3.ある朝の出会い─2
珍しく寝坊してしまった優希。彼はいつもより遅い電車に乗ることになった。そして彼は電車の中で、一人の女の子と出会う。さらに流れで女の子と一緒に登校することになった。
僕達は二人で登校した。登校中は少し話をした。途中からはタメ口で話していた。凄く楽しい時間だった。
楽しかったせいか、学校に着くまでは早かった。もうお別れの時間だ。
話している最中、僕と彼女は同学年だということが分かった。つまり、僕の教室と彼女の教室は同じ階にある、ということも分かった。また会えるかもしれない。
「じゃあ、僕は2組だからここで。またね」
ああ、さり気なく「またね」と言ってしまった。また会うことを期待しているようで、少し恥ずかしい。……期待してない訳じゃないけど。
僕が教室に入ろうとしたとき、彼女は急に立ち止まり、驚いた顔をして口を開いた。
「え、君2組?」
「そうだけど、どうかした?」
「私も2組なんだけど……」
まじか。それほんとか。同じクラスなのに、お互いの存在知らなかったのか。僕の存在感薄すぎじゃないか?
「そ、そうだったんだ。僕全然クラスで人と話さないから、知らなかったのも仕方ないね」
「それでも、同じクラスなのに知らなかったのは驚くわよ……。君、名前は?」
「田中。君は?」
「私は田村……田村月子。」
あー、確かに同じ教室に「田村さん」だの「月子ちゃん」だの呼ばれているのを聞いたことがあるようなないような……
「ねえ君、もしかして田中陽介君の前の席?」
「田中陽介……多分そう。後ろの席も田中だったのは覚えてる」
「じゃあ、君私の二つ前の席だったのね。何で君の顔を覚えてなかったのかしら……」
嘘だろ。僕が今まで話していた知らない女の子は、二つ後ろの席の子だったってことか。何で今まで気付けなかったのだろうか。
「まあいいわ。席も近いことだし、これから仲良くしていけばいいわ。これからよろしくね、田中君。……いや、田中君だと田中陽介君と呼び方が被ってしまうわ。君、下の名前は?」
「え、えっと、僕の下の名前は優希。田中優希」
「そう。よろしくね、優希君」
「よ、よろしく、田村さん……」
そう言って僕と田村さんはそれぞれの席に座り、学校の始まるチャイムの音が鳴り響いた。
これが、僕の学校に通う意味、田村さんとの出会いだ。久しぶりに女の子とまともに会話をして、その子と二人で一緒に登校し、下の名前で呼ばれた。しかも、初めての女の子の友達に初めて「仲良くしよう」と言われたんだ、こんなの意識するなと言う方が無理があるだろう。僕は田村さんに興味を持っていった。
読んでいただき、ありがとうございます。一つの話を二回に分けましたが、どこで分ければいいのかを決めるのが難しかったです。優希と月子は今後どうなるのか、温かい目で見守ってあげてください。
次回もよろしくお願いします。