C)悪夢
グラウンドに着いた翔太と貴裕。
大輔
『翔太。』
翔太の存在に気付き、翔太のそばに近寄る。
翔太
『大輔。練習サボんなよ。』
年上とは言え、大輔が1988年3月29日生まれ、翔太が1988年4月30日生まれと、学年は一つ違うものの誕生日が一ヶ月ほどしか変わらないため、友達のように話している。
貴裕
『翔太。タメ口はヤバくね。先輩だろう。』
翔太を心配しての忠告。
大輔
『あ~、気にしなくてもイイよ。ここの部、かなり、フレンドリーだから。俺らも先輩にタメ口だし。まぁ、一人しかいないけど。』
笑いながら話す。
慎太郎
『お、ちゃんと連れてきてるじゃん。』
慎太郎も翔太達の傍に寄ってきた。
翔太
『もち、シン君。大輔にノルマ二人って、言われてたからとりあえず一人目。中村貴裕クン。』
貴裕を紹介する翔太。
慎太郎
『待て待て。自己紹介はみんなの前で。徹さ~ん、新入部員二人来たよ。』
全員に聞こえるように叫ぶ。
徹
『お、じゃぁ、新入部員がいるところに集合。』
この言葉に、翔太達のところに集合した。
そして、各々が自己紹介を行っていった。
その頃、主人公の昂一は公園のベンチに座っていた。
公園では小学生達が野球をしていた。昂一はその光景をボーっと見ていた。そして、胸の中にモヤモヤが蘇って来た。
しかし、そのモヤモヤをすぐに忘れたかったので、昂一は立ち上がり、公園から離れようとした。
子どもの声
『危ない。』
その声の方向を見ると野球のボールが昂一の目の前まで迫っていた。
しかし、昂一は素早く反応し、左手でボールをキャッチした。そして、そのボールをそのまま左手で軽く子ども達の方に投げた。
何事もなかったかのようにその場を去って行った。
家に着くなり、そのまま、ベッドに倒れ込んだ。
昂一
『野球はしないって決めたんだ……。』
呪文のように自分に言い聞かせるかのように呟く。
しばらくするとそのまま眠っていた。
ナゾの中学生A
『お前、四番なんだからちゃんと撃てよ。』
ナゾの中学生B
『全日本のメンバーに選ばれてから調子に乗ってんじゃねぞ。』
ナゾの中学生C
『世界大会の決勝で、活躍したとたん自分のチームで四番任されて、ヒットすら打てないんなら辞めてくれねーか。』
昂一
『はぁ。はぁ…はぁ…はぁ………。夢か……。』
悪夢で目を覚ます。
昂一
『忘れるためにこの島に来たのに……こんな夢見てたら忘れねぇな。』
息を整えながら呟く。
その頃、翔太は自室でグラブを磨いていた。
翔太
『明日は佐藤クンを強引に誘って入部させないと。宝の持ち腐れにしたら野球の神様から天罰がくだるよ。』
昂一のことを何か知っているかのような発言をしつつルンルン気分でグラブを磨いていた。
そして、貴裕は、翔太の言っていた人物が気になっていた。
貴裕
『翔太が言ってたヤツ、誰なんだろう。気になるなぁ~。それにしても、この学校じゃ、甲子園は夢のまた夢だな。』
気になっていたが、最終的には、甲子園出場を諦めていた。