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恋は罪悪【ノベル大賞最終落選作】  作者: 衍香 壮
第1章「人はニセモノ」
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第5話「人言」

「それで隼君は何を悩んでるの?」


「単刀直入ですね……」


「オブラートに包んでも仕方ないでしょ」


 ストローに口を付けた彼女が、そうぼやく。ハキハキと話す彼女に悩みなどあるのだろうか。俺は溜息を零すと、話すか否かを逡巡した。


「チカさんは死にたいって思ったことありますか?」


「……それに私はどう答えるべきなの?」


 予想外の返答だった。言葉に詰まっていれば彼女が髪を掻き上げる。


「私個人の過去を話せばいいの? それとも私の今の考えを述べるべきなの?」


「それは……」


「隼君は大人の意見を聞きたいの? それとも無難な答えを言ってほしい?」


「違います!」


「物事には前後というものがあるでしょ? ちゃんと説明してくれなきゃ私には答えなんて分からないよ」


 この問いに、きっと答えなどないのだ。それでも誰かに問いたかったのは、俺は、そう思ったことがないからだろう。


「イジメがあるんです」


「隼君のクラス?」


「はい。物静かな女の子がターゲットで、クラス全体がそういう雰囲気で……」


「一緒にイジメてるの?」


「イジメてません……」


「つまり傍観者ってこと?」


 カフェオレの入った紙コップが歪む。中の氷がガシャッと音を立て、心の歪みを表しているかのようだった。


「助けたいんです……見てるのがいやで……」


「助けてあげたらいいんじゃない?」


「簡単に言わないでください!」


「〝助けたら次は俺がイジメられる〟でしょ?」


 ドーナツを口に放り込み咀嚼するチカさん。それを瞠目しながら眺めていれば、大きな瞳とかち合った。


「イジメの連鎖は止まらない。よく知ってるよ。教師は役に立たないし、誰かが声を上げたからといって味方が必ずつくとも限らない。人は弱くて残酷だからね。ましてや被害者が声を張り上げようものなら糾弾される。周りの人間に潰されるんだ」


 ――先日、電車に飛び込んだ女子中学生の部屋には遺書が残っており、自殺の原因はイジメだったと明記されていたそうです。六人の名前が書かれており警察は……。


「あのニュース見た?」


「はい……」


 隣に座っていたサラリーマンのスマホから音声が流れてくる。俺達は、それに耳を傾け居心地の悪さを緩和した。


「隼君は、どう思う?」

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