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プロローグ

――人は死んだら、何になるの?


その質問に、この世界の人々は皆口を揃えてこう答える。


――人は、死んだらあの夜空に輝く星になる。


それは夢物語でも子供の為の優しい嘘でもなく、純然たるこの世界の真実だ。

人は、死んだら等しく星になる。砕けて散るまでの気が遠くなる程の長い時間、夜空で輝き続ける。


「私があそこで輝くことはないのね」

濃藍の布で覆われたような空に手を伸ばして、たゆりと薄布を無駄に使用した真っ白な服の袖を揺らしながらエイムが言った。それを聞いて、彼とは対照的に夜に溶けていきそうな黒のタイトな服に身を包んだイーオが頷く。

「そうだ」

イーオが少し動くたびに、不愉快な金属の多重奏が付き纏う。じゃらり、じゃらぁり、と重たいその音は、まるでイーオの身体の一部のように絡みついている無数の鎖から鳴っている。罪人を縛りつけているかのように厳重なそれを引き摺りながら、イーオはエイムを後ろから抱き締めた。

「お前は星になれない」

エイムが澄んだ夜空に伸ばした手に自分の掌を重ねて引きずり降ろしながら閉じ込めるように腕の中に押し込め、耳元で囁くイーオの仄暗いその声にエイムはそっと瞳を閉じる。

ここは北の星の塔。世界で一番煌星の美しく見える、一年中真白く深い雪に覆われた最果ての土地。此処にいるのはエイムと、星を管理する役目を持つ星守の竜のイーオだけだ。しんしんと音すらも飲み込む雪の中、石造りの塔を重たく冷たい鎖の滑る音だけが鮮明に響く。




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