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第四十四章 交通課、慌てて暴走車対応する

ある日、隆一が、「母ちゃん、いつも通学路で乱暴な運転をする車があり、先日同級生がはねられそうになった。先生に訴えても、“危ないから、安全を確認して登下校するように。”というだけで何も変わらない。何とかしてよ。」と母に訴えた。

翌日、広美が交通課に確認すると、交通課課長は、「了解しました。直ちに対応します。」と返答した。

交通課課長は、「鬼軍曹の息子さんが、暴走車にはねられそうになった。“何度も小学校の近くで児童が暴走車にはねられそうになったと聞いたわ。児童が被害にあう前に検挙して!”とばば切れだぞ!すぐに対応しないと、口応えすると左遷させられるぞ。」と交通課ではピリピリして、他の取り締まりを中止にして全員で暴走車対応をしていた。

    **********

交通課で警戒していると、乱暴な運転をする車両を発見して、警察官が停止を命じたが、警察官をはねて逃走した。

警察官は、はねられる瞬間、身の危険を感じてかわしたので、左足大腿部の骨折だけで命に別状はなかった。

婦人警察官が、はねられた警察官を介抱して、パトカーと白バイが追跡したが、猛スピードで逃走した為に、事故を起こす可能性があり、危険だと判断して追跡は断念した。

交通課では、ひき逃げ事件として捜査を開始した。

車両番号から登録者を特定して逮捕に向かった。

ひき逃げ犯の家に乗り込もうとしたとき、背後から広美に声を掛けられた。

驚いた交通課の捜査員が事情を説明すると広美は、「その人は殺人事件の被害者で、もうこの世にいません。家族がいない為に誰が運転しているのか不明です。その車を至急捜して下さい。ドライバーは殺人事件の重要参考人です。」と車の事は交通課の捜査員に指示した。

交通課では、「鬼軍曹に指示された。一刻もはやく捜さないと、鬼軍曹の指示に従わなかった湯浅課長と同じ運命を辿るぞ。」と全力で車を捜した。

前田刑事は、「その車を運転している男が殺人犯の可能性が高いですね。交通課と協力して暴走車を捜します。」と捜査しようとした。

広美は、「何馬鹿な事を言っているのよ。殺人犯が被害者の車を目立つように運転する?それも同じ道を何度も。ただの自動車泥棒でしょう。それと、男性とは限らないわよ。女性の可能性もあるわよ。しかし、殺人事件の事を何か知っている可能性があるわ。」と前田刑事を睨んだ。

    **********

やがて交通課が車を発見して、数台のパトカーが取り囲んで運転していた人物を取り押さえると女でした。

女は暴走族のメンバーで、「止まれ止まれとうるさいんじゃ!ボケ!車を返せばいいんだろう!さわるな!H」と警察官を振り払った。

警察官は、「どうやって返すんだ?この車の持ち主は殺人事件の被害者で、もうこの世にいない。お前、この車の持ち主を殺して奪ったな!」と睨んだ。

女暴走族は、「えっ!?」と顔色が変わり、「私、人を殺してないわよ。関係ないわよ。」と逃げようとした。

警察官は、「殺人事件を担当している、怖い捜査一課の主任刑事が、お前から話を聞きたいそうだ。言い訳は主任刑事にしろ。」と逃げようとしていた女暴走族の腕を掴んで連行した。

女暴走族は警察に連行されると、「弁護士を呼んで!」と父の顧問弁護士を指名した。

女暴走族は城田清美で、自動車窃盗は認めたが、殺人については認めずに、弁護士の中島健太郎に付き添われて帰った。

須藤刑事は悔しそうに、「主任!これでいいのですか?清美は何か知っていますよ。」と広美に迫った。

広美は、「落ち着いて!今晩清美の父親に会う事になっているので探りをいれてみるわ。」と短気を起こさないように宥めた。

須藤刑事は、「お知り合いですか?」と驚いていた。

広美は、「私は知らないけれども、鶴千代がよく知っているのよ。」と今晩お座敷に呼ばれた事を仄めかした。

須藤刑事は、「了解しました。お任せします。」と納得した。

    **********

お座敷には清美もきていて、「父ちゃん、ありがとう助かったわ。」などと雑談していた。

広美は、「何か父親に助けられたの?優しい父親で良かったわね。」と話に割り込んだ。

清美は、「何日間もキーを付けた状態で放置している車があって、ちょっと拝借するだけなら問題ないだろうと車を運転していると、その車の持ち主は殺されていたらしいのよ。お前が殺したのか!と問い詰められてまいったわよ。」と不満そうでした。

広美は、「それは災難だったわね。でも殺人犯が捕まらなければ清美さん、また警察に疑われるわよ。それまでに犯人につながる何かを思い出しておかないと、また父親に迷惑かけるわよ。それと、私のお客様に警察官がいます。それとなく聞いてみるわ。」と助言した。

父親は、「お前はいつまでも手がかかるな。鶴千代さんがヒントをくれたから思い出しておけよ。」と娘の清美を睨んだ。

広美は、「手がかかる子どもほど可愛いいといいますよね。娘さんが可愛くてたまらないのではないですか?」と笑っていた。

父親は、「ああ、確かにそうだ。清美、お前の事は父さんが守るから安心しなさい。」と自分を頼ってくれる娘が可愛くてたまらない様子でした。

翌日広美は捜査会議で、「私の感触では清美は白ね。新犯人が清美に罪をかぶせる為に襲ってくる可能性があるわ。清美に気付かれないように護衛して下さい。」と指示した。

数日後、清美の父親から再び鶴千代指名でお座敷の声がかかった。

お座敷には清美も来ていて、「鶴千代さんの連絡先を聞いてなかったので、お座敷で鶴千代さんを指名するしか会えないので。先日、知り合いの警察官にそれとなく私の事を聞いてみると言っていましたが、どうでしたか?」と心配そうにしていた。

広美は、「今の所、証拠は清美さんが犯人だと示していますが、殺人犯が被害者の車を何度も目立つように運転するとは考えられず、清美さんが犯人だとは思ってないようです。つまり、新犯人が別にいると考えているようです。その新犯人が清美さんを殺害する可能性があるそうです。今、清美さんが亡くなれば、現段階では清美さんが殺人犯として事件は終了するのよ。そうなれば、お父様も殺人犯の父親として世間から白い目で見られる事になるのよ。清美さんは気付いているかどうか解りませんが、警察は清美さんを護衛しています。それと、私の連絡先は、京都府警捜査一課三係の高木主任に聞けば解るわよ。」と説明した。

清美は驚いて、「えっ!?知り合いの警察官は、あの怖い京都府警の鬼軍曹ですか?」と自分の耳を疑っていた。

広美は、「凶悪犯には怖くても、それ以外の人には怖くないわよ。コソ泥に目くじらをたてるような警察官とは違うわよ。」と説明した。

    **********

お座敷が終わると、父は娘を心配して、「清美、鶴千代さんの説明によると、お前は命を狙われているらしいから送っていくよ。」と寄り道しようとしていた娘を車に乗せて帰った。

帰宅途中、助手席に乗っている清美に着信があった。

清美がでると、「捜査一課の高木です。不審な動きをする大型トラックが接近しています。父親に説明して、大型トラックが入れない細い道に逃げ込んで下さい。」と指示された。

清美は、「えっ?」と慌てて後ろを見ると、トラックが突っ込んで来た。

父親が、「どうした?清美、何かあったのか?」と娘の事を心配していた。

清美は、「刑事さんから、大型トラックが突っ込んでくるのでトラックが入れない細い道に逃げてと警告された!」と慌てていた。

父親がルームミラーを見ると、「危ない!」と慌ててかわしたので、軽く接触した程度でした。

大型トラックは、再び清美の父親の車を襲おうとして、Uターンして道路を逆走してきた。

広美は赤色回転灯を点灯させてサイレンを鳴らし、「こちらは京都府警です。そこの大型トラック止まりなさい。」と覆面パトカー数台で迫った。

大型トラックは、止まる様子がなかった為に、広美が発砲すると、左折して逃亡した。

広美は追跡して、道路封鎖を緒方係長に依頼した。

やがてトラックを警察車両が取り囲んで、運転していた男を逮捕した。

数日後、取り調べと捜査が終了した広美は、清美に電話して、「清美さん、犯人は逮捕したので安心して下さい。明日警察に来て頂けませんか?」と清美を安心させた。

    **********

翌日、清美が警察に出向くと会議室に案内された。取調室ではなかったので安心していると広美が来た。

「殺人事件は解決したので安心して下さい。元々清美さんが車を窃盗したからこうなったのよ。それと、その車で警察官をはねて逃亡したでしょう?ひき逃げ犯として逮捕します。」と交通課に連絡した。

清美は、「何故今まで逮捕しなかったの?あっ、私を殺人事件の囮にしたのね!」と怒っていた。

広美は、「そんな事はしないわよ。鶴千代から新犯人が清美さんを殺そうとしていると聞いたでしょう?危険だから留置場に泊まって頂いて警察が守ろうとしたけれども、清美さんが弁護士をよんで帰ったから囮になってしまっただけよ。」と説明した。

清美は、「鶴千代で思い出しましたが、私がトラックで襲われた時、覆面パトカーの警察官が発砲したけれども、発砲したのは、日本髪のかつらはしていませんでしたが、鶴千代さんと同じ着物を着た芸者だったような気がするわ。まさか、刑事さんが鶴千代さんだったの?」と疑問に感じた事を広美に確認した。

広美は、「ばれちゃったわね。そうよ。かつらは邪魔だから外したのよ。」と苦笑いした。

やがて、交通課の刑事がきて、清美は交通課に引き渡された。


次回投稿予定日は、11月26日を予定しています。

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