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第十五話 「俺を信じてくれ」


 それから俺達は三つ目の仕掛けの部屋に辿り着いた。

 が、どういう訳か既に仕掛けが解除されていた。

 ファルド達アルファチームがもうやってくれたのか?

 俺達はエントランスホールで、アルファチームと合流した。


 あっちもあっちで大変だったらしい。

 何やらアンジェリカが半べそでファルドの袖を掴んでいる。

 いつの間にそこまで進展したんだ君達は。


「やっぱり駄目。お化けなんて大嫌い……」


 ああ、そういう事か。

 可愛らしい所もあるじゃないか。


 それと村長は案の定ジラルドに、左目について尋ねた。

 が、ジラルドは俺達を庇った事についてはぼかして話した。

 申し訳なさ過ぎて、俺は俯いた。


 だが見てろよ。

 俺は借りを返す為なら手段は選ばない。

 死なない程度に頑張らせて貰う。

 次のボス戦で、雪辱を果たしてやる!


「では勇者一行。行くぞ」


 なんで村長さんがナチュラルに仕切ってるんですかねえ……。まあいいか。


 大きな螺旋階段を降りる。

 底のほうは暗くて見えない。

 アンジェリカはまだ目に涙を浮かべながら、恐る恐る歩いていた。

 対するルチアは、意を決した様子の堂々とした歩調。覚悟の差なのか?



 *  *  *



 降りきった先の扉を開くと、だだっ広い部屋へと辿り着いた。

 いよいよ到着……此処が“聖杯の間”だ。


 部屋の奥の祭壇には聖杯が安置され、青白い光を放っている。

 せいぜい掃除用具のバケツくらいの大きさ(このたとえは俺自身もどうかと思ってる)の聖杯が、部屋の半分を照らしているのだ。


 ゲームとかにはありがちな部屋だが、実際に生身でそういう雰囲気を体感するのはもちろん初めてだ。

 だから俺も、ファルド達と同じように驚きの顔を浮かべていると思う。

 ボス戦前なのは間違いないから、俺は調査隊に忠告しようとする。


「敵が隠れているかもしれません。くれぐれも慎重に……って、ちょっ!?」


 俺が言い終える前に、村長達調査隊の連中が聖杯へと走っていく。

 途中で村長はジラルド達に聖杯の回収を指示して、横道に逸れていった。

 村長は氷の塊の前に立ち尽くしたと思ったら、その場で膝を突いた。


「村長の様子がおかしい。ファルド、急ぐぞ!」


「ああ!」


「何ナチュラルに仕切ってんのよ!」


「今は従ってくれ! この異変の黒幕は、ルーザラカという魔女だ」


「魔女ですって!?」


 アンジェリカが素っ頓狂な声を上げると同時に、調査団の何人かが聖杯に手を触れて……そのまま凍った。

 これは、早く溶かしてやればいい。

 俺はそっと、アンジェリカに身振りで彼らの処置を示した。


「……わかってる。ちょっと待ってて」


 アンジェリカが氷を溶かして彼らを助けると、何処からともなく声が響いてくる。


「よくぞ参られた、勇者とその付属品共よ……よもやわらわの名を知る者が居たとはな!

 これでは悪さも出来ぬわ! 有名人は辛いのう! オーッホッホッホッホ!」


「お前が、ルーザラカなのか! 冬の聖杯を暴走させた魔女なのか!」


 ファルドが剣を引き抜き、声のする方角へと問い掛ける。

 柄のメダルは、赤く光ってるな。原作通り、此処に居るのは間違いない。


 そして猛烈な吹雪と共に、聖杯のすぐ隣に魔女ルーザラカが現れた。

 背は低い。少女そのものな風貌だが、耳は尖っている。

 肌の色はルチアよりさらに輪を掛けて不健康な色白で、両目は暗闇で赤く光ってる。


 長くて青い髪を頭の横でまとめていて、中世の貴婦人がしているような髪型だ。

 フレンチクルーラーみたいなやつ。あれが左右に一つずつ。


 それでいてアイドルのような魔法少女のような、フリルがっつりめな白いドレスを纏っている。

 が、その模様は鱗のような光沢を放っていて、なんだか禍々しい。


 何処からか亡霊共が湧いて出て来て、ルーザラカを讃えるようなポーズを取っている。

 それも、サイリウム(ライブ会場とかでよく見掛ける光を放つ棒……俺はアイドル詳しくないからよく知らないが)を何本も持ちながらだ。

 こんなの原作ではやんなかっただろうが。

 余計な事をするんじゃない。


 そんなアイドル魔女――ルーザラカが、右手に持った銀色の扇子を天井に掲げる。


「いかにも! わらわの名はルーザラカ。氷と歌を司る魔女であるぞ。冥土の土産に覚えておくが良い!」


 わらわ口調のロリババア枠か……それで氷を司る魔女だろ?

 王道っちゃ王道だよな。

 だが勿体ない事に、コイツは原作では仲間にならない。

 まあ、守人を殺しちゃったなら仕方ないだろうけどな。

 案の定、村長がルーザラカを睨んでいる。


「守人様を殺したのは、貴様か」


「ああ、そこに居る屍かや? 命を吸い尽くさせて貰ったわ。この者、わらわにゾッコンでな……クックック」


「やはりそうなのか……守人様……」


「ゆえに聖杯は、既にわらわの手中! もはや常人には触れる事すら叶わぬ!」


 っていうかあの氷の塊、守人だったのか!

 確かに、よく見たら中に凍死した男が入っている。

 原作だと死体までは見付からなかったんだよな。


「ホーッホッホッホ! 大人しく引き下がれば命までは取らぬと約束してやろう!

 大いなる悲しみに打ち拉がれながら、吹雪の中を帰るが良いわ!」


 猛烈な吹雪と衝撃波で、俺達は入り口のほうへと吹っ飛ばされる。


 ……そろそろ頃合いだろ。

 マイクパフォーマンスが終わったら異世界ファンタジープロレスの時間だ。

 だが、俺は馬鹿正直に付き合う必要は無いと思ってる。

 この先の展開を、俺は知ってるからな。


「ファルド。ちょっと耳を貸せ。あいつの弱点なんだが……」


 俺は小声でファルドに囁く。


「奴は聖杯を触媒にして、自分を強化している。だが、才能が無い上に、魔女になったばかりだ。

 聖杯さえ破壊してしまえば……俺達の勝ちだ。俺が奴と、その取り巻きを引き寄せる」


 ファルドは少しの間、呆気に取られた顔をしていた。

 それはまさしく「どうしてそれを知ってる?」って顔だ。

 まあボスの弱点まで把握してるなんて、いくら予言でもおかしいもんな。


「俺を信じてくれ」


 やがて納得したのか、ファルドは頷いた。


 さて、俺はこのルーザラカという魔女が、守人にゾッコンだった事も知ってる。

 相思相愛の果てに守人が死期を悟った時、ルーザラカに命を吸わせたのだ。

 今こそ、俺はジラルドの左目の借りを返す。

 今度は俺が庇う番だ!


「守人もアホだなあ! お前みたいな小者に騙されるなんて!

 それともコイツは母性にでも目覚めたのか? ほら、残念系美少女って割と人気のジャンルだしな」


「ぐぬぬ……! ええい小癪な! わらわを愚弄するかっ! そも、残念系美少女とは何ぞ!? 訳の解らぬ言葉を使うでないわぁッ!!」


 完全に激おこモードのルーザラカが、氷魔法を放射形態から集中形態へと変化させ、俺に向けて放った。

 亡霊共も、調査隊を完全に無視してルーザラカの援護をし始めた。


「うほぉ、寒い! ルチア! 俺にスクリーン・エンチャントだ! アンジェリカはつららをファイアーウォールとミストフレイムで溶かしてくれ!」


「はいっ!」


「この吹雪の中だから途中で消えても恨みっこ無しよ!」


「どんと来い!」


 ふはは! 効かぬ! 効かぬのだァー!

 身体が少しずつ凍ってきてる上に、アンジェリカの魔法でも捌ききれなかったつららがチクチクと刺さる。


 が、コイツは序盤の敵!

 遊び人の俺でも耐えきってやる!

 何より、みんなに俺も戦えるって事を、俺なりの戦い方があるって事を教えてやるんだ。


「お前達、シンを援護するぞ! この隙を見て突撃だ!」


「了解です、村長!」


「無駄じゃ無駄じゃ! 愚民共め、一匹ずつなぶり殺しにしてくれるわ!」


 調査隊が進もうとするが、強風にあおられて一人、また一人と吹き飛ばされていく。

 辺りはすっかり真っ白になっていた。

 暗いはずなのに、連中が頑張りすぎているせいだ。


 俺はもう胸の辺りまで氷漬けにされて正直キツいが、手元にある携帯用暖房装置のお陰で死なないで済んでる。

 まさかここまでヤバいとは思わなかったが、こんな博打を他の奴にやらせちゃいけない。

 もうしばらくの辛抱だ。

 さあ、ファルド! その聖杯をブッ壊せ!


「ホーホホホホホ!! これが冬の聖杯を取り込んだ、わらわの力ぞ!」


「聖杯ってのは、これの事か?」


 ファルドが聖杯の欠片を片手に、俺とルーザラカの間に立つ。


 吹雪が途切れ、視界が晴れていく。

 ルーザラカの奴、めっちゃ狼狽えてるな。愉快爽快大殺界って奴だ。


「何!? き、貴様! わらわの聖杯を破壊したのか!? どうやったというのだ!?」


「理由は解らない。だが、お前はこれで丸裸も同然だ!」


「……勇者ファルド!? 何という事を!」


 我に返った村長が、愕然とした顔で叫ぶ。

 まあ、大事な宝を壊されたら誰だってそういう反応になるだろう。

 だがこうする他に方法が無い。っていうか俺は知らない。


「くッ、わらわの力を……おのれ、おのれ!」


 ルーザラカは悔しそうに地団駄を踏む。

 扇子にかじりついているし、どんなに取り繕ってもやっぱりガキだなコイツ。

 この残念系ロリババアめ。


「わらわの忠実なる眷族達よ、やれ!」


 亡霊共が一斉に、サイリウムを投げ捨てて襲い掛かってくる。


「すっこんでなさい! スネーキー……フレイム!」


 それをアンジェリカが焼き払う。

 亡霊共は次々と掻き消えていく。


 大技を繰り出した影響で、辺りの氷はどんどん溶けていった。

 俺を覆っていた氷も。

 急激に身体が温まり、手足がジーンと痺れてくる。


「残るはお前だけだ! ルーザラカ!」


 ファルドが剣の切っ先を向ける。ルーザラカは涙目で扇子をへし折った。


「口惜しや……口惜しや……! わらわが斯様な小童共に負けるとは! 今に見ておれ!」


 ルーザラカが天井に向けて光の柱を放つ。

 すると天井が崩れ、ファルドとルーザラカの間に瓦礫が積み上がった。


「く、う……!」


 土煙が晴れる頃には、ルーザラカは姿を消していた。

 ぽっかり空いた大穴から見えるその空は、青々と晴れ渡っていた。


 ……そして俺達は全員、無事だ。


 拍子抜けだな。

 こうもアッサリ撃退できるとは。

 まあ原作だと散々手こずって、ザイトンが現れて聖杯の破壊を指示するからな。

 ショートカット可能なギミックボスみたいなもんだ。

 原作では、再戦する頃には無害な雑魚と化してる展開だったし、実質的に俺達の勝利だ。


 村長が祭壇に歩み寄り、聖杯の破片を手に取る。


「異変は去ったか。同時に、聖杯は失われたがな……」


 何だよその言い方。俺達のせいだってか!?

 ……でもこういう時、どうやって言い訳すればいいかな。

 聖杯は原作でも壊れたままだ。

 血を垂らせば再生するとかそういう都合のいい展開があればいいんだが、証明させるのはちょっと気が引ける。


 うーん、ちょっとばかり危険な賭けだが……遠い未来を予知してみるか?

 原作で中盤になる頃には、秋が終わり冬がやってくる。


 その時にファルド達は再びリントレアに訪れるんだ。

 で、掘り当てたという温泉に招待される。

 単なる温泉回が書きたかっただけといえばそこまでなんだが、やっぱり何が役に立つか解らないな。


「石版の導きによれば、その後も四季が訪れるとありますよ」


「それが本当ならな。君が、私達を騙している可能性もある」


「その時になれば解ります」


「……証明する手段が無いだろう。聖杯を壊して逃げて、何も無ければそれで終わりか。君はあまりにも無責任すぎる」


「いや、ちょ……ちょっと待てよ!」


 くどいわ! さすがに俺もムカついてきたぞ。


「仮にみんなを騙そうとしたというのなら、俺が魔女を挑発して、その攻撃の矢面に立ったのは茶番とでも!?」


「魔法や加護で被害を軽減していたからな。ゆえに、仲間も同罪だ。

 聖杯の破壊を指示したのは君だろう? 勇者を唆すとは、見上げた役者だ。

 王国に連行して、君の処分を検討しようじゃないか」


 やだな、この思いっきり排他的な言い回し。

 しかも、ゴミでも見るような目をして、首を振りやがる。

 ムーサ村の連中を思い出して嫌な気分になる! くっそ、ぶん殴りたい!


 調査隊連中はどいつもこいつも複雑な顔をしている。

 助けて貰った手前何も言えないが村長には逆らえない、といったところか。

 歯痒い……!

 そこに、アンジェリカが前に出る。


「えっとね。悪いけど村長さん。私もシン……この黒髪の人の事は胡散臭いと思ってるわ」


 アンジェリカの馬鹿。余計な事を言うんじゃねーよ!

 ただでさえあんまり良くない俺のイメージを、これ以上おとしめるような真似はやめてください!


「でもね……」


 お? 何だよ。

 アンジェリカは村長にずかずかと歩み寄る。

 それから……胸倉を掴んだ。


 調査隊の連中が武器を手にしたまま、アンジェリカのほうへと行こうとする。

 だが、ファルドとジラルドがそれを止めようと立ちはだかる。


「コイツには色々と助けられてきたの。ルチアがゴブリンに人質に取られた時も、シンがゴブリンを狙って撃ってくれた。シンはドジばっかり踏んでるけど、コイツなりに頑張ってるのよ」


「そうだ。確かに、聖杯を壊したのは悪いと思ってる。けれど!

 シンは俺達全員が助かる方法を考えて、聖杯を壊すっていう提案をした。ああでもしなかったら、今頃俺達はみんな氷漬けになってた!」


「なのにアンタは自分の都合ばかり! 自分達でどうにかしようって、その考えは大切よ。私も同じ立場なら、そうしてたわ。

 でも私は自分達でやろうとした結果、壁にぶち当たって、それを助けようとした人に、結果が伴わないからって恨むような事はしたくない!」


「それに、貴方は調査隊の方々を、はじめからご自身と全く同じ考えだと決めつけていらした。一度とて、この方々の本音を聞こうとお思いでしたか?」


 お、お前等……!?

 ちょっと泣けてくるからそういうの!

 くっそ、いつの間に絆が深まってるんだよ……まだ三日目だろ……!?


「……」


 村長はまたも、首を振る。

 今度は、無言。それに見下した表情じゃなかった。色々と感情の入り交じった顔だ。

 そこにジラルドが駆け寄り、アンジェリカの手を村長からそっと離させる。


「親父。もういいじゃないか。俺達だけじゃあ決して聖杯の間には辿り着けなかった」


「しかし、ジラルド」


「叔父さんが守人としての役目を捨てて、あの魔女に魅入られちまったのがそもそもの発端だろ……。

 なるようになったんだ。身内の恥だからって、隠し通せる事じゃない」


 はい? 村長がジラルドの親父?

 ジラルド! アンタ天涯孤独って言ってたじゃん!

 それよりもだ。守人が、叔父だって?


「えっ! ちょっと待って! 守人様は村長のお兄さんなのか!?」


 村長が俯いて黙り込む。

 ジラルドも、やっちまったって顔をしてる。

 調査隊はみんな、呆気に取られてる。

 みんなに、秘密にしていたのか。


 ちなみに俺も知らなかった。

 俺、村長の兄を思いきりディスっちゃったんだけど。


 ていうか、そもそもだよ?

 国王がイノシシ喰いの王という異名持ちって裏設定はまあ解る。

 キリオがモードマンとの師弟関係だったという裏設定も解る……すごくよく解る。

 キャラ被りを共通点へと昇華した、見事な補完だからな……。

 ジラルドが村長の息子って裏設定も見逃そう。

 元はモブだろうしな。某歴史アクションゲーでもよくある話だ。


 だが、村長と冬の聖杯の守人が兄弟って裏設定はどういう事だ!?

 本筋に影響が無いからってそんなのアリかよ! また地雷踏んじまったじゃねーか!


 ナメやがってこの世界の設定補完、超イラつくわー……。

 無性に壁殴りがしたくなってきた。


「……このジラルド・フォン・リントライア、もう逃げも隠れもしないさ。守人様は、俺の叔父だよ」


 ジラルドがそう言って、村長に目配せする。

 村長は暫くして、重々しく口を開いた。


「……兄の様子がおかしい、怪しげな女が古城に出入りしているとの報せを聞き、真相を問い質そうと思った矢先の異変だった。

 身内の恥である以上、村の中で内密に処理したいと私は考えたのだが……馬鹿な事をしたものだよ。兄も、私も」


 村長は眼鏡を地面に落とし、その場に泣き崩れた。


「……偉そうな事を言いながら、私事に巻き込んでしまった……! 申し訳ないと思う」


「何言ってるんですか、村長!」

「聖杯は熟練工に直して貰いましょう」

「教会の方々に加護を掛け直して貰えば、また力も回復するかもしれません。時間は掛かるかもしれませんが、きっと元通りになる!」


「皆……! すまない……ありがとう」


 村長が泣き笑いをする。

 やれやれ、ジジイのツンデレとか誰得だよ。

 まあいいや。


「とにもかくにも、めでたし、めでた、し……――ッ!」


 なんで俺、急に膝の力が抜けて……?

 いくらキツかったって言っても、こんなにダメージあったのか?


「あ、れ……?」


 目の前が暗くなる。

 ――おい冗談だろ?

 俺、死ぬのか?




 冬の円盾

 冬の聖杯の意匠があしらわれた、小さな円盾。

 冬の聖杯の守人、セブマドの所有物。


 聖杯を守る冬の民は、グレンツェ帝国の国境線をアレクライル王国の侵攻から守り続けた。

 彼らは城塞が飛行船に蹂躙されるさなかにて、皇帝が行方を眩ませたとの報せを聞き、怨嗟と共に果てた。

 今でも冬の古城には、その亡霊達が彷徨っている。

 もし冬の民の末裔が古城を訪れたのなら、彼らは憐憫と同情を以て迎え入れてくれるだろう。

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