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魔法少女異譚  作者: 槻白倫
第3章 眠れる■星の■

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異譚55 状況終了

これで三章終了

またSSを幾つか挟んでから、四章はアリスの過去編になります。

 人型や寄生植物体は本体(ヴルトゥーム)が消滅した後も活動を続けた。


 人型はヴルトゥームが消滅した事で精彩を欠く動きをしており、仕留めるのは容易だった。


 けれど、寄生植物体にそんな事は関係無く、悪辣に暴れ回る。


 動ける魔法少女達総出で後詰めに取り掛かり、ヴルトゥーム撃破から二時間後にようやく全ての残存勢力を制圧する事が出来た。


 残存勢力の制圧は各区画に別れて行われた。


 各区画ごとに隅々まで敵の生き残りを探し出し、最早一体も居ないと分かるまで捜索し尽くしてようやく『異常無し』と報告する。


 各区画を担当する魔法少女から『異常無し』と報告を受け、最後の区画からも『異常無し』と受けて初めて状況は終了した。


『状況終了。皆、本当によくやってくれた。我々の勝利だ』


 最高司令官である桜小路綾乃からの通信を受け、全員がその場で歓声を上げる。


 終わった。異譚侵度Sに勝るとも劣らない史上初の異常事態を生き抜いたのだ。


 自身が生きている事に涙する者、仲間の死を想い涙する者、仲間の生存を精一杯喜ぶ者。


 反応は様々だけれど、全員が終わりを受け入れた感情の発露をしているのは確かである。


「ふぅ。ワシ、お疲れチャン」


 ぺたりと座り込み、袖で汗を拭うレディ・ラビット。


「お疲れ様、変態兎」


「うぃ、移動距離一位はワシ決定」


「アンタ以外、イギリスから来た奴なんていないんだから当たり前でしょ」


 ロデスコは呆れたような顔をするも、内心ではとても感謝している。レディ・ラビットが居なかったら、確実に事態は悪化の一途をたどっていたはずだ。


 爆発の衝撃を抑える手段が二人に無かった訳では無いけれど、離脱をする事は出来なかったのだから。


「ありがとう。貴女のお陰で、街も無事。本当にありがとう」


 アリスが素直にお礼の言葉を口にすれば、レディ・ラビットはきゅぴーんっと耳を立てる。


「ご褒美が欲しい。身体で支払いやがれ」


 言いながらアリスに四つん這いで詰め寄るレディ・ラビット。


 そんなアリスとレディ・ラビットの間に割り込み、迫るレディ・ラビットの頭を踏み付けるロデスコ。


対策軍(ウチ)から後で正式に謝礼は支払われるわよ。お疲れ様、変態兎」


「胸の一つ、揉ませろ」


「お触り禁止です。御退店ください、お変態様」


「そ、そうだよ!! む、むむむ胸なんて揉ませないんだから!!」


 いつの間にかアリスのポケットに移動していたサンベリーナが怒ったように声を上げる。


「おつおつ」


「かれかれ」


 四人が戯れていると、空からヘンゼルとグレーテルが降りて来る。


「……お疲れサマーバケーション……」


「は? 夏はまだ先だぞ?」


 少しして、イェーガーを背中に乗せたマーメイドがやって来る。


 これで前線に出ていた全員が揃った事になる。スノーホワイトは絶対零度(アブソリュート・ゼロ)を放った後で倒れたので、レディ・ラビットが本部に後退させている。


「って、マジで居んのな、変態兎」


 レディ・ラビットが居る事は聞いていたために驚きはない。ロデスコに踏まれているのもいつもの事なので驚きはない。


 マーメイドはアリスの背後に回り込み、後ろから抱きしめるように腕を回して顎をアリスの頭の上に乗る。これがマーメイドのベストポジション。


 童話組に欠け(・・)は一人も居ない。その事に安堵するアリス。


「皆、お疲れ様」


「くたくた」


「へとへと」


 眉尻を下げ、疲れた様子でアリスの腕に抱き着くヘンゼルとグレーテル。これで、背後と両腕、ポケットを制圧されてしまった。


 素直に抱き着けて良いなと思いながら、イェーガーは四つん這いになっているレディ・ラビットの背中に座る。


「これ知ってる。人間椅子」


「光栄に思えよ」


「良きにはからえ」


「いや、アンタが言う台詞じゃないからそれ」


 重り(イェーガー)が座ったので、ロデスコはレディ・ラビットから足を退ける。


 わざわざイギリスから来てこの仕打ちを受けるのは流石に可哀想に思うけれど、レディ・ラビットは一切気にした様子が無い。


「イェーガー、ケツ堅い。肉付けろ?」


「ケツに肉付けてなんになるんだよ」


「柔らかいケツ、ワシ嬉しい」


「じゃあこのままで良いわ」


 レディ・ラビットを喜ばせたところでイェーガーに得は無い。


 こうしてふざけていると戦いが終わったのだと実感が出来る。


 自然とアリスも肩の力が抜ける。


「良かった。皆無事で」


「右に同じく」


「左に同じく」


 むふーっと鼻息荒く答えるヘンゼルとグレーテル。


「そうね。それじゃ、疲れたし帰りましょ。留守番組も待ってる事だし」


「うん」


「……元気な顔、見せてやるか……」


 対策軍へと歩き出すロデスコ。その後に続いてアリスも歩き出せば、ヘンゼルとグレーテルも腕に引っ付いているので付いてくる。


 マーメイドもアリスに後ろから抱き着いているので、ふよふよと浮いて付いてくる。


「ほら、行くぞ変態兎」


 イェーガーは横座りから、レディ・ラビットに跨るようにして座ってお尻を叩く。


「ひひーん」


 言いながら、レディ・ラビットはイェーガーの足を支えながら立ち上がり、イェーガーを背負いながら先に行った五人の後に続く。


 こうして、史上初の惑星外からの侵攻を食い止める事に成功したアリス達。


 だが、戦いはこれで終わりではない。復興や未だに町中に生えている花の駆除など、問題は様々残っている。それでも、少女達は今日の勝利を噛みしめる。


 ひとまずは、戦いは終わったのだから。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] あまりにも戦闘終わった感前面に出してくるからどんでん返しがあるのかと警戒しちゃったわ 次章も楽しみに読ませていただきます
[一言] 衝撃に備えろ! アリスの過去編が来るぞ!!
[一言] 楽しみにしてます!
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