隠し切れない
「実は……」
そう言いかけて、でも麗亜はまた口籠った。なんて言えばいいのか分からなかったから。
『生きた人形を育ててる』なんて言っても何の冗談かと笑い飛ばされるかもしれない。真尋はいい友達だけど、さすがにこんなこと、実際に見もしないで信じてもらえる筈もない。
「…なんて言ったらいいのか、こう、説明するのが難しいって言うか…」
歯切れの悪い麗亜に、真尋はじれったそうに言った。
「なんだよ、水臭いな。私とあんたの仲じゃん。どーんと言っちゃえよ!」
そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、そうじゃない。そうじゃなかった。
「とにかく口で説明するより、見てもらった方が早いと思う。来た時に説明するから……!」
麗亜の言い方に何か感じるものがあったのか、真尋は、
「今からそっちに行ってもいい?」
と言い出した。
「あ、うん。それはいいけど…驚かないでね。って言うか、驚いてもいいけど取り乱さないでね」
「なんだそれ? ますます気になるじゃん。とにかく今から行くわ」
そう言って電話が切れる。
『いつまでも隠し通せるものでもないもんね……』
まずは真尋に打ち明ける形になるだろうことに、麗亜は覚悟を決めようとした。
『真尋なら大丈夫。受け入れてくれる』
と自分に言い聞かせた。
三十分ほどして、玄関のチャイムが鳴らされた。
「ごめんね、ちょっとそこにいてね」
不安そうに自分を見詰める璃音にそう言い聞かせて、ベッドの上で待っててもらった。
「いらっしゃい」
玄関を開けて真尋を受け入れると、彼女に対しても、
「ごめん、ちょっとここで待ってて」
と玄関を上がったところで待っててもらった。
「会わせたい人がいるの」
麗亜にそう言われて、真尋は「はあ?」という顔になる。
「なんだよ。彼氏でもできたってこと?」
もったいぶってただ『彼氏ができました』では拍子抜けもいいところだと困惑顔の真尋に、「そういうのじゃないの…!」と麗亜が苦笑いしながら部屋へと消える。
そして、部屋の中から、
「おいで。大丈夫、私の友達だから。心配要らないよ」
という麗亜の声が。
『彼氏…とかじゃなくてペットか……?』
なんてことを考えながら待っていた真尋の前に現れた麗亜は、胸に何かを抱きかかえていた。
『え? 子供…!?』
と思ってしまったが、いや、違う。何かがおかしい。子供にしては体のバランスがおかしい。頭が小さすぎる。
でも確かに<それ>は、麗亜の胸にしがみついて怯えたような目を真尋に向けていたのだった。




