動揺
「ちょっと! いつまで騒いで……え?」
と、京極が部屋の扉を思いっきり開いて姿を表した。
そしてすぐに床に寝そべっている二階堂の死体を見る。
京極の顔が瞬時に歪む。
「え? あー……二階堂さん? えっと……どういうことですの?」
「死んだのよ」
有栖川が落ち着きはらった声でそう言う。
「え……死んだ?」
「ええ。見なさい。二階堂さん、死んだのよ」
「なっ……ど、どういうことですの!? 説明しなさい!」
半狂乱になりながら京極が怒鳴る。
俺としてはむしろ、こっちが説明してもらいたいくらいだった。
一体、これはなんだ?
目の前の二階堂は完全に硬直している。
死んだのだ。
二階堂怜子は、死んだのだ。
そりゃあ、確かに俺は二階堂を殺そうとした。
だけど、ギリギリで踏みとどまった。
芽衣の声でなんとか踏みとどまったわけだが。
その時、明確にやっぱり人を殺すなんて簡単にできるものじゃない、ということがわかった。
それなのに……死んだ。
二階堂怜子は俺達の目の前で死んだのだ。
『はーい! みなさーん! 揃ってますかー!?』
と、そんな状況の中、調子外れに要機な声が、いきなりスピーカーから聞こえてきた。




