冬の五つ葉クローバーとある姉妹の話。
ある寒い朝、雪の薄く積もった原っぱでひーちゃんとお姉ちゃんが遊んでいました。
雪に手をついて手形を作ってみたり、おいかけっこをしてみたり。
たくさんたくさんあそんで、たくさんたくさん疲れた頃、ひーちゃんは原っぱのすみっこできれいなきれいなクローバーを見つけました。
冬の寒さで他のクローバーはしおれてしまっているのにそのクローバーだけは青々としています。
きれいだな、と思ってひーちゃんはお姉ちゃんをよびました。
「ねぇね〜あのね〜」
「どうしたの?」
ひーちゃんが「あれ〜」と指さした先にあるクローバーを見て、お姉ちゃんは驚きました。
「わぁ、他のは枯れてるのにこれだけきれいだね。それに…」
そのクローバーの葉っぱは三枚ではなく、五枚だったのです。
「すごいね、葉っぱが五枚だよ」
「ね〜」
「きれいだね。これ、ママとパパに見せたらびっくりするかな?」
「な?」
「このままじゃ寒くてこのクローバーも枯れちゃうかもしれないし、一緒におうちに帰ろうか?」
「あい!」
ひーちゃんとお姉ちゃんは優しくクローバーを摘んでおうちに向かって歩きだしました。
トコトコと、しばらく歩くと仔リスちゃんに会いました。
「こんにちは、仔リスちゃん」
「こ〜んちゃ!」
ひーちゃんとお姉ちゃんは元気にあいさつしたけれど、仔リスちゃんはなんだか元気がないみたい。
「どうしたの」
「の?」
仔リスちゃんは言いました。
「ママが病気で苦しそうなの。でね、まえにママから聞いたお話を思い出したの」
それは魔法のクローバーのお話でした。
そのクローバーはどんな願いごとも叶うと言うのです。
「それがあればママの病気も治っちゃうと思うんだ」
と、仔リスちゃん。
「じゃあ私も一緒に探すよ、三人で探したら見つかるかもよ」
「いいの?」
「もちろん!ね、ひーちゃん」
「あい!さがす〜」
「ありがとう!」
仔リスちゃんはとても嬉しそうです。
「そのクローバーはどんなクローバーなの?」
「それがね、二人ともびっくりするかもしれないけど葉っぱが五枚なんだって。それでね、魔法の力で冬でも枯れないんだ」
それを聞いてひーちゃんとお姉ちゃんは驚きました。だって、さっき見つけたのは…。
「りすちゃ、これ〜?」
仔リスちゃんはもっと驚きました。ひーちゃんとお姉ちゃんが持っていたのが冬でも枯れない、そして葉っぱが五枚のクローバーだったのですから。
「 それだよ、ねえ、それをくれないかな?」
「りすちゃ、まま、にこにこ?」
「そうだよ、ひーちゃん。だから…どうぞ」
ひーちゃんとお姉ちゃんはクローバーを仔リスちゃんにあげることにしました。
「ありがとう!ありがとう!」
仔リスちゃんは何度も何度もひーちゃんとお姉ちゃんにお礼を言いました。
そしてすぐに仔リスちゃんはおうちで待っているママの所に帰りました。
仔リスちゃんはクローバーにお願いをすると、仔リスちゃんのママはみるみる元気になりました。
「ママ、大丈夫?」
「大丈夫よ、魔法のクローバーがよく見つかったわね。」
「ひーちゃんとお姉ちゃんにもらったんだよ。」
「まあ、それじゃあお礼にいかなくちゃね」
仔リスちゃんと仔リスちゃんのママは木の実たっぷりのケーキを作って、ひーちゃんとお姉ちゃんのおうちに行きました。
仔リスちゃんと仔リスちゃんのママはひーちゃんとお姉ちゃんのママに、
「ひーちゃんとお姉ちゃんのおかげで病気が治りました。ありがとう」
と、ひーちゃんとお姉ちゃんのママにケーキを渡し帰っていきました。
ひーちゃんと
お姉ちゃんのママはびっくりしましたが、ふたりがとても良いことをしたので、うれしくなりました。
その日の夜、ひーちゃんとお姉ちゃんのママはパパに仔リスちゃんと仔リスちゃんのママから聞いた話をしました。
パパもひーちゃんとお姉ちゃんが良いことをしたので、とてもうれしく思いました。
パパとママは、ひーちゃんとお姉ちゃんをぎゅっと抱きしめて、二人をうんとほめました。
「パパもママもひーちゃんとお姉ちゃんがよい行いをして、とてもうれしくおもうよ。えらかったね。ひーちゃんとお姉ちゃんが優しいよいこでとてもほこりにおもうよ」
二人も仔リスちゃんのママが元気になって、パパとママにほめてもらってとてもうれしくなりました。
窓の外は雪がふるほど寒いのにひーちゃんとお姉ちゃんはぽかぽかとあたたかい気持ちになりました。
良かったね。ひーちゃん、お姉ちゃん。
-おわり-
拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございました。