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愛して、私の生き人形(マイドール)  作者: せんのあすむ
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試し行動

「今日は仕事休みだから、璃音りおん用のパソコン買いに行ってくるね」


翌日、麗亜は朝から璃音にそう告げた。すると璃音は忌々し気に、


「は…! やっとなの? ホンッとグズよね!」


と、自分用のノートパソコンを買ってきてくれるという麗亜に対しても容赦のない悪態を吐いていた。なのに麗亜はそれを意にも介してないように「ごめんね」と微笑みながら返しただけだった。


そんな麗亜の態度に、璃音はどこか戸惑う様子を見せていた。険しい顔をしながらも麗亜とは目を合わせようとせず、それでいて横柄な態度も変えようとしなかった。


「持ってきた服は三着しかないの。なるべく早く新しいのを買ってよね!」


と新しい要求を突き付けてくる。なのにそれに対しても麗亜は、動じる様子がなかった。


「そうよね。三着じゃ少ないもんね」


「分かってんなら言われる前に買ってきなさいよ!」


さらに悪態を重ねても、まるで手応えがない。いわゆる、『暖簾に腕押し』とか『糠に釘』とかそういう感じだっただろうか。


十時くらいになって、近所のリサイクルショップが開いてる筈と、麗亜は部屋を出て行った。璃音を一人にするのは心苦しいが、人間の子供と違って外に連れ出す訳にもいかない。#野島知世__のじまともよ__#がファミレスで彼女を麗亜に引き渡した時にもバッグから出てくるどころか気配さえ見せなかったのは、他人に知られたくないからだと麗亜は解釈していた。


敢えてそれは確認していないけれども、生きている人形なんて他人に知れたら騒ぎになる可能性もある。麗亜自身もそれは望んでいなかった。彼女は平穏に静かに穏やかに生きていたいのだから。


一方で、麗亜を見送った璃音は不貞腐れたようにテーブルの上で膝を抱えて座り、テレビを見ていた。


「なんなの? あいつ…天然で鈍感な不思議ちゃんってやつ!?」


爪(と言ってもそういう造形なだけで爪ではない)をかじりながら呟く。


前の<主人>の野島知世は、自分がこうやってきつく言うだけで面白いように顔を真っ赤にしたり青くしたり目を白黒させて狼狽えたりした。それが面白くて自分がこの人間を操っているのだと、自分の方が優位に立っているのだと実感できて見下すことで心が満たされていた。野島知世の前の主人もそうだった。


なのに、今度の主人はそれまでのとはまるで違っている。それが気に入らなくて、『どうしてくれよう…』とか、璃音は考えていたのだった。



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