自業自得
「……おい、京極」
「な、なんですの?」
「ここ、お前の屋敷なんだよな?」
俺がそう訊ねると、京極は静かに頷いた。
「……そうですわ。京極家の別荘の一つですわ」
「だよな? それなのに、どうしてこの家から、俺達はおろか、お前まで出ることが出来ないんだ?」
俺が訊ねると京極は俺から顔を反らした。
どうやら言いにくい事情があるらしい。
「京極」
俺はもう一度京極の名前を呼ぶ。
京極は苦々しげな顔で俺を見た。
「……8日目までは迎えに来るなと、言ってしまったからですわ」
「はぁ? なんじゃそりゃ」
「だ、だから……ワタクシ達の邪魔をしないように8日目までは誰であってもこの屋敷に近付くなと、家の者には申しておきましたの……だから、この屋敷から、例えワタクシであっても8日目……つまり、5日後の朝までは出ることができませんわ」
恥ずかしそうな顔で京極は俺を見る。
なるほど。この状況は京極自身の自業自得の結果、というわけか。
「……それで、なんでこんなことをしたんだ?」
「……で、ですから、それは犯人に騙されて……」
「だから、どうしてこんな大がかりな馬鹿みたいなことやったんだ、って聞いているんだよ。俺をイジメたいってのはわかるよ。だけど、いくらなんでもやりすぎだろ」
俺がそういうと京極は悔しそうに下唇をかんだ。
そして、いきなり立ちあがる。
「あ、アナタなんかに何がわかるんですの!?」
それだけ言うと、京極もそのまま扉を乱暴に開け、大部屋を出て行ってしまったのだった。




