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ハーレム・ゲーム  作者: 松戸京
6日目
62/82

寝付けない夜

 その日、俺は中々寝付けなかった。


 京極が帰った後はすぐにベッドに入ったのだが、目をつぶっても眠れる気配がまるでない。


 何度も寝がえりを打ちながら、自分でも無意識のうちに緊張しているのかと考える。


 6日目に何か起こるのではないかと、無意識のうちに考えているのではないか、と。


 俺はベッドから上半身だけを起こす。


 そして、時計を見た。


 時計は夜中の3時を示していた。


 既に6日目に突入しているのだ。


「……水でも飲んでくるか」


 俺はベッドから立ち上がり、扉を開く。


 暗い廊下は伽藍としていて、なんだか不気味だ。


 ここで誰かに襲われたらひとたまりもないだろう。


 俺はそれとなく警戒しながら、キッチンへの道を急ぐ。


 そして、キッチンのある部屋の扉の前に立ち、扉のノブに手をかけた。


「あ……コウちゃん」


 思わずビクッ反応して瞬時に声のするほうを向く。


「……なんだ。芽衣かよ」


 そこには芽衣が立っていた。


 パジャマ姿で心配そうな顔で俺を見ている。


「どうしたの? こんな時間に」


「……お前こそ、なんでここに?」


「あ……私、ちょっと眠れなくて……あはは……」


 恥ずかしそうな顔で芽衣はそう言う。


 同じ理由だと言うのは気が進まなかったので、俺は小さく溜息をついてみせた。


「……水でも飲むか」


「あ……うん」


 そういって芽衣と俺は部屋に入った。部屋の中はシーンと静まりかえっており、真っ暗だった。

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