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ハーレム・ゲーム  作者: 松戸京
6日目
68/82

掴めぬ実感

 そして、俺と芽衣もそれぞれ部屋に戻った。


 今日でいよいよ6日目。


 犯人は既に京極が殺されていることを知っている前提でスピーカーから音声を流して来ていた。


 そうなると、既に京極が殺されることも犯人は予定していたということになる。


 そして何より、あの短い放送の中で犯人が言っていた気になる言葉。


 最後に誰を選択するのか……


「……つまり、そういうことだよな」


 最後の「ヒロイン選択」。あの口ぶりだとそういうことになる。


 順当に考えて「最後のヒロイン選択」とは、また最終日に誰かが死ぬ、と考えていいのだろう。


 そして、それを選択するのは俺。となると、その対象となるのは……


「有栖川か、芽衣ってことになるのか」


 なんとも悪い冗談だ。そもそも、俺は芽衣も有栖川も「選択」するつもりはない。


 しかし、ここまで言ったことは実行してきた犯人だ。


 確実に、次の選択も確実に行われることになるのだろう。


「……いずれにしても、後1日、か」


 そう時を待たずして最後のときがやってくる。


 俺はそう思うとなぜか緊張してしまった。いや、むしろ緊張して当たり前なのかもしれないが。


 もうすぐ、全てが終わるのだ。俺達の監禁状態も。この狂ったゲームも。


 俺はそのままベッドに横になり天井を見上げる。この景色もすでに充分すぎるほどに見慣れてしまった。


 ふと、屋敷の中にはすでに死体が二つあることを思い出す。


 二階堂と京極。二人とも学校では死なんて言葉とは無縁の存在だった。


 それなのに、今は死んでしまった。その死に様は、二階堂にしても京極にしても、あっという間の話だった。


 二階堂は俺達が見ている目の前で、そして、京極は俺達が発見した時にはすでに死んでいた。


 なんとも不思議な感じである。まだ二人とも実は生きているんじゃないか、とさえ思える。だからこそ、二人が死んだことに関しても悲しみがないし、ショックもさほど感じていない。


 まるでそれこそ、最初からそれがわかっていたかのように。

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