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愛して、私の生き人形(マイドール)  作者: せんのあすむ
17/93

支援攻撃

「まあやっとそこそこ使えるようにはなったかもね」


いつものゲームの中でリア(=麗亜れいあ)に対して、ゲームの中の璃音りおんが言った。これまで地道にレベル上げをしてきて、取り敢えず最低限、パーティの足を引っ張らない程度にはなったかなという意味だった。


そこで、セレナ達ともパーティを組むことになった。


女性戦士でアタッカーの璃音。


僧侶でヒーラーのセレナ。


魔法使いで遠距離攻撃担当のリア。


鎧で固めた騎士で壁役のクラン。


というメンバーだった。ちなみにクランというのは非常に無口であまりしゃべらないが真面目で実直というキャラクターだった。変に自己主張しないので、ほぼ初心者に近い(という設定の)リアを入れるにはちょうどいいという判断だった。


「さーて、いっちょやりますか~!」


パーティの実質的なリーダーであるセレナの掛け声で、クエストが始まった。単純なモンスター討伐だったが、そこそこの手応えがあるものを選んでいた。


そこでの璃音は、とにかくモンスターに突っ込んでいくアタッカーらしいアタッカーで、雑魚などはそれこそガンガン倒していくがその分ダメージも受けて、セレナにしょっちゅう回復してもらっていた。


直情的で感情的な璃音らしい戦い方だと思った。


それに比べると、リアの戦い方は遠距離から確実にダメージを与え、しっかりとHPを削ってとどめは璃音に任せるという、理想的な支援攻撃ユニットとなっていた。


それを見てセレナが言う。


「リア~、あんたホントは初心者じゃないでしょ?」


「バレた? まあネットゲームはメインじゃないけど、ゲームは割と好きだよ」


だが、そんな二人に対して璃音が言う。


「無駄話してないで集中しろよ!」


しかし、リアの初心者らしからぬ巧みな支援でピンチらしいピンチもなく進んでいっているのだから、そこまで言う必要はなかった筈だった。だからその時の璃音の態度は、親しげにやり取りをしているセレナとリアに対するヤキモチだというのは誰に目にも明らかだった。


「ごめんね、璃音」


リアがそう応えながら支援攻撃を行う。


結局、ボス戦もその調子で割とスムーズに終えられたのだった。


璃音がとどめを刺しボスを倒した後、セレナはリアに向かって言った。


「そこまでできるんならもうちょっと上のクエストをやってみてもいいかもね」


けれどリアは応える。


「ありがとう。だけど私、こうやって緩い感じでやれたらいいなって思ってるんだ」


その言葉に、セレナは、


「何だ。じゃあそれこそ私達にぴったりじゃん」


と笑ってくれたのだった。



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