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魔法少女異譚  作者: 槻白倫
第5章 ■■■■

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248/490

異譚60 熟睡

すみません。体調を崩していて執筆が出来ませんでした。

今回で5章は締めとなります。短くて申し訳ないです。

 異譚侵度Sの異譚が終わった事はすぐさま本土へと伝えられ、世界を巻き込みかねない異譚の情報は瞬く間に全世界へと発信された。


 今回の作戦を主導した日本、中国、韓国、アーサー達が参加したイギリスではその情報が公開された段階でお祭り騒ぎ。


 それも無理からぬ事だろう。下手をすれば国一つ崩壊しかねないのが異譚侵度Sだ。そう何度も発生するものでは無い緊急事態を自国の魔法少女が解決させたのだ。国民としても誇らしく在り、素直に異譚の脅威が去った事を喜んでもいる。


 お祭り騒ぎは英雄達が帰ってくるまで続いた。実際には、各々仕事もあるので騒いでばかりという訳では無かったけれど、連日ニュースなどで取り沙汰され続けた。


 航空母艦が日本へと戻ると、多くの見物人が帰還した英雄達を一目見ようと押し寄せて来た。


 本来、凱旋パレードなど行う予定は無かったのだが、少女達の容態も悪くは無かったので、そのまま凱旋パレードという事になったのだ。


 少女達は航空母艦を降り、港湾(こうわん)に敷かれたレッドカーペットの上を歩く。


 自信満々にレッドカーペットの上を歩く少女達を、幾つもの取材カメラが捉える。


 まず最初に降りたのは凛風が先頭を歩く中国の魔法少女達。ニコニコと笑みを浮かべながら慣れた様子でカメラに手を振る凛風。


 中国の魔法少女達の後に続いたのは、チェウォンが凛とした表情で先頭を歩く韓国の魔法少女達。チェウォンはカメラに目を向けずに真っ直ぐ前を向いて歩いている。不愛想だと思われるかもしれないけれど、チェウォンが緊張しているだけだと言う事をジアンとユナは知っている。


 最後に降りて来たのはアリスを先頭に歩く日本の魔法少女達だ。因みに、イギリスチームは日英合同なので日本と一緒に行進をしている。


 アリスは無表情で前を向き、ずんずんと歩く。


 朱里はカメラに手を振ったり、笑みを浮かべたりとサービス精神旺盛である。


 みのりはアリスや目立つ者達の後ろに隠れるように歩き、シャーロットはアリスの真後ろを歩いてアリスの残り香を全て吸い込みながら歩く。


 レクシーやベラは慣れた様子で笑みを浮かべて歩き、オリーはかなり緊張した様子でぎくしゃくしながら歩く。


 唯と一は手を繋いで歩き、詩は面倒くさそうに歩いている。


 まさに十人十色である。


 パレードと言っても、港湾から対策軍の敷地内まで歩くだけだ。


 敷地内まで歩くと少女達は一様に肩の力を抜いて、それぞれが宿泊する部屋へと戻っていく。


 三日間かけて戻って来て、その間は戦闘も無く休めはしたのだけれど、慣れない船の上では心休まるとまではいかなかった。


 本来なら陸に降りた途端に体中から力を抜いてリラックスしたいところだったけれど、凱旋パレードがあると聞いて最後の気力を振り絞って歩いたのだ。


 疲れを見せているのはアリス達も例外では無く、このまま帰宅する気も起きず、近くの休憩室まで向かう。


 休憩室にはテーブルとベンチがあるけれど、アリスは魔法で全て端っこに寄せ、出来たスペースに畳を生み出す。さながらスーパー銭湯の休憩室である。


 アリスはそこに寝転がるとブランケットを生成してかける。


「ゆっくりしてから家に帰る」


「賛成」


 朱里も流石に疲れたのか、のそのそと畳の上に上がってアリスの横に寝転がる朱里。


 他の少女達ものそのそと畳の上に上がると、次々にごろんと寝転がる。


 アリスは人数分のブランケットと枕を生成し、枕を頭の下にねじ込んでブランケットをかける。


 少しの間ぼーっとした後、不意に朱里が声を上げる。


「プールいつ行く?」


 覇気のない声でそう言えば、アリスは暫く考えた後に同じく覇気のない声で答える。


「……いつでも」


「なんの間だったのよ今の」


「予定を考えてみたけど、特に無かったから」


「じゃあ、アタシの方で勝手に組むわね」


「分かった」


「夏祭りも、予定合わせて行きましょうね……後は、海も行くし……」


 なんて話をしている間に、うとうととしだす朱里。


 朱里は気付いていないけれど、他の面々は既に爆睡してしまっている。


「……アタシ、新しい、水着買う……アンタも、買いなさいよ……」


「うん。分かった……」


 アリスもうとうとしながら答える。


「……夏、絶対取り戻すんだから……」


「うん……」


 夢うつつになりながらうにゃうにゃ言う朱里に、これまた夢うつつながら返すアリス。


 戦いが終われば魔法少女達もただの少女である。異譚のせいで楽しく過ごせなかった分の夏を取り戻す。そんな、当たり前の日常を取り戻そうと思う乙女心が朱里にはある。


 いや、朱里だけじゃない。皆きっと同じ気持ちだ。今は全員爆睡しているけれど、起きていたらこの話に食いついて来たはずだ。


 暫くむにゃむにゃ喋った二人は、どちらからともなく夢の世界に旅立った。


 異譚は終わりを迎えたけれど、少女達の夏休みはまだまだこれからだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] シャーロットの吸い込みでワロタ
[一言] 友達とのやり取りとしてもおかしくないんだけど、恋人のやり取りのように見えてしまう、、、 ロデアリイイぞー
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