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魔女ぷりっ!?  作者: usa
8/30

8jewelry


朝食を終えると、可憐は制服に着替えた。


今日はいつもよりゆとりがある。


のんびりリボンの位置を直していると、横からマリンが騒ぎ出した。


「ねえ、可憐てば!どこにいくの?」


可憐は面倒臭そうに答えた。


「うるさいなぁ。学校よ。決まってんじゃん」

「えー?そんなことよりも、お願い事は?あと五個も残ってんだよ?早く考えなきゃ!」


可憐はぼんやりと考えた。


そういえば、遅刻を免れたのと、勝手に理香子と入れ替わったので、残りは五つか…。


「何がいい?もっと美人になるとか?頭がよくなりたい?それともスポーツ?あ、マルチって手もあるよ!その場合は、お願いは一個ずつに分けるけど…」

「残念でした!まだ思いつかないよ」


マリンは不満そうに口を尖らせた。


「いつ決まるの?」

「それは…わかんないわよ」

「いつ?いつ!ねえ!」

「もう!知らないってば!急かさないでよっ」


可憐はしがみついてくるマリンの手をほどくと、リュックを肩にかけた。


「五時には帰ってくるから。それまでここにいてね」

「へーい」

「…まさかお夕飯も、ああいうのになるの?」


先ほどのカエルステーキを思い出したのか、可憐は顔をしかめた。


「ん~とね、夕ご飯はナメクジのシチューかな」

「おえっ」

「デザートにバッタの肝臓ゼリーがあればもっといいんだけど…」


聞かなければよかったと半ば後悔しながら、可憐はドアノブに手をかけた。


最後に、マリンの方をちらっと睨みつける。


「いっとくけど、学校にはついてこないでよね」

「ケチ!」


マリンはそういったあと、やけに顔を緩ませた。


「ははーん。さては可憐、学校に好きな子でもいるんでしょ?だからマリンに知られたくないんだ!」

「な…っ」

「あっ、図星!可憐顔真っ赤だ!」


マリンはさも楽しそうに笑ったが、可憐はそれどころじゃない。


「ち、違うわよっ!別に私は…」

「好きな子がいるんなら話は早いや。マリンの力で、両想いにさせてあげる!それから、告白させて~、初デート、キス、それからまあ、プロポ…」

「うわあぁぁぁっ!」


可憐は慌てて遮ると、呼吸を整えた。


「大丈夫、可憐?」

「だ、大丈夫だから…それ以上は何もいわないでっ」


マリンが黙ると、可憐はその顔に指を突きつけた。


「別に私には好きな人なんていないし、仮にいたとしても、魔法の力になんか頼んないから!じゃ、大人しくしててね。また勝手に何かしないでよ!」


激しい口調でいうと、バンとドアを閉めた。


マリンはしばらく、きょとんとした顔でそれを見ていたが、やがてにやりとした。


「魔女に向かって、魔法に頼らないだなんて、よくいうねぇ。軽ーくマリンを怒らせちゃったみたい」


マリンは杖を取り出した。


中に向かってくるくるとそれを振ると、渦の中心からずるずると服が這い出してきた。


可憐の高校と同じ制服だ。


それに杖を向けると、マリンはあっという間にそれに着替えた。


「魔界のプリンセスの恐ろしさ、見せつけてやる…」


マリンは呟くと、舌なめずりをした。



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