L)1回の裏
1回裏の広南高校の攻撃。一番星学園のナイン達がそれぞれ守備についた。
そして、広南の1番バッターは仙波。左投げ左打ち。この日の守備位置はライト。
翔太
『初球はと……。』
昂一の出すサインを見る。
翔太
『ストレートを……ど真ん中に……。初球は様子見ね。』
と、昂一のサインに頷いて、投げた。
140キロ前半のど真ん中のストレートを、仙波は見た。
仙波
『一年が投げる球かよ。今年の一年は豊作かぁ?吉川と言い、速い球投げるぜ。』
と、翔太のストレートに驚く。
昂一
『ど真ん中のストレートに腰が僅かに引けた。』
ほんの少しの動作も見逃さなかった。
翔太
『次は………カーブを外角低めと。』
サインに頷き、振りかぶって投げた。
判定はボール。
昂一の予想していたよりも大きく曲がり、また、バッターは手が出ずに見送った。
昂一
『入らなかったのはアンラッキーだったけど、今ので、更に腰が引けたな。』
と、内角やや高めにストレートのサインを出した。
翔太も頷き、テンポ良く投げる。
構えていたミットよりやや内に入ったが、空振りで、2ストライク、1ボール。
翔太
『今の少し甘く入ったな。』
と、苦笑いをする翔太。
昂一
『外角低めにストレート。』
と、サインを出す。
仙波
『今のを仕留めれなかったのはイタイな。次は多分、外にあのカーブだろう。次は当てる。』
コースは読まれたものの、球種が違う球。そして、翔太はストレートを投げた。
仙波
『真っ直ぐか……。』
と、読みを外したもののバットを振った。
球審
『ストライィク。バッターアウト。』
バットを出したものの、当たらず、空振り三振。
1アウト、ランナー無し。続くバッターは2番山田。左投げ左打ちでこの日の守備位置はレフト。昂一達と同じ1年。
翔太
『内角高めにストレートっと。』
昂一からのサインに頷く。
そして、振りかぶって投げた。
すると、山田は初球からバットを振り、ボールに当たった。
打球は芯を外しておりボテボテのゴロでサードに転がった。
その打球を純平が猛ダッシュで前進して捕球し、ファーストに投げた。
が、少し間に合わず内野安打となった。
1アウト、ランナー1塁。3番バッターは2年の斉藤。この日の守備位置はショート。
翔太
『足がメチャクチャ速かった……。盗塁も気にしつつ、次は…っと。』
昂一のサインを見た。
昂一
『走るなら走らせればいいから、とりあえず、内角高めにストレート。』
このサインに頷く翔太。
そして、セットポジションからランナーを気にしつつ投げた。
ボールは昂一のミットより低めになり、内角真ん中への球となった。
斉藤はそのボールを見送り、1塁ランナーはスタートを切らなかったので、1ストライクとなった。
翔太
『次は外の低めにカーブっと。』
頷き投げる翔太。
すると、ランナーがスタートを切った。
さらに、斉藤もバットを振り、ボールに当たる。ヒット・エンド・ランを仕掛けてきた。
そして、強い打球がピッチャー返しとなり、翔太を襲ったが、その打球を手を出さずに避け、ランナーが走ったことによってセカンドベースに入っていた悠一の正面に転がった。
悠一は、ボールを捕球すると、セカンドベースを踏み、ファーストに投げ、併殺が完成し、3アウトでチェンジとなった。
1回裏終了で2対0で一番星学園のリード。