M)反撃開始?!
2回の表の攻撃は7番の純平からの攻撃。
純平
『とにかく出塁して、後ろの二人にバントで進めてもらうか。』
と、後続の二人に期待していない。
右バッターボックスに入って構える。
そして、吉川が投げた。
ストレートが内角真ん中に決まる。
審判
『ストラィク。』
早い内角球に腰が退ける。
純平
『うわぁ。ベンチで見てるより、速い。』
クロスに入って来る球に驚きながらも構える。
原
『今、このバッター、腰が退けた。もう一球、ストレートを内角、今度は高めにっと。』
そして、吉川が頷き、サインの交換が終わり、投げた。
審判
『ストラィク。』
吉川の球は原が要求した位置より、低くなったが内角球に純平は手が出なかった。
原
『低くなってしまったけど、その分ストライクになったからよかったかな。これで、次は吉川さんの得意なカーブを外角に投げれば……。』
と、サインをする。
純平
『また真っ直ぐだったか……。次は一球遊ぶか……。』
と、構えた。
しかし、吉川が首を縦に振らない。
原
『カーブじゃないのか……。じゃ、次は外角にまたストレートっと。』
サインを送り直す。
しかし、また首を横に振る。
純平
『また振った。そう言えば、今日の試合、初めて横に振ってるような……。』
いろいろ考える純平。
すると、吉川が頷き投げた。
審判
『ストラィク。バッターアウト。』
最終的に吉川の投げた球はカーブだった。
しかし、投げたコースは内角低めの、右打者だと、ストライクゾーンのど真ん中から自分の身体に変化して入る球だった。
純平はその球に全く手が出なかった。
純平
『やられた……。』
と、ベンチに引き上げた
紘
『純平。気にするな。オレが出る。』
と、意気込んで左バッターボックスに入ったが、バットに当たる事なく、空振り三振に終わった。
続いて、大輔も左バッターボックスに入る。
大輔
『左投手、苦手なんだよな……。』
と、紘とは対照的にポジティブに構える。
そして、全く手を出す事なく3球三振に終わる。
この回、下位打線ながら、三者連続三振に終わった。
攻撃が変わり、2回の裏、広南高校は4番打者から始まる。
藤川
『まさか、2点もリードされて最初の打席に立つとは思わなかったな。吉川もいい球投げてるけど、このバッテリー普通の1年とは違う。』
と、昂一と翔太を警戒し、右のバッターボックスに入る。
翔太
『この4番、確か去年の甲子園出場の時にレギュラーでいたような……。慎重にいかないと打たれるな。』
と、思い出しつつ昂一のサインを見る。
昂一
『今日の試合、レギュラーは出ないって言ってたのにな……。ここは慎重にボールから入るか。』
翔太同様、警戒しながらサインを送る。
昂一が出したサインは、外角にカーブだった。
そして、翔太が振りかぶって投げた。
しかし、翔太の投げた球は、甘く中に入ってしまい、昂一の外から外に外す為の球はストライクゾーンの中だけで変化し、中から外に変化するだけの右バッターが踏み込んで打つには絶好球だった。
その甘い球を見逃すことなく、広南の4番藤川は右方向に大きな当たりを飛ばした。
打球は右中間の真ん中を破り転々と転がった。そして、フェンスまで到達した。
その打球をややセンター寄りで守っていたライトの貴裕がようやく追いつき、打球を二塁手の悠一に投げようとした時、ランナーは既に2塁ベース手前まで達していたがスピードを緩めようとしなかった。
そして、そのまま3塁へと向かった。
結局、藤川が3塁ベースに達する手前でボールは内野に帰ってくるのがやっとだった。
これで、ノーアウトでランナー3塁となった。
2回裏、広南高校の攻撃中で、2対0と一番星学園がリードしているものの、ノーアウトでランナー3塁で、1点を返されそうな展開へとなった。