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魔女ぷりっ!?  作者: usa
5/30

5jewelry


全身がガタガタを震える中、クラスメイトが心配そうに可憐を覗きこんでいる。


「理香子、具合でも悪いの?」

「保健室いく?」


女子たちが優しくいってくれるが、可憐は首を振った。


だって、どう説明すればいいの?


どんな言葉を並べたてても、全っ然理解できない!


そうだ。


理香子は?


あたしがここにいるってことは、今の理香子はあたしってこと?


可憐は慌てて周りを見渡した。


理香子…つまり、可憐はいない。


咄嗟に近くにいたクラスメイトにたずねた。


「ねえ!理…えと、か、可憐は?」


そのクラスメイトは目を丸くさせた。


「何いってんの?可憐は気分が悪いからって、あんたが保健室に連れていったんじゃない」

「ええっ!?」


可憐が叫ぶと、その子はビクッとした。


「ねえ理香子。あんた、やっぱりおかしいんじゃないの?早退したら?」

「う…うん。そうする…」


可憐はふらっと立ち上がると、よろよろとした足取りで理科室を出た。


そのままゆっくり保健室に向かった。


幸いなことに、先生は今日は出張中だ。


可憐は保健室のドアを開けると、ひとつだけカーテンのかかっていたベッドを見つけ、ずかずかとそちらへ歩み寄った。


思いっきりカーテンを引っぺがすと…いた!


可憐はベッドの横でうつらうつらとしていたマリンを見て、頭に血がのぼってきた。


「ちょっとあんた!何してくれんのよ!」

「ふにゃ…?」


マリンは寝ぼけ眼で可憐を見た。


更に、ベッドで眠っている人を見て、可憐はさっと背筋が冷たくなった。


「理香子!しっかり。大丈夫?」


慌ててその手を握り、今は可憐の姿をした理香子に話しかける。


マリンはようやく目が覚めたらしく、欠伸をして笑った。


「平気だってばぁ。今はちょっと眠ってもらってるだけ」

「な、なんで眠る必要が…」

「そりゃ、可憐のお願いを叶えるため、よ」


マリンは当然のようにいった。


「はぁ!?いつ私がそんな…」


可憐が否定しようとすると、マリンはきょとんとした。


「あれれ?この子みたいになりたいっていったよね?」

「みたいに、でしょ!理香子本人になりたいっていったわけじゃない!」


マリンは面倒そうに頬をかいた。


「何カリカリしてんの?カルシウム不足?お肌荒れるよー」

「ふざけないで!」


可憐は怒鳴った。


「理香子に何かあったらどうしてくれるのよ!理香子は私の親友なのよ?」

「そんなのマリンは知らないよ。マリンの仕事は、可憐の願いをかなえることだもん」


可憐は眉をひそめた。


「私の、願い?」


聞き返したが、マリンは至って真面目な顔でうなずく。


「そ。一ヶ月以内に、可憐の願いを七つ叶えなくちゃいけないの。朝の遅刻とやらの件と、今ので残りは五つ」

「ちょ、ちょっと待って!」


可憐は片手をあげて、マリンを制した。


いきなり現れて、なんで私の願いを叶える?


意味がわからない!


「な、なんで初対面のあんたが、私の願いを叶えるのよ?」

「ん?それはねぇ…」


マリンは考えるかのように、顎に手をやった。


「…わっかんない」

「おい!」


マリンは口を尖らせた。


「しようがないじゃん。わかんないもんはわかんないんだもん。でも、そういう掟なの!」

「掟…?」


可憐が繰り返す。


マリンはにやりとした。


「あのね、可憐。マリンは魔女なの」

「………」

「もっと細かくいえば、魔界の次期女王。いわば、お姫様ってやつ」


気取ったしぐさで髪をなびかせたりしているが、可憐はそんなの見ちゃいなかった。


マリンの顔、服、自分の姿、そして眠っている理香子を順々に見比べている。


「で、その女王になるための試験に、可憐の協力が必要なわけだから、よろし…」


ふらっ…


マリンの言葉を最後まで聞くこともできぬまま、可憐は意識を失った。



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