ゲーム開始
『あー……もしもし? 聞こえてます?』
「な、なんだ? どこから聞こえているんだ?」
二階堂がキョロキョロと辺りを見回した。
「あ」
と、芽衣が声を上げ、部屋の天井の一角を指差す。
その先を見ると、天井の隅にスピーカーが設置されており、そこから声が出ているようだった。
『あー……みなさん、集まっているでしょうか?』
明らかにボイスチェンジャーか何かで処理されており、誰のものと分からなくなっている声。
「だ、誰だ?」
『……よし。集まっている、ってことにしましょう』
声は俺の質問には応えずスピーカーの声はそのまま先を続けた。
『えー……それでは、皆さん。突然、このように、お集まり……というか集めたのは私なんだけど……していただき、まずは、ありがとうございます』
異様に軽い調子の声は勝手な言葉を勝手に進めていく。
『お気づきの人もいると思いますが、みなさんはこの家から出ることは出来ませーん』
無駄に間延びした語尾とともに、残酷な事実が告げられる。
「は、はぁ!? な、何を言っているんですの!? そんな……ふざけないでください!」
急にそんなことを言われて怒ったのか、京極がスピーカーに向かって怒鳴る。
しかし、京極の怒りなんぞは無視して、スピーカーは先を続ける。
『怒っている人もいると思いますが……まぁ、もちろん、永遠に出られないわけじゃないですよ? これはあくまでゲーム、ですから』
「ゲーム?」
有栖川がその言葉に反応し、反芻するように尋ねる。
『そう! これは、北村幸一君のヒロインを決める、北村幸一君のためのゲームなので~す!』