「漫才」就活の面接
二人「どーもー」
ボケ「聞いてくれ、重大発表や」
ツッコミ「いきなりやな。どないした?」
ボケ「就活始めました」
ツッコミ「お、ついにか。でもほんまいきなりやな。なんかあった?」
ボケ「おみくじ引いたら大吉やったから」
ツッコミ「人生を運に任せすぎやろ」
ボケ「大吉やぞ? 満を持してこの大型新人が動く時が来たわけよ」
ツッコミ「どうした? 言ってること意味不明やし、なんで偉そうなん?」
ボケ「そりゃおれは偉いからな。そうそう面接もわざわざおれから受けに行ってやってんねんで」
ツッコミ「だからなんで偉そうやねん。偉ないねんお前」
ボケ「いや、おれは偉い。だって頑張ってるからな。先週なんて面接週七やぞ」
ツッコミ「毎日受けとんか。偉いかどうかは置いといてそれはすごいな」
ボケ「月曜日に七社受けてそれ以降はゆっくりしてたんや」
ツッコミ「それ週七とは言わんねん! 六連休しとるやんけ。選考結果はわかったん?」
ボケ「全部落ちたわ」
ツッコミ「そらな」
ボケ「何があかんかったんやろ?」
ツッコミ「一日につめこんだからちゃう?」
ボケ「遅刻したからやろか?」
ツッコミ「確実に原因それやな」
ボケ「落ちた原因がわからんから、面接の練習させてくれへん?」
ツッコミ「人の話聞いてた? 遅刻やて原因は」
ボケ「ありがとう、じゃあ早速入室からやるな」
ツッコミ「だから人の話を聞けって! 入室以前の問題やねん」
ボケ「Excuse me.」
ツッコミ「急に始めんなや! てかお前英語で面接受けんの?」
ボケ「せやねん」
ツッコミ「お前英語できたっけ?」
ボケ「英語ぐらいできるわ。英検5級ホルダーやぞ」
ツッコミ「偉そうにタイトルホルダーみたいに言うなや! 5級て中学初級レベルやないか」
ボケ「おいおい、おれはその昔 ”This is a pen.” の発音を褒められた男やぞ」
ツッコミ「中学の時の成功体験にしがみつきすぎや! しかも内容しょぼいねん」
ボケ「マジか、これじゃ無理か。なら海外の企業は諦めるわ。あと入室の練習も飽きたし、さあそろそろおれに質問してくれ」
ツッコミ「お前ほんま自分勝手やな」
ボケ「ほらほら、はよはよ」
ツッコミ「こいつ……じゃあ、あなたの長所と短所を含めて、簡単に自己紹介をお願いします」
ボケ「人に名前を尋ねる際は自分から名乗るのが礼儀だと思うんですが」
ツッコミ「お前何様やねん! つべこべ言わずに名乗れや」
ボケ「そんな……私、名乗るほどの者ではありませ……
ツッコミ「はよ名乗れや! 態度変わり過ぎて怖いわ!」
ボケ「友達は愛と勇気! ぼく、アンp……
ツッコミ「キャッチコピーいらんわ! 事務所所属のアイドルか!」
ボケ「事務所違うわ! 所属はパン工場や!」
ツッコミ「しまったそうやった…………て、違うわ! そんなボケいらんねん。なんで顔ちぎる系ヒーローの自己紹介してんねん」
ボケ「みんなのヒーローやからに決まってるやろ。全世代で大人気やんか」
ツッコミ「主にキッズ世代にな! 面接でそんなボケいらんねん」
ボケ「まじかよ、じゃあ志望動機で心に響く事言うしかないやないか」
ツッコミ「お前自己紹介で何狙ってんねん。てかお前の志望動機とか不安でしかないわ。ここまできたら仕方ない、言ってみ。聞いたるわ」
ボケ「業界最大手の御社で働く事で世界を相手に戦いたいと考えています」
ツッコミ「おお、今までで一番まともなコメントやな」
ボケ「五年以内に幹部、十年以内にトップに立ちます」
ツッコミ「出世欲すごいな。面接でその手の発言は好き嫌いが分かれるぞ」
ボケ「そしてこの世界を我が手に!」
ツッコミ「おい、なんかおかしくないか?」
ボケ「目指すは世界征服やからな」
ツッコミ「なんで面接先が悪の組織やねん! お前さっきのヒーローネタなんやってん!」
ボケ「みんなヒーローは好きやろ?」
ツッコミ「悪の組織がヒーロー好きなわけないやろ!」
ボケ「そっか、ならおれとは社風が合わんから悪の組織は辞めとくわ」
ツッコミ「社風の前に根本的にやめとけや!」
ボケ「面接対策って難しいな。それよりさ、もう一つお願いがあるんや」
ツッコミ「お前ほんま自分勝手やな。一応聞いたるわ。なんやお願いって?」
ボケ「おれスーツ持ってないから買いに行こうと思うんやけど一緒に来てくれへん?」
ツッコミ「スーツないってお前今まで面接に何着て行ってたんや?」
ボケ「え? 今日と同じこのスウェットやけど」
ツッコミ「スウェットで遅刻して来るって面接内容以前の問題やないか! やってられん、もうええわ」
二人「ありがとうございましたー」