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魔法少女異譚  作者: 槻白倫
第6章 ■■■■と■■■■■■

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307/490

異譚45 別の気持ち

申し訳無い。日が空いた割には短めです。

ちょっと、この章のオチの付け方に悩んでました。

色々考えたんですが、自分が一番面白いと思う方向で書きます。

 異譚の情報は逐次報告がなされている。異譚で通信機器が機能しない事はざらにあるので、異譚発生当初から定期連絡要員の魔法少女が逐次異譚内部で起こっている変化を報告している。


 当然、再度出現した途方も無い巨人に関しても、対策軍本部に報告は入っていた。


「これ、アタシ達も出た方が良くない?」


 スクリーンに映し出された途方も無い巨人の写真を見て朱里がこぼす。


 何も朱里は、異譚支配者が復活するからこう言っている訳では無い。複数の異譚支配者の存在。そして、無数に現れる木の山羊の群れの存在。現状の人数だけでどうこうなるレベルでは無いように思える。


「そうだな」


 勿論、沙友里も同じ事を考えてはいた。先程から花と星が増援を送っている。避難誘導、並びに、異譚攻略。既に大勢送り込んでいる。


 このままのペースで異譚が攻略されるのであれば童話の魔法少女から増援を送るつもりは無かったけれど、異譚支配者が復活するのであれば話は別である。まぁ、復活しているのか同種が再投入されているのかは分からないけれど。


「朱里は場の相性が悪い。白奈、みのり、餡子、行けるか?」


「大丈夫です」


「い、行けます!」


「了解です!」


 名前を呼ばれた三人は即座に立ち上がり、異譚へと向かう。


「ちぇっ、留守番か~」


「……でも、のんびり、出来ない……」


 異譚で異譚支配者が復活するなど前代未聞の出来事だ。待機だからと言って、油断してはいられない。


「分かってるわよ。それにしても、異譚支配者の復活ねぇ……」


 物憂げに、スクリーンを見やる朱里。


 ヴルトゥーム、海上都市、そして、今回の異譚。最近、明らかに異譚の質が上がっているような気がする。勿論、悪い意味でだ。


 それに、なんだか作意を感じるような気がしてならない。最近はどいつもこいつも意味深な事ばかり言ってくるので疑り深くなってしまう。


「これ以上何も無ければ良いけどね……」


 朱里の呟きに、一緒に留守番をしているチェシャ猫が耳をぴこぴこと揺らす。


 チェシャ猫は何も言わない。ただジッと、朱里を見ているだけだった。





 異譚支配者の復活には、イェーガー達も勿論気付いていた。


 だが、直ぐにヘンゼルとグレーテルが状況を確認し、アリスが戦闘中だと知れば即座に自分達の役割を認識して異譚の中心地点へと進む。


 途方も無い巨人とはこの面々だけで戦うのは厳しい。イェーガーの致命の弾列(ナンバーズ・シルバー)を使えば勝てるかもしれないけれど、アリスの致命の大剣(ヴォーパルソード)を数秒間耐え凌ぐ事が出来る相手だ。分が悪い賭けに出るくらいなら、アリスに任せた方が良い。


「良いにょ~? アリスちゃんに任せちゃって~?」


「良いんだよ。適材適所だろ」


 変な見栄を張るつもりは無い。普段の生活であれば、変な見栄を見せていてもおかしくは無いけれど、此処は異譚だ。それに、異譚支配者が復活するという異常事態。冷静に、自分のプライドを殺してでも異譚を終わらせる事に集中する。


 それに、途方も無い巨人がこの異譚を構成する異譚支配者では無い事は確かだ。であれば、この異譚を構成する異譚支配者を狩れば、功績は自分達のものという事になる。イェーガーにはそういう思惑もある。


 イェーガーにはアリスのように強さを証明し続ける必要や、ロデスコのように英雄に並び立つために強敵に挑むなんて心意気も無い。


 アリスのためと言われれば、きっとそうなのだろう。アリスに救われた命を、出来るだけアリスのために使おうとはしている。それは恩返しにも近いし、イェーガーの偽らざる本心からの行動でもある。


 天使のために全てを捧げる。その気持ちと衝動に嘘は無い。


 だが、最近はその気持ちに幾つか別の気持ちが混じっているような気もする。その気持ちの内訳は分からないし、自分にとってプラスになるかどうかはまだ分からない。それも含めて自分の中で消化しきれていない気持ちではある。


 それはそれとして、適材適所とは言ったものの、望むのであればアリスの功績になれば良いとも思っている。だが、今回のようにアリスが異譚支配者と戦えない場合はイェーガーが異譚支配者を倒し、自分の実績に加える。


 イェーガーも実績を積まなければ、難しい異譚にアリスと同行する事が出来なくなってしまうからだ。面白くは無いけれど、仕方が無い。


 それに、今回は事情が事情だ。いつもであれば私情も打算もあるけれど、今回は異譚の終焉に重きを置く。


 イェーガー達は異譚の中心地へと向かう。


 全員、ちゃんと警戒していた。イェーガーも、ヴォルフも、真弓も、探知に優れてはいない者も、全員が警戒をしていた。


 だが、それの接近には気付かなかった。


「――ッ!!」


 突如として、目前に巨大な魔力反応が出現する。


 今までどうやって隠れていたのか分からない程に強大な魔力反応。


 経験か、それとも勘か、もしくは本能か。


 全員が即座にその場から跳び退って距離を取る。


 目前に突如として現れたソレは、悠然とイェーガー達の前に姿を現した。


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