不穏な夜
「アナタ達はどうするの?」
と、続いて立ち上がった有栖川が俺と芽衣に訊ねて来た。
「え……コウちゃんは?」
「俺は……部屋で寝るよ」
「あ……うん。じゃあ、私も」
というか、この状況で自分の部屋以外のどこで寝ろというのか。
確かに犯人がどこにいるかわからない以上、自分の部屋で寝ることさえも危険だが、かといって他に選択肢がないではないか。
「じゃあ、二人とも、おやすみ」
そう言って、有栖川はそのまま部屋を出て行ってしまった。
残されるのは俺と芽衣である。
俺は居心地が悪くなって思わず立ちあがる。
「あ……コウちゃん」
と、芽衣が立ちあがった俺に声をかけてきた。
「……なんだよ」
「その……私達、これからどうなるのかな?」
くだらない質問だった。
その質問に対して俺はどう答えればいいのか。
むしろ、芽衣は俺が応えられると思っているのだろうか。
おどおどした表情で俺を見る芽衣。
やはり、不愉快だった。
本来なら、俺が芽衣を守ってやらなければいけないのは承知している。
だけど、今は――
「……知らん」
それだけ言って俺も部屋を後にした。
悲しそうな顔で俺を見る芽衣を残して。




