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魔女ぷりっ!?  作者: usa
22/30

22jewelry


足に力が入らない。


まるでゴムのようだった。


ただ進むだけに、事務的に動かし続ける。


可憐はにぎやかな教室へと、一歩踏み入れた。


すぐさま、自分の前の席を確認する。


途端、脱力した。


可憐の思いを、マリンが声に出した。


「南君、いないね…」

「…うん」


無理もない。


母親が事故死したのだ。


当分の間はこれなくて当然だろう。


可憐はさっさと自席に行くと、いつもならしない、宿題をはじめた。


いつも悠也は、そうしていた。


宿題がない日は本を読んだり、ただぼうっと窓の外を眺めていたり。


そんな様子を、うしろからいつも見つめていた。


みんなは悠也が冷たくて愛想のない人だという。


でも私は違う。


彼は優しくて、勇気がある人。


ただちょっぴり、感情表現が苦手なだけ。


そんな彼を、どうして嫌うことができただろう。


その時、ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴りだした。


同時に、担任が沈痛な面持ちで入ってくる。


クラスメイトも暗い気分が蘇ったらしく、ざわめきが消えた。


担任が教卓に出席簿をおいた。


「昨日はお疲れさん…。平日にもかかわらず、大半の生徒が南のために来てくれた。南もきっと、喜んでくれてる。南のお母さんもな」


可憐は顔を伏せた。


担任の声がまた告げる。


「南はもともと母子家庭で、これでその…保護者の方がいなくなってしまった。そこで南は昨日付けで、転校をした」


静けさが破られ、再びクラスが騒がしくなった。


可憐は顔が硬直するのを感じた。


転校?まさか…。


マリンも隣で、おろおろとしている。


担任は話を続けようと、大声でいった。


「南は今日これから、親戚の方が住んでいる神奈川に引っ越す予定だそうだ。時間の関係上、挨拶はできない。けどこれも南のためと思って、どうかみんな、許してやってくれよな。…以上!」


起立、礼。


学級委員の言葉が終わると同時に、教室内がわっと賑やかになった。


マリンが泣き出しそうな顔で可憐を見た。


「なんで?可憐にもいわないで、こんな…」

「そりゃいわないでしょ。別に私、南君とそこまで親しかったわけじゃないし…」


答えながらも、可憐も喪失感でいっぱいだった。


ほんのちょっとでも彼に近付いた気でいた自分は愚かだった。


彼にとって私は、ただのクラスメイトでしかない。


不意に、どうしようもない寂しさが可憐の胸を襲った。


昨日散々流したはずのものが、頬を幾度も伝っていく。


小さく嗚咽をあげながら、可憐はそれを拭った。


マリンは何もいわず、可憐の背中を撫でてくれた。


それに甘えて、可憐はマリンの制服を掴む。


母親のような手つきで可憐をあやしながら、マリンは呟いた。


「ねえ、可憐」

「…何?」

「ひとつだけあるよ。南君を元気づける方法」


可憐は顔をあげた。


「何、それ?何なの!?」


マリンは何もいわず、可憐の背中から手を離した。


そしてポケットから、もうお馴染となった石を取り出す。


「6つ目の願い」


ぽうっと水色の光が放たれる。


可憐は目をつぶった。


「どうかお願い。可憐に、素直になる勇気を与えてください――…!」




クライマックス!?


真相は…次回で(笑)

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