表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム・ゲーム  作者: 松戸京
1日目
2/82

折原芽衣

 部屋の外には、長い廊下が広がっていた。


 キョロキョロと辺りを見回すと、廊下に面していくつかの扉がある。


 どうやら、俺のいた部屋以外にも何個か部屋があるようである。


「しかし……一体どうなっているんだ?」


 思わず俺はそう呟いた。


 と、その時だった。


 俺から向かって真正面……つまり、俺の部屋の向かいに位置する扉が開いた。


「あ、あれ……あ……コウちゃん!」


「あ……芽衣」


 扉を開けて出て来たのは、女の子だった。


 首の辺りでそろえたショートカット。愛嬌のある人懐っこそうな瞳。


 俺の幼馴染、折原芽衣だった。


「……え? あ、あれ……ここは?」


「さぁな……お前もか?」


「え? お前も、って?」


「俺は気付いたらこの家のこの部屋にいた。お前もそうかって聞いているんだよ」


「あ……うん。そうだよ」


 どうやら、芽衣もここに来るまでの記憶がないらしい。


「なんだってんだ……一体……」


「コウちゃん、あのね、 私、家に帰って、コンビ二に行っていたんだけど……あれ? なんで、私、ここにいるのかな……」


 言葉通り、学校指定の制服姿の俺に対して、芽衣は普段着だった。


 俺が帰宅途中で記憶をなくしているように、芽衣も、家に帰ってコンビ二に行っている途中で記憶をなくしたらしい。


「さぁ……いずれにせよ、どうやら俺達はよくわからないことに巻き込まれたらしいな」


「え……も、もしかして、コウちゃんもコンビ二に行っている途中だったの?」


「いや、俺は家に帰る途中で……」


「え? あ、ホントだ。制服だもんね。あ、でも、コウちゃん、そういえば、どうして私と帰ろうって言った時帰ってくれなかったの?」


 芽衣が思い出したように言う。


 余計なことは思い出さなくていいというのに……


「あ、ああ。ちょ、ちょっと用事があるって言っただろ?」


「え? あれ? そうだっけ?」


 芽衣はよく覚えていないという風に首をかしげた。


 そう。それでいい。芽衣は何も知らなくていいのだ。


 そう、芽衣は俺のことを理解しているようで、何も理解していないのだから。


「……とりあえず、この家から出よう。他人の家に勝手に上がりこんでいるのは不味いだろ?」


「え? あ、ああ。そうだね」


 そうだ。なんだかこの家にこのままいるのは不味い気がする。


 これ以上面倒なことになりそうだ。ただでさえ俺は面倒ごとが嫌いなのだ。だから、一刻も早くここから――


「無駄よ」


 と、廊下の奥から声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ