J)練習試合in広島
無事に広島に到着した一番星学園のナイン。
広島の雰囲気に昂一と貴裕を除く部員は少し呑まれていた。
紘
『建物、でけぇ〜。』
大輔
『ビルも高い。』
基本的に島から出ないので子どものように高層ビルに驚いている。
徹
『お前ら、少しは静かにしてろ。』
普段と変わらずうるさい二人を黙らせる。
そして、予約していたマイクロバスに乗り込むと、目的地の球場へ向かった。
しばらく移動して目的地に着いた。その場所は、広島市民球場だった。
※広島市民球場は今の旧広島市民球場の事で、この当時、広島東洋カープの本拠地。
初の練習試合と言う事で、一番星学園初の試合と言うことで、理事長がはりきって強引に借りたので使用できるようになった。
翔太
『ここ、広島市民球場じゃん。』
慎太郎
『キャプテン…冗談じゃないよな?』
徹
『そうだよ。ここで試合をするんだ。理事長に感謝しろよ。』
大輔
『マジぃ?』
紘
『理事長ありがとう。』
ほぼ全員が、かなり興奮して話している。
そして、球場の中へと足を運んだ。
中に入ると、すでに練習試合の対戦相手が練習をしていた。
昂一
『あのピッチャー、いい球投げてる。』
対戦相手の数球のピッチング練習を見てボソッと言う。
翔太
『やっぱ打席に立つまでもなく見抜けるなんて凄いな。オレにはまだ分かんないや。』
笑いながら言う。
貴裕
『佐藤……凄いな。オレも打席に立たないと分からないな……。』
と、1年3人が話していると集合がかかった。
徹
『じゃ、この間話したスタメンで今日は行くぞ。各自キャッチボールをして、打撃練習と守備練習、半々に別れて交互に同時にするぞ。』
部員
『はい。』
で、練習が始まった。
翔太
『昂一。サイン決めてないけどどうする?』
昂一
『サイン?』
翔太
『キャッチャーが出すサインだよ。』
昂一
『あ〜。お前、何投げれるの?』
どうでもいい感じで話す。
翔太
『とりあえず、変化球はカーブ、スライダー、シュートかな。』
昂一
『落ちる系の球は?』
翔太
『一応、チェンジアップは投げるけど、確実性はないな。』
昂一
『ん〜きついな………。まぁいいや。じゃ、ストレートは……。』
と、サインを決めた。
練習が終わり、グランド整備が行われた。そして、数分の休憩後、グランドに整列して挨拶をし、試合が始まった。
先攻
一番星学園
1番 捕 佐藤 一年
2番 二 山村 二年
3番 投 松井 一年
4番 一 波田 三年
5番 右 中村 一年
6番 中 浅川 二年
7番 三 福原 二年
8番 左 山野 二年
9番 遊 仲 二年
後攻
広南高校
1番 右 仙波 二年
2番 左 山田 一年
3番 遊 斉藤 二年
4番 中 藤川 二年
5番 三 長谷部 二年
6番 投 吉川 一年
7番 一 谷 二年
8番 捕 原 一年
9番 二 新井 二年
アナウンス
『1回の表、一番星学園の攻撃、1番、キャッチャー、佐藤クン。背番号1。』
昂一
『アナウンスまで言ってくれるなんて、練習試合とは思えないな。』
と、両打ちでありながら、左投手相手に左のバッターボックスに入った。