B)翔太の勧誘1
時間は進み、放課後。グラウンドでは野球部員がキャッチボールをしていた。
純平
『キャプテン、今年の新入生多いから、新入部員、多いかな。』
福原 純平。2年生の16歳。右投げ右打ちで、ポジションはサード。
キャプテン・徹
『さぁな。とりあえず、夏の大会に出場できる人数は欲しいかな。』
波田 徹。一番星学園野球部、唯一の3年生。キャプテンをしている。右投げ右打ちで、ポジションはメインが捕手。膝に軽いケガを負っているため、現在はファーストを守っている。
悠一
『確かに。去年の秋は出場できなかったもんなぁ~。後、4人入部してくれればな。』
山村 悠一。2年生の16歳。右投げ左打ちで、ポジションはセカンド。
紘
『何で4人?3人入部すれば9人になって出場できるじゃん。』
山野 紘。2年生の16歳。左投げ左打ちで、ポジションは外野。悠一の山村と紘の山野で、『山山コンビ』と呼ばれることがある。
悠一
『夏が終わったら、波田さんが引退すんだから、8人になって今年の秋の大会も出られなくなるだろうが。』
紘
『なるほどね。それに10人だと、ランコーの交代が少なくて済むしな。』
ランコー=ランナーコーチの略。
慎太郎
『もし、4人以上入部してきたらお前のポジションだな。』
浅川 慎太郎。2年生の16歳。右投げ右打ちで、ポジションは外野。
紘
『今日からファーストの練習でもやろうかな。』
かなり、プラス思考な前向きな発言。
大輔
『やめとけ。普通に外野の練習に励め。それか、翔太にピッチングの指導でも受けて、投手でもしたらどうだ。』
仲 大輔。2年生の16歳。右投げ左打ちで、ポジションは主に外野。内野も全てこなせる。
慎太郎
『それはいいな。このチーム、投手いないし。それに、左利きのメリット生かせるし。』
徹
『バカなこと言ってないで、まじめにキャッチボールしろ。』
キャプテンからの注意で、無駄話しは終わった。
そのころ、教室は……。
担任の津田の話しが長く、ようやく放課後を迎えた。
翔太
『はじめまして。オレ、松井翔太だけど、中村クンは、高校でも野球するの。』
翔太が貴裕に声をかけていた。
貴裕
『そのつもりだけど、松井クンも野球部希望?』
若干、嬉しそうに答える。
翔太
『そお。だから、一緒に見学行かない?それと、翔太でいいから。』
貴裕
『行く、行く。』
翔太
『よし。これで、あと一人。』
かなり嬉しそうに言う。
貴裕
『何があと一人なんだ?』
疑問を持つ。
翔太
『実は、ここの野球部、人数足りないんだ……。だから、先輩に最低二人連れて来いって、言われてるんだ……。』
翔太に命令した先輩と言うのは、大輔のことで、翔太の家と大輔の家は隣同士で、兄弟のように育った。
貴裕
『マジ……。あと一人、誰にする?』
翔太に協力する貴裕。
翔太
『実は、もう決まってんだよね。声をかけるヤツわ。』
ニヤリとする翔太。
貴裕
『誰?』
翔太
『ヒミツ。なんでこの学校にしたかも聞きたいし。それに、今日はもう帰ったみたいだし……。さぁ、話しはこの辺にしてグランド行こうぜ。』
その言葉を聞いて周りを見る貴裕だったが、結局分からなかった。
翔太の言う人物が気になったまま、グラウンドに二人で向かうのだった。