流転そして流転
『さすがにこんな子供だったら今までみたいなことないよね…』
ここまでの人間達のことを思い出しながら、璃音は嬉しそうに彼女の髪をブラシで梳く少女のことを見ていた。
その家は、立派な門のあるけっこうな邸宅らしき大きな家だった。少女が一人で使ってるらしき子供部屋だけでも今までで一番広いかもしれない。
暮らしぶりもまともそうだし、取り敢えずは普通の人形のふりをしておいて、後は成り行きに任せよう。そう考えていた。
ただその少女は、最初こそ璃音に構っていたものの、さすがに大きすぎて扱いにくいのか、次第に床に置いたままで小さな人形を操って話し掛けるだけになり、さらに携帯ゲーム機をプレゼントされると完全に見向きもしなくなってしまった。
『なんじゃそりゃぁ~!?
今時の子供はそうか!? そうなのか!? 女の子でも人形遊びよりもゲームなのか!?』
必ずしもそういう訳ではないだろうけれど、たまたまその少女はそういうことだったのかもしれない。そして、少女の家に友達らしき他の少女が遊びに来た時に、
「わあ! 大きなお人形! いいな~」
とその少女が羨ましそうに声を上げると、
「ほしかったらあげるよ。おっきすぎてジャマだったんだ」
「ホント!? やったぁ!!」
などとあっさりと譲り渡されてしまったのだった。
『このクソガキが~……!』
これまでのことですっかり捻くれてしまっていた璃音は、口には出さずにそう悪態を吐きながら、次の少女のところへと貰われていった。
そこは、大きな邸宅っぽかった先の少女の家に比べるとかなり普通のマンションだった。
「お母さん、これもらっちゃった!」
本来なら数十万円もするよく出来た球体間接人形である璃音を、まるでお菓子のオマケを譲ってもらったかのように気軽に差し出す娘を見て、母親は、驚くどころか何かに気付いたようにニヤアとイヤらしい笑みを浮かべていた。
と言うのも、その母親は娘が貰ってきた人形の価値をある程度知っていたのだ。
『いや~、さっすが金持ちとこの子は違うわ。こんなすごい人形、ぽ~んと気前よくくれるとか』
などとほくそ笑んでさえいた。
そしてさっそく、娘の人形をネットオークションに出品しまったのである。
しかもそれは瞬く間に値段が上がり数万円で落札され、
「うっは~! すっげぇ!」
と母親はホクホク顔になっていた。
せっかく友達からもらってきた人形を自分の知らぬ間に売られてしまった娘は泣いたが、
「そんな泣きなさんな。代わりにテーマパークに連れてってあげるからさ!」
と、強引に黙らせたのだった。




