい。量産型、女子会……」


「お、同じデザインなだけで、量産型では無いんじゃないかな?」


 服のデザインが同じだけで、皆それぞれの魅力がある。量産型と言うにはスペックも揃っていないなと、冷静に思う春花。


「て、ていうか、皆よく同じ服持ってるね?」


「人気」


「だから」


「そ、そうだけど。こ、こんなに皆持ってるもの、かな?」


「実際」


「持ってる」


「そ、それはそうだけど……ま、まぁでも、流石にこれ以上は被らないよね? よね?」


「……みのり……」


「な、なに?」


「……それ、フラグ……」


 詩がそう言った直後、カフェテリアに珠緒が入って来る。


「おーっす……って、なんで皆お揃い?」


 言いながら、部屋の隅に荷物を投げる珠緒。


 そんな珠緒もまた、皆と同じ部屋着に身を包んでいた。


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― 新着の感想 ―
おめでとう御座います
みんな可愛いなあ……。
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